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糖尿病の主な初期症状を解説!女性の発症リスクが高まるタイミングがある

女性の発症リスクが高まるタイミング

糖尿病は男性患者が多い、というイメージを持っている人もいるでしょう。

実際に厚生労働省の調査によると、令和元年において糖尿病が強く疑われる人の割合は男性が19.7%、女性は10.8%でした。

参照元:令和元年国民健康・栄養調査結果の概要 – 厚生労働省

しかし、女性はホルモンバランスの変化によって糖尿病のリスクが高まります。

今回は、糖尿病の主な初期症状と女性の発症リスクが高まるタイミングについて解説します。

この記事でわかること
  • 糖尿病は血糖値の高い状態が慢性的に続く病気
  • 糖尿病の主な初期症状
  • 女性の発症リスクが高まるタイミング
  • 糖尿病の予防や改善するためのポイント

糖尿病の初期症状が気になる人、女性ホルモンの血糖値への影響を知りたい人はぜひ最後までご覧ください。

目次

糖尿病は血糖値の高い状態が慢性的に続く生活習慣病の1つである

高血糖が慢性的に続く病気

糖尿病はインスリンの分泌量や作用の低下により、血糖値が高い状態が慢性的に続く病気で、生活習慣病の一種です。

血糖値とは血液中にあるブドウ糖の濃度のことで、本来は一定の範囲内に維持されています。

食事から摂取した糖質が体内で消化吸収されてブドウ糖となり、血糖値が上昇するしくみです。

健常者は血糖値が上がるとインスリンが分泌され、数値が下がります。

インスリンはすい臓から分泌され、血糖値の上昇を防ぐホルモンです。

しかし多くの糖尿病患者はインスリン抵抗性により、血糖値が上昇してしまいます。

インスリン抵抗性とはインスリンが分泌されているにもかかわらず、効きが悪くなった状態のことです。

血糖値が下がらない状態が続くため、高血糖につながります。

高血糖は血糖値の高い状態を指し、長期間続くと血管に損傷が起こって血流が悪くなります。

糖尿病患者は、高血糖が慢性的に続くのが特徴です。

細い血管が集まっている部分に合併症を引き起こし、末梢神経に障害を起こす原因にもなります。

血管や末梢神経は体中に張り巡らされており、全身に症状が現れます。

糖尿病の初期症状は男女関係なく全身にさまざまな症状が起こる

糖尿病の初期症状は性別の影響を受けず、男女関係なく以下のような症状が起こります。

  • 喉の渇きを感じる
  • 目のかすみを感じる
  • 食べているのに痩せる
  • トイレに行く回数が増える
  • 皮膚が乾燥したりかゆみを感じたりする
  • 疲労感や倦怠感を感じる
  • 手足にしびれやむくみを感じる

