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糖尿病を予防できる食事について適した食品選びや食べ方を紹介

適した食品選びや食べ方

糖尿病は高血糖から発症する病気であり、症状が進行すると合併症などの重い病気を患う場合もあります。

しかし、食生活の改善により、糖尿病の発症リスクはある程度抑えられます。

この記事では、糖尿病を予防できる食事について、食品の選び方や食べ方をまとめました。

この記事でわかること
  • 糖尿病と食事の関係性
  • 糖尿病予防する際の食品選び
  • 糖尿病予防のための食べ方

健康診断などで高血糖と診断された人は、今後の食生活の改善として参考にしてください。

目次

糖尿病は発症の要因によって1型糖尿病と2型糖尿病に分類される

1型糖尿病と2型糖尿病に分類

糖尿病は血糖値が高い状態が慢性的に続く病気であり、発症の要因から1型糖尿病と2型糖尿病に分けられます。

食事で糖分を摂取したとき、血糖値は一度上昇しますが、すい臓から分泌されるインスリンによって正常な数値に戻ります。

しかし、以下の状態に当てはまった場合、インスリンは正常な働きができません。

  • すい臓の細胞が破壊されて、インスリンの分泌が一切できない
  • 生活習慣の乱れでインスリン異常が発生する

インスリンを分泌できない症状が要因の糖尿病は、1型糖尿病に分類されています。

国内の発症率は高くありませんが、破壊された細胞は自力で修復できないため、1型糖尿病では専門的な治療が必要になります。

一方、生活習慣の乱れによるインスリン分泌量の減少、もしくはインスリンに対する抵抗性が要因の糖尿病は2型糖尿病です。

国内の糖尿病の多くは2型糖尿病であり、不摂生な食事も糖尿病につながる要因の1つになります。

2型糖尿病を予防するためには食生活から改善を始める

2型糖尿病の要因である生活習慣の乱れの例としては、以下の状態が挙げられます。

  • 糖質の過剰摂取:インスリンの働きで下げきれないほど血糖値が高くなる
  • 脂質の過剰摂取:肥満はインスリンの働きを妨げる
  • 運動不足:摂取した糖分や脂質を消費できない
  • ストレスや睡眠不足:ホルモンの異常やインスリン抵抗性が起こる
  • 過度な飲酒:アルコールの過剰摂取はインスリンに悪影響がある
  • 喫煙:身体全体に悪影響があり、糖尿病の発症リスクも高まる

食事に絞ってみた場合、糖質や脂質の過剰摂取は食べ過ぎや不規則な食生活から該当してしまう人が多数います。

ストレス解消のために過食気味になる人もいて、運動不足や喫煙なども重なると糖尿病の発症リスクは非常に高い状態です。

しかし、上記のような生活習慣の乱れを改善できた場合は、糖尿病を予防できます。

悪影響のあるものは全て改善するのが望ましいですが、難しい場合は最初に食生活から見直してみましょう。

糖尿病を予防するための食事は摂取量の調整や時間帯を意識する

糖尿病を予防するための食事は、血糖値を上げすぎないようにするのが基本です。

インスリンの効果で血糖値を下げられるように、過剰摂取や急激な血糖値の上昇を避ける必要があります。

具体的な予防策としては、以下の内容が挙げられます。

  • 糖質や脂質の量を調整しつつ、栄養バランスのよい食事にする
  • 食物繊維の摂取量を増やす
  • 毎日3食を決まった時間帯に取る
  • 食事の間隔が空き過ぎる場合は間食も取り入れる
  • 食べる順番を意識する
  • 食事に集中して、よく噛んで食べる

