糖尿病治療を行っている人や糖尿病を疑われた人は、1度は血糖測定の経験があるでしょう。
糖尿病治療を行っている人は、通常1〜4回の血糖測定を毎日行います。
血糖測定は痛みが伴うため、苦痛に感じている人も少なくはありません。
それ以上に血糖測定は、血糖値の変化を連続的に捉えられず、値の変動の読みとりが困難な現状にあります。
センサーを皮膚に貼付し、1分ごとの血糖値を自動的に測定します。
データをスマートフォンまたは専用機器にて確認でき、1度のスキャンで過去8時間のグルコース値の測定履歴の表示が可能です。
点ではなく線で値の変動を確認できるため、高血糖もしくは低血糖状態が続いている状態を事前に予測し、病状悪化を防げます。
本記事では、持続血糖測定器FreeStyleリブレと血糖自己測定器の違いや、メリットと使用時の注意点について詳しく解説します。
- FreeStyleリブレと血糖自己測定器の違い
- FreeStyleリブレのメリットと使用時の注意点
毎日の血糖測定を苦痛に感じている人や、FreeStyleリブレについて詳しく知りたい人はぜひ参考にしてください。
FreeStyleリブレと血糖自己測定器の違い
FreeStyleリブレと自己血糖測定器の違いを以下の表にまとめました。
FreeStyleリブレ | 血糖自己測定器 | |
---|---|---|
測定内容 | 過去8時間の間質液中のグルコース値を測定 | 血糖値を測定 |
測定方法 | センサーを張り、測定器でスキャンする | 針を穿刺し、血液をセンサーに吸引させる |
針 | 短い | 長い |
痛み | 少ない | 多い |
糖尿病は血糖値や健診などの採血結果から、医師が判断します。
以下の表は、糖尿病の診断基準です。
正常値 | 正常高値 | 境界型 | 糖尿病型 | |
---|---|---|---|---|
空腹時血糖値 | ~99mg/dl | ~109mg/dl | ~125mg/dl | 126mg/dl~ |
HbA1c | ~5.5% | ~5.9% | ~6.4% | 6.5%~ |
診断基準の糖尿病型に該当すると糖尿病と診断され、診断後に内服治療やインスリン注射、食事療法などが検討されます。
インスリン注射は痛みを伴い、食事療法では食べたいものを我慢しなければならないなど、治療へのモチベーションを保つのが困難です。
血糖値が気になっても、その都度穿刺し測定しなければならないため、時間や労力を消費します。
さらに測定する場合、場所を検討したり、穿刺後の針の処理方法なども考えなければなりません。
グラフを簡単に確認できるため、治療へのモチベーションも保てます。
他にも医療従事者からの観点でも、入眠中の血糖値変動や高血糖や低血糖の値がどのくらいの時間継続しているかなど、細かい変動が分かるため治療方針を定めやすくなっています。
2型糖尿病の初期段階であれば、食事や運動治療に取り組むことで、すい臓の機能が回復する方もいらっしゃいます。
特に普段の食事で意識して摂取しておきたい食材や成分についてまとめていますの、こちらの記事も参考にしてください。
インスリンの働きを高める成分
血糖値と間質液グルコースの違い
血糖値と間質液中のグルコース値の違いを知識としてもっている点は、FreeStyleリブレを使用する上で非常に重要です。
血糖値とは、血液中のグルコースの値のことを指し、間質液グルコースとは、間質液中のグルコースのことをいいます。
食事摂取後のグルコース値の変動は以下の通りです。
- 食事をとり、炭水化物が消化されるとグルコースが血液中に入り血糖値が上昇する。
- 少しずつ間質液中にグルコースが滲み出し、間質液中のグルコース値も上昇する。
下降時も同様に変動し、血糖値が下がり、次に間質液中のグルコース値が下がります。
この変動により、血糖値とグルコース値の変動や数値は測定するタイミングで異なった値が生じるのです。
さらに急な血糖値の変動がみられた場合、血糖値と間質液中のグルコース値の変動にタイムラグが生じます。
他にも、低血糖時にブドウ糖を摂取した場合、血糖の変動がFreeStyleリブレにて反映されるまでに時間を要します。
スキャンをしても中々上昇しないため、焦って摂取しすぎないようにしましょう。
血糖測定する上でFreeStyleリブレを使用するメリット
FreeStyleリブレを使用する上でのメリットは以下の通りです。
- FreeStyleリブレはいつでもどこでも簡単に値を測定できる
- グルコース値はアプリで管理するため、変動を目で確認できる
- FreeStyleリブレを購入する場合は保険適応の可能性もある
FreeStyleリブレで使用するセンサーは、上腕の後ろ側に装着します。
センサーには細い針がついているため、装着時に痛みを伴う場合もあります。