血糖値が多少高い場合でも症状が出ないため、糖尿病の初期は自覚症状を感じない人も多くいます。

血糖値が高い状態から糖尿病の発症までの期間は、10年ほどです。

ゆっくりと時間をかけて進行し、自覚症状を感じる頃には重篤な状態に陥っている恐れもあります。

ここでは、糖尿病の初期症状について1つずつ解説します。

運動をしていない場合でも喉の渇きがおさまらない

喉の渇きがおさまらない

運動をしていない場合でも喉が渇いたり、喉の渇きがおさまらなかったりする人は糖尿病の可能性があります。

異常な喉の渇きは、糖尿病の代表的な自覚症状の1つです。

血糖値が高くなると血液がドロドロになり、心筋梗塞や脳梗塞などの命に関わる病気を引き起こします。

体が生理反応として水分を摂るように脳に指令を出し、病気を防ぐ働きをしています。

喉の渇きが起こる血糖値の目安は、250mg/dLです。

糖尿病が脱水症状や頻尿を引き起こし、それが原因で喉の渇きを感じる場合もあります。

ただし、以下にあてはまる場合も喉の渇きが感じられます。

  • 塩分やアルコールの過剰摂取
  • 風邪や発熱
  • ストレス
  • 薬の副作用
  • 脱水症など

喉の渇きのみでは糖尿病かどうか判断できないため、医療機関の診断を受けましょう。

目のかすみや視力の低下などの目の不調を引き起こす

糖尿病は目のさまざまな部位に障害を起こし、目のかすみや視力の低下などの目の不調を引き起こす場合があります。

糖尿病が原因となる目の病気には、以下が挙げられます。

  • 糖尿病網膜症
  • 血管新生緑内障
  • 糖尿病角膜症
  • 白内障

糖尿病網膜症は、糖尿病の三大合併症の1つです。

高血糖の状態が長く続くと網膜にある毛細血管が傷つき、視力が低下します。

症状が進行すると失明する場合もあり、日本人の失明原因で上位に挙げられている病気です。

さらに糖尿病網膜症は、血管新生緑内障を発症させる原因にもなります。

血管新生緑内障とは、目の虹彩や前房隅角にできた新生血管により、眼圧が上がる緑内障のことです。

緑内障になると視神経が圧迫されて視野が狭くなったり、視力が低下したりします。

糖尿病角膜症は、糖尿病が原因で目の角膜に損傷が起こる病気です。

糖尿病患者は健常者に比べて、角膜上皮に損傷が起こるリスクが高まります。

白内障は目の水晶体の濁りにより、視力が低下する病気です。

60代で70〜80%、70代で80〜90%、80代では100%が発症するといわれています。

加齢性白内障は高齢者に患者が多い病気であり、糖尿病が原因とは限りません。

しかし糖尿病性白内障は症状の進行が早く、若い世代も発症する恐れがあります。

失明を防ぐには、目の不調の早期の発見や治療が大切です。

食事量を減らしていない生活でも痩せて体重が減少する

痩せて体重が減少する恐れ

糖尿病があるとブドウ糖ではなく、脂肪やタンパク質がエネルギーとして使われ、食事量を減らしていない生活でも痩せて体重が減少する場合があります。

糖尿病患者はインスリンの分泌不足や作用の低下により、ブドウ糖をエネルギーに変換するのが難しいためです。

健康な人は食事で摂取したブドウ糖が使われますが、糖尿病患者は体内の脂肪や筋肉のタンパク質が使われます。

急激に体重が減少する場合は、インスリンが不足している可能性があります。

医学的な体重減少の目安は、以下のとおりです。

  • 6〜12ヶ月間で体重が4.5kg減少
  • 6ヶ月間で体重が全体の5%減少

意図的なダイエットをしていない状況で、上記のいずれかに当てはまる場合は、医学的な体重減少として何らかの病気が原因である可能性があります。

体重が減少する原因には、以下が挙げられます。

  • 甲状腺機能亢進症
  • 悪性腫瘍
  • 慢性関節リウマチなどの炎症性疾患
  • 胃腸疾患など

病気が急激な体重減少の原因となる場合もあるため、食べているにもかかわらず、体重が減ってしまう人は一度医療機関を受診しましょう。

昼夜を問わずトイレに行く回数が増えたり尿の量が増えたりする

血糖値の高い状態が続くと昼夜を問わずトイレに行く回数が増えたり、尿の量が増えたりします。