特別な食材や道具は必要ないため、意識的に取り組んでみましょう。

糖質や脂質は過剰に減らすのではなく必要な量を調整して取り入れる

糖質や脂質を過剰に減らさない

糖尿病の予防として、糖質や脂質の過剰摂取は避けた方がよいのですが、一方で糖質と脂質は身体に必要な栄養素でもあります。

摂取量を過剰に減らすのも身体には悪影響であるため、必要な量を調整しながら他の栄養素も含めてバランスのよい食事にしましょう。

糖質の摂取量を調整するのによく使われるのは、食品の置き換えです。

主食になるご飯やパン、麺類は炭水化物に糖分が多く含まれますが、以下に置き換えると1食あたりの糖分を減らせます。

炭水化物の主食置き換えた食材
精白米雑穀米(玄米、麦、アワ、ヒエなど)
小麦粉パン全粒粉パン
麺類そば

一方、脂質については1週間を基準として食べる回数や量を減らしつつ、以下の方法で調整できます。

  • 肉類の脂身など、脂質の多い部位を避ける
  • 蒸し焼きや煮込みなど、油を使わない調理方法にする
  • 油を使う場合は衣や油の量を控える

総菜は自分で脂質の量を調整できないため、揚げ物を食べたいときはなるべく自分で調理しましょう。

糖の吸収を緩やかにしてくれる食物繊維の摂取量を増やす

栄養バランスのよい食事が求められる中で、糖尿病の予防では食物繊維の摂取量を増やすのが推奨されています。

食物繊維は糖の吸収を緩やかにする効果があり、食物繊維を多く含む食材は脂質やカロリーが控えめです。

そのため、摂取量を増やしても肥満への影響が少なく、血糖値の上昇に対して有効な効果を活用できます。

食物繊維を多く含む食材の例は、以下のとおりです。

野菜モロヘイヤ
ブロッコリー
オクラ
海藻類わかめ
昆布
豆類大豆
インゲン

納豆
キノコ類まいたけ
えのき
しめじ
しいたけ

主食の置き換え候補である玄米や全粒粉パンも、通常のご飯やパンに比べて食物繊維が多い食材になります。

副菜のサラダなどの一品を用意するときは、食物繊維の含有量に注目してみましょう。

血糖値を上げすぎないよう食事の間隔は最低でも2時間以上空ける

血糖値の上昇は食後1時間程度でピークになり、食後2時間程度で正常な数値に戻ります。

血糖値が下がりきらない間に糖分を摂取すると、血糖値が上がり続けて正常な数値に戻せない状態が継続してしまいます。

そのため、食後から次の食事の間は最低でも2時間以上空けましょう。

特に気を付けなければならないのは、夕食の時間帯です。

夕食から就寝までの間隔が短い場合、体内には以下のような影響があります。

  • 就寝中は消費エネルギーが少ないため、夕食で取った脂肪が余って肥満になる
  • 就寝中も消化器官が動いて、胃腸に負担がかかる
  • 睡眠の質が下がり、睡眠不足やストレスにつながる

上記を発生させないためにも、夕食から就寝までは3時間以上空けるのが望ましいとされています。

次の食事の食べ過ぎを防ぐため活動時間に合わせて間食を入れる

活動時間に合わせて間食

食事は2時間以上の間隔を空けるのがよく、食後からすぐの間食は血糖値の上昇につながる危険性があります。

しかし、食後から次の食事まで間隔が空き過ぎる場合、間食は食べ過ぎの予防策として有効です。

食事の間隔が空き過ぎた場合、以下のような流れで食事量が増加したり、血糖値が激しく上下したりする可能性があります。

  1. 空腹から、次の食事で食べる量が増える
  2. 食べ過ぎて糖分を大量に摂取すると、血糖値が急激に上がる
  3. 血糖値を下げるときに、高い値から正常値へ急激に下がる
  4. 血糖値が急激に下がると空腹感が出て、また次の食事で食べる量が増える

上記の対策として適度な間食を入れておくと、空腹による食べ過ぎを防げます。

ただし、間食で栄養素が偏ったり食べ過ぎたりしてしまうと意味がありません。

間食では糖質や脂質が少ない食品を、少量食べて小腹を満たすのが理想的です。

間食用の食品としては、添加物などで味付けされていないナッツ類や低糖質チョコレートが候補になります。

昼食から3時間後にナッツ類を食べて次の夕食までの空腹を満たすなど、自分の活動時間に合わせて間食も活用しましょう。

糖分の吸収を抑える効果がある食物繊維が多い食材を最初に食べる

食物繊維が持つ糖分の吸収を緩やかにする効果は、食べてすぐには発揮されません。

効果を十分に発揮させるには、食品を食べる順番も重要になります。

血糖値の上昇を抑える点を重視した場合、以下の順番で栄養素を摂取するのが理想的です。

  1. 食物繊維の多い食材
  2. タンパク質の多い食材
  3. 炭水化物などの糖質が多い食材

食物繊維は胃の中で膨張する性質があるため、最初に食べておくと満腹感から食べ過ぎを防ぐ効果があります。

タンパク質は消化に時間がかかるため、炭水化物よりも先に摂取すると、食物繊維の効果が発揮できるまでの時間を稼げます。

咀嚼の減少や食べ過ぎにつながるながら食べを避けて食事に集中する

食事に集中していない場合、咀嚼がおろそかになったり、食べる量を意識できずに食べ過ぎたりする危険性が高くなります。

スマホを見ながら食べるなど、食事中に他の何かを行いながら食べが常習化している人は、食事に集中できるように改善しましょう。

食品を目で見て、味を確かめながら食べた場合、ながら食べよりも食事の満足感を得られます。

他にもよく噛んで食べると満腹中枢を満たして、消化にもよい食べ方になります。

目的もなく動画を流している人や時間が勿体ないと思って何かをしてしまう人は、食事中は食事に向き合う時間として使ってください。

手作り弁当や和食を選択してバランスのよい食事を成立させる

手作り弁当や和食を選択

栄養素や食べ方に関する細かい改善としては、以下の内容が挙げられます。

  • コンビニ弁当よりも手作り弁当の方が、栄養バランスやカロリーを考えられる
  • コーヒーや紅茶を飲む際はなるべく砂糖を控える
  • 洋食よりも和食の方が糖質や脂質を抑えた味付けが多い

今までの食事で糖質や脂質が多く取っていた場合は、手作りや食品選びで少しずつ摂取量を抑えていきましょう。

一方で、毎日完璧に理想的な食事をするのは困難です。

1日食べ過ぎたとしても次の日以降で摂取量を減らすなど、1週間単位で食べる量や栄養素の摂取を調整してください。

糖尿病を予防する栄養バランスのよい食事で健康的な身体づくりを始める

糖尿病を予防する食事では、基本は血糖値の上昇を抑えつつ栄養バランスのよい食事が求められます。

糖質や脂質は必要な分のみ摂取する代わりに食物繊維の摂取量を増やすと、急激な血糖値の上昇を防げます。

食事する際は食物繊維が多い食品を最初に食べて、最後に炭水化物を食べるのが理想的です。

食事の間隔は2時間以上空けるとよく、次の食事まで間隔が空き過ぎる場合は適度な間食が食べ過ぎの防止策になります。

糖尿病を予防するのと同時に健康的な食生活へ改善できるため、紹介した栄養素の調整や食べ方を実践してみてください。

この記事の監修者

東京医科大学を卒業後、複数の総合病院内科、東京医科大学病院 糖尿病代謝分泌科を経て、現在の四谷内科・内視鏡クリニックの副院長に就任。


糖尿病専門医でありながら、見逃されやすい内分泌疾患にも精通した総合的な診療をおこなう。

日本糖尿病学会
糖尿病専門医

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