しかし短い針なため、血糖自己測定器の穿刺針より痛みは少ないです。
FreeStyleリブレはいつでもどこでも簡単に値を測定できる
1つ目のメリットとして、いつでもどこでも簡単に値を測定できるため場所やタイミングに悩む心配はありません。
FreeStyleリブレの装着部位は上腕の後ろ側とお伝えしました。
この部位は洋服で隠れる部位になるため、貼付しているのが周囲からはわかりにくくなっています。
耐水性も強く、入浴時に剥がれる心配はありません。
しかし、激しい運動にて剥がれる可能性もあるため、運動の際に使用できるリブレバンドなどを活用し予防するとよいでしょう。
グルコース値はアプリで管理するため変動を目で確認できる
2つ目のメリットとして、測定した数値は専用の読み取り機器やアプリにて確認できます。
グラフにて時系列でグルコースの値が表示されるため、入眠時の値や食後の値を把握、管理が簡単です。
このグラフを元に主治医と相談し今後の治療方針も決められるため、点ではなく線で長く病状にアプローチできます。
他にも、自身でどの食事をとった後に血糖値が上昇するのかを把握し、食事内容を簡単に見直せます。
FreeStyleリブレを購入する場合は保険適応の可能性もある
令和4年度診療報酬改定に伴い2022年3月に、インスリン療法を行っているすべての糖尿病患者が保険適用の範囲で使用可能になりました。
インスリン製剤の自己注射を1日に1回以上行っている人が対象です。
反対に、糖尿病治療が内服だけの人や糖尿病予備軍の人は保険適応外であるため、自己負担にて購入になります。
価格は以下の通りです。
金額(税別) | 内容 | |
---|---|---|
FreeStyle リブレ Reader | 7,089円 | FreeStyleリブレReader1台×1箱 |
FreeStyle リブレ センサー | 6,800円 | FreeStyleリブレセンサー1枚入り×1箱 |
FreeStyleリブレ 1センサースターターパック60 | 11,500円 | FreeStyleリブレReader 1台 x 1箱 FreeStyleリブレセンサー1枚入り x 1箱 FSプレシジョン血糖測定電極30枚入×2箱 |
2022年4月1日現在
保険適応の人は、表の金額から3割負担にて購入可能となっています。
気になる人は1度主治医に相談してみてください。
近年の研究では、ポリフェノールの一種に血糖値を下げる働きがあることがわかっています。
普段の生活に上手にポリフェノールを取り入れるなど、少しずつ対策と工夫をしていきましょう。
ポリフェノールと血糖値の関係はこちらの記事をご覧ください。
FreeStyleリブレを使用する上での注意点
FreeStyleリブレを使用する上での注意点は、以下の通りです。
- 皮膚の弱い人は、皮膚炎を起こすリスクがある
- 血糖値と異なる値が出る可能性もある
レントゲンやMRIを使用する際は必ずセンサーを取り外すようにしましょう。
皮膚の弱い人は、皮膚炎を起こすリスクがある
FreeStyleリブレを使用する場合、センサーを直接皮膚に貼付するため皮膚炎を起こすリスクがあります。
対策は以下の通りです。
- 貼付部位を張り替えるタイミングでずらし、同一部位は避ける
- 傷や赤みのないキレイな皮膚を選択する
センサーは最大で14日間の連続した貼付が可能であり、入浴中も剥がす必要がありませんが、必ず使用期限は守るようにしましょう。
センサー装着部に刺激感や不快感、炎症が見られた場合は直ちに医療機関へ相談しましょう。
血糖値と異なる値が出る可能性もある
FreeStyleリブレは、血液中の血糖値を測定しているわけではありません。
間質液中のグルコース値を測定しているため、血管を流れる血液中の血糖値とは若干異なる値が出る可能性があります。
異なる値が出る可能性を考慮し、必要時は普段から使用している血糖自己測定器と併せて使用するようにしましょう。
自分の生活スタイルにあった血糖測定方法を探そう
今回、血糖自己測定器とFreeStyleリブレの違いについて解説しました。
糖尿病の症状は、はじめ自覚症状が少ないです。
しかし診断をされたその日から、血糖測定やインスリン注射、食事療法が始まります。
糖尿病を放置したままにすると、病状が進行し神経障害や網膜症、腎症など慢性的な合併症を誘発します。
そのため、はじめは少しでも日々の治療の負担を減らす必要があります。
血糖自己測定器とFreeStyleリブレ、どちらもメリットとデメリットはありますが、しっかりと理解しうまく使いこなせると日々の負担を軽減もできるでしょう。
かかりつけ医と相談しながら、自分の生活スタイルに合わせてぜひ使いわけてください。
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