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糖尿病対策として高カカオのチョコレートは抗酸化作用により効果がある

チョコレートの選別と摂取量

糖尿病や高血糖にならないための対策として、食事による栄養の摂取は重要な役割を持ちます。

血糖値に有効な食品は複数の候補がありますが、その中でもチョコレートはさまざまな研究から糖尿病に効果があると言われています。

お菓子は血糖値に悪影響を及ぼすように見えますが、チョコレートの場合は商品の選別や摂取量を意識するとその限りではありません。

この記事では、糖尿病とチョコレートの関係性について、有効な成分や摂取量などをまとめました。

この記事でわかること
  • 糖尿病に対するチョコレートの効果
  • チョコレートに含まれる成分
  • 適切なチョコレートの摂取量や食べ方

血糖値を気にしながらも一定の間食がほしい人は、参考にしてください。

目次

糖尿病や高血糖は食生活や毎日の運動から対策できる

カカオポリフェノールでリスク低下

糖尿病は血糖値が常に高い状態が続いて、糖が尿から排出されるなど、さまざまな症状が出る病気です。

糖尿病や高血糖の対策としては、主に以下のような食生活や運動を心がけるのがよいとされています。

  • 血糖値を急上昇させる原因の糖質について、摂取量を調整する
  • インスリンに影響がある肥満を防ぐため、脂質の摂取量も調整する
  • 血糖値の上昇を緩やかにする食物繊維を多めに摂取する
  • 食事の順番は食物繊維から食べ始めて、たんぱく質、糖質と食べていく
  • 毎日の有酸素運動によって摂取した糖質や脂質を消費して、インスリンを活発化させる

糖質や脂質は必須栄養素であるため、完全に摂取をやめるのは推奨されません。

食物繊維などのほかの栄養素と併せて、バランスよく適量を摂取するのがよい食事法になります。

インスリンは血糖値が上昇したときに元の値に戻すホルモンであり、インスリンを正常に働かせるのも糖尿病対策になります。

チョコレートに含まれる成分が糖尿病対策になる研究結果が出ている

糖尿病の対策を踏まえると、チョコレートは甘いお菓子であるため、砂糖に含まれる糖分から高血糖につながる食品と思う人もいるでしょう。

しかし、チョコレートに含まれる別の成分が糖尿病対策として効果的であるという研究結果が出ています。

  • アメリカ:ダークチョコレートのかけらを週5個以上食べていた人について、2型糖尿病のリスクが21%低減
  • イギリス:チョコレートに含まれるフラバノールがストレスの緩和と血管を守る効果がある

アメリカの研究では食生活の調査を行い、チョコレートを週5回以上食べている人の糖尿病リスクが低いという結果が出ています。

このうち、ミルクチョコレートよりもダークチョコレートの方がさらに糖尿病リスクが低く、体重の増加も少なくなっていました。

糖尿病リスクが低下した要因は、チョコレートのカカオポリフェノールが関与していると推察されています。

一方、イギリスの研究でもチョコレートに含まれる成分に健康効果があるという結果が出ています。

ポリフェノールは化合物の総称で成分によって細分化されている

植物に多く含まれる成分

ポリフェノールとは、カカオを始めとした植物に多く含まれる成分のことです。

関連する化合物としてフラボノイドやフラボノールがありますが、ポリフェノールと以下のような関係にあります。

  • ポリフェノール:同一分子内に2個以上のフェノール性水酸期を持つ化合物の総称
  • フラボノイド系:ポリフェノールから細分化された化合物
  • フラボノール類:フラボノイドから細分化された化合物

チョコレートの成分ではカカオポリフェノールやカカオフラボノールという名称が出てきますが、基本は同じ成分を指しています。

成分表示からチョコレートを選ぶときは、ポリフェノールやフラボノールに注目してみましょう。

ポリフェノールは糖尿病も含めたさまざまな症状に効果がある

ポリフェノールは摂取時にさまざまな効果が期待できますが、代表的な効果として抗酸化作用が挙げられます。

抗酸化作用とは、体内の成分を酸化させる活性酸素を抑制、除去する作用のことです。

活性酸素の働きが正常な状態に保たれている場合、以下のように特定の症状に対してよい効果があります。

  • 糖尿病:インスリンの働きを助けて、血糖値の急上昇を防ぐ
  • 動脈硬化:血管でコレステロールの酸化を防いで、血管の負荷を減らす
  • 肥満、メタボリックシンドローム:過剰な活性酸素から生成される過酸化脂質を減少させる