トイレの回数が増えるのは、高血糖や末梢神経の損傷が原因です。

高血糖の状態が続くと、腎臓が血液中の余分なブドウ糖を尿として排出しようとします。

糖尿病によって末梢神経が損傷を受け、排尿を制御できなくなってトイレの回数が増えます。

排尿の回数が多い状態を頻尿といい、日中のトイレの回数は8回以上が目安です。

糖尿病患者は喉の渇きから水分の摂取量が増え、尿の量が増える場合もあります。

尿の量が多い状態を多尿といい、一般的に1日の尿量が3L以上となります。

個人差はありますが、健康な人の尿量は1日1〜1.5L程度です。

ただし、頻尿や多尿には以下の原因も考えられます。

  • 過活動膀胱
  • 薬の副作用
  • 尿路感染や炎症
  • 水分の摂り過ぎ

トイレの回数や尿量は体重や環境などによっても影響を受けるため、一概には判断できません。

しかし糖尿病患者の尿にはブドウ糖が多く含まれており、甘いにおいがする場合があります。

トイレの回数が多く、尿から甘いにおいがする人は糖尿病の疑いがあるでしょう。

免疫機能の低下や血流の悪化は皮膚の乾燥やかゆみにつながる

免疫機能の低下や血流の悪化は皮膚の乾燥やかゆみにつながり、糖尿病が原因の可能性があります。

血糖値コントロールがうまくいっていないと免疫機能が低下し、細菌感染や肌トラブルの原因となります。

血糖値コントロールとは、血糖値を可能なかぎり正常値に近づけることです。

血糖値の乱高下や高血糖は血糖値コントロールを乱し、免疫機能を低下させます。

さらに糖尿病は血液がドロドロになり、血流が悪化します。

血流の悪化は皮膚に栄養や酸素が行き届かなくなるため、皮膚の乾燥やかゆみを引き起こす原因の1つです。

さらに糖尿病患者は排尿の回数が増え、脱水を起こしている場合があります。

脱水は体内の水分量が減り、皮膚の乾燥につながります。

糖尿病患者は、かゆみによる引っ掻き傷にも気を配りましょう。

糖尿病の合併症である神経障害により、引っ掻き傷が感染症につながる恐れがあります。

皮膚の乾燥やかゆみがあると無意識に掻いてしまい、引っ掻き傷ができるきっかけとなります。

肌のトラブルを防ぐためには皮膚を清潔な状態に保ち、十分な保湿が必要です。

汗をかいたらこまめに拭き、お風呂に入って洗い流します。

入浴後や皮膚に乾燥を感じた時は、保湿剤で肌の潤いを保つのが大切です。

高血糖や低血糖が起こると疲労感や倦怠感を感じる原因となる

疲労感や倦怠感を感じる原因

疲労感や倦怠感はさまざまなきっかけで生じますが、高血糖や低血糖も原因の1つです。

高血糖の状態ではブドウ糖を取り込めず、体内のエネルギー不足が疲労感や倦怠感へとつながります。

ブドウ糖を体内に取り込むには、インスリンが必要です。

しかし糖尿病患者はインスリンの分泌量や作用が不足しているため、必要なエネルギーが作り出せません。

すでに治療を行っている人は、低血糖の状態でも疲労感や倦怠感を感じる原因となります。

低血糖とは血糖値が正常値よりも低い状態のことで、一般的な基準は70mg/dLです。

血糖値が70mg/dL以下になると、以下のような交感神経症状が起こります。

  • 手指が震える
  • 汗が出る
  • 脈が速くなる
  • 顔色が青白くなる

さらに50mg/dL程度まで血糖値が下がると、以下の中枢神経症状が現れる場合があります。

  • 頭痛
  • 目のかすみ
  • 空腹感
  • 眠気や生あくび

治療で飲み薬や注射を使用している人は、低血糖を起こす可能性があります。

手足にしびれやむくみなどの症状が出る場合がある

糖尿病により、手足のしびれやむくみなどの症状が左右どちらかで起こる場合があります。

糖尿病患者が感じるしびれは、以下のように表現されます。

  • 手足がジンジンする
  • 足の裏がピリピリする
  • 足の裏に紙が張り付いているような感覚がある

しびれの原因は、高血糖による血行不良と神経の障害です。

血行不良によって末梢神経に酸素や栄養が行き届かなくなると、しびれにつながります。

高血糖は神経細胞にしびれを引き起こす物質を蓄積し、神経障害を引き起こします。

むくみは、腎機能の低下や薬の副作用によるものです。