上記はポリフェノール全体の効果であり、フラボノール類などの細分化された化合物ではさらに別の効果が見られる場合があります。

カカオポリフェノールは強い抗酸化作用から糖尿病対策に使える

カカオポリフェノールは、チョコレートやココアに含まれているポリフェノールを指すときに使われる単語です。

通常のポリフェノールの特徴と併せて、カカオポリフェノールには以下の特徴や効果があります。

  • 強い抗酸化作用を持つ
  • 血圧の低下
  • 血流、表面温度の改善
  • 運動時の柔軟性・筋力・バランス感覚の維持
  • 脂質代謝の促進

カカオポリフェノールはチョコレート商品の場合、種類を問わず含まれている成分です。

中でもダークチョコレートや高カカオと銘打った商品は、ほかのチョコレートよりもカカオポリフェノールが多く含まれています。

高カカオチョコレートは低GI食品にも属して糖尿病の発症リスクを減少させる

低GI食品で血糖値の上昇を抑制

GI値とは、食品に含まれる糖質が食後にどの程度吸収されるかを示す指標のことです。

基準値は三段階に分かれていて、GI値が低い食品ほど食べた後の血糖値の上昇が緩やかになります。

  • 高GI値:70以上
  • 中GI値:56~69以内
  • 低GI値:55以下

糖尿病診療ガイドライン2019では、低GI食品の摂取量が多い人ほど、糖尿病リスクが軽減したという結果が出ています。

カカオポリフェノールの含有率が高いチョコレートは、低GIの基準値である55以下に該当する商品です。

ただし、商品によって成分量は変わってくるため、実際にチョコレートを選ぶときは成分表示をよく確認しましょう。

チョコレートは種類によって糖質や脂質の過剰摂取になる可能性がある

カカオポリフェノールは糖尿病によい効果をもたらす一方で、その他の成分は過剰摂取で体に悪影響を及ぼす可能性があります。

チョコレートに含まれる栄養素のうち、過剰摂取に気をつけるべき項目は以下のとおりです。

  • カロリー:一般的なミルクチョコレートの場合は100gあたり約500カロリー
  • 脂質:カカオマスやココアパウダーに含まれる油分から脂質過多になる
  • 糖質:砂糖や水あめに含まれていて、過剰摂取すると血糖値が上昇する

カロリーや脂質の過剰摂取から肥満になると、血糖値を調整するインスリンの働きに影響が出てきます。

健康を意識したチョコレート商品は成分量を調整してカロリーや糖質を抑えていますが、全く含まれていないわけではありません。

そのため、高カカオチョコレートでも無限に食べられるわけではなく、適切な量の摂取が必要になります。

高カカオチョコレートでも美味しく食べられる商品は存在する

糖尿病対策としてチョコレートを取り入れる場合は、基本的にダークチョコレートや高カカオチョコレート商品を選びましょう。

ほかのチョコレートでもカカオポリフェノールは摂取できますが、カロリーや糖分量の多さから栄養素の調整が難しくなります。

カカオポリフェノールの含有量は商品ごとに異なりますが、高カカオの基準値としては70%以上が目安です。

一般的なチョコレートのカカオ含有量は30〜40%程度であるため、含有量70%でもカカオの味は強く出てきます。

しかし、高カカオであるほど苦いチョコレートになるわけではありません。

高カカオでも砂糖や水あめを含んでいる場合は、一定の甘さがあるチョコレートになります。

食べ続けられない商品を購入しても仕方がないため、カカオの含有量と同時に美味しく食べられるかも確認してください。

チョコレートの摂取量は商品の推奨や食事バランスガイドに従う

食事バランスガイドを参考に

高カカオチョコレートは健康効果が期待できますが、主食や副菜にはなりません。

あくまでお菓子や嗜好品の分類になるため、1日あたりの摂取量はある程度抑える必要があります。

健康を意識した商品である場合は、基本的には商品ごとに推奨されている個数や摂取量に従ってください。

明確な基準が示されていない場合は、食べすぎないのを前提にして、農林水産省が提示する食事バランスガイドを参考にしましょう。

食事バランスガイドにおけるお菓子や嗜好品の摂取量は、1日あたり200キロカロリーが目安にされています。

今までほかのお菓子を食べていた人は、高カカオチョコレートに置き換えてみてください。

間食や食前の摂取からその後の血糖値の急上昇を抑えられる

高カカオチョコレートを食べるタイミングについては、間食や食前が候補になります。

間食で食べる場合は、以下のような利点があります。

  • 低GI値であるため、血糖値を急上昇させずにお腹を満たせる
  • 食間を空けすぎると低血糖になり、次の食事で血糖値が急上昇するため、間食で対策できる

食べる回数については、一気に複数枚食べるよりも数回に分けた方が効果的です。

血糖値が正常時に戻るまでは約2時間が目安になり、食間は12時間以内に収めるのがよいとされています。

食後2時間を経過して次の食事まで長くなるときは、その都度高カカオチョコレートを食べましょう。

一方、食前に食べる場合は、以下の効果が期待できます。

  • 先に高カカオチョコレートから消化され始めて、血糖値の上昇が緩やかになる
  • 一定の食物繊維が含まれているため、食物繊維の効果でも血糖値の上昇を緩やかにする

食前でも食べる回数は、毎食ごとに分けて食べるのが理想的です。

糖尿病対策に適切な量の高カカオチョコレートを取り入れる

チョコレートの中でもカカオポリフェノールの含有量が多い商品は、抗酸化作用によって複数の症状によい効果をもたらします。

糖尿病や高血糖に関しては、インスリンの補助や血糖値の上昇を緩やかにする効果から対策になる商品です。

ただし、商品によっては糖質や脂質が多く、過剰摂取はかえって体に悪影響を及ぼします。

お菓子や嗜好品にあたる食品であるため、間食が必要な人は高カカオチョコレートを取り入れてみましょう。

適度な間食は低血糖からの血糖値の上昇を防ぐ効果があり、高カカオの場合は食後の血糖値上昇も緩やかになります。

商品が提示する摂取量や食事バランスガイドを参考にして、適切な量の高カカオチョコレートを取り入れてみてください。

この記事の監修者

東京医科大学を卒業後、複数の総合病院内科、東京医科大学病院 糖尿病代謝分泌科を経て、現在の四谷内科・内視鏡クリニックの副院長に就任。


糖尿病専門医でありながら、見逃されやすい内分泌疾患にも精通した総合的な診療をおこなう。

日本糖尿病学会
糖尿病専門医

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