高血糖の状態が長く続くと、糖尿病性腎症を発症する場合があります。

糖尿病性腎症は腎臓の機能が低下する病気で、糖尿病の三大合併症の1つです。

体内の余分な水分や老廃物を排出できなくなり、むくみを引き起こします。

インスリン抵抗性を改善する薬は、副作用としてむくみが出る場合があります。

しびれやむくみは足から始まる場合が多く、症状が進むにつれて範囲が広がっていくのが特徴です。

今回紹介した初期症状は男女に関係なく起こりますが、女性は糖尿病の発症リスクが高まるタイミングがあります。

女性はホルモンバランスの変化により糖尿病を発症する確率が高まる

ホルモンバランスの変化が原因

女性は妊娠や更年期のホルモンバランスの変化により、糖尿病を発症する確率が高まります。

女性ホルモンには、エストロゲンとプロゲステロンの2種類があります。

エストロゲンは女性らしい丸みのある体を作り、妊娠に備えるホルモンです。

月経周期の中で月経から排卵までの卵胞期に多く分泌されるため、卵胞ホルモンとも呼ばれています。

以下は、エストロゲンの主な作用です。

  • 子宮内膜を厚くする
  • 乳房の発育を促す
  • 骨や血管を健康に保つ
  • 脂肪の代謝を促進する
  • 自律神経を調整する
  • コラーゲンを生成する

エストロゲンは血糖値に良い影響を与え、糖尿病の予防にも関わっています。

骨や血管を健康に保つ作用によってインスリンの効きを良くし、血糖値を下げる働きがあります。

さらに脂肪の代謝を促進し、内臓脂肪の蓄積を防ぐのに効果的です。

そのためエストロゲンの分泌量が変化する妊娠と更年期以降は、糖尿病を発症する確率が高まります。

妊娠中は胎盤から分泌されるホルモンでインスリンの作用が低下する

妊娠中は胎盤から分泌されるホルモンでインスリンの作用が低下し、糖代謝が悪化する恐れがあります。

以下は、妊娠中に胎盤から分泌されるホルモンです。

  • ヒト胎盤性ラクトーゲン
  • プロゲステロン
  • プロラクチンなど

これらのホルモンはインスリンの効きを悪くするため、血糖値が上昇します。

妊娠中に初めて糖代謝の異常が見つかり、糖尿病の基準には満たない高血糖の症状を妊娠糖尿病と呼びます。

妊娠糖尿病と診断される基準は、75gブドウ糖負荷試験で以下のいずれかを満たす場合です。

  • 空腹時血糖が92mg/dL以上
  • 1時間後の血糖が180mg/dL以上
  • 2時間後の血糖が153mg/dL以上

参照元:診断のための検査 – 国立成育医療研究センター

発症する割合は妊婦全体の2〜3%ですが、本人と胎児の両方に悪影響を及ぼします。

多くの場合、出産後は血糖値が正常に戻ります。

更年期以降は女性ホルモンの分泌が減少して糖尿病のリスクが高まる

エストロゲンの減少でリスク高

更年期以降は女性ホルモンの分泌が減少して、インスリンの効きを良くするエストロゲンも減るため、糖尿病のリスクが高まります。

更年期は閉経の前後5年間をはさんだ10年間であり、一般的に45〜55歳頃を指します。

閉経の時期には個人差がありますが、平均は50歳前後です。

参照元:更年期障害 – 公益社団法人 日本産科婦人科学会

更年期に入ると、エストロゲンの分泌量が急激に減少します。

エストロゲンには脂質の代謝を改善する働きもあり、更年期は内臓脂肪が増加します。

内臓脂肪の増加は、糖尿病を発症するきっかけの1つです。

糖尿病患者は男性の方が割合は多いですが、女性もホルモンの影響で妊娠中と更年期以降に発症リスクが高まります。

糖尿病の予防や改善には食事や運動など生活習慣の改善が大切

毎日の食事や運動は血糖値に影響を及ぼすため、糖尿病の予防や改善には生活習慣の改善が大切です。

患者全体の約95%を占める2型糖尿病は、遺伝的な要因に生活習慣の乱れが重なって発症します。

糖尿病には、以下のような種類があります。

  • 1型糖尿病
  • 2型糖尿病
  • 妊娠糖尿病
  • その他の疾患によるもの

1型糖尿病の主な原因は遺伝と自己免疫であり、15歳以下の若年層が多く発症します。

インスリンがほとんど分泌されず、原則として薬物療法を行います。

それに対して2型糖尿病は生活習慣が発症に影響し、患者の割合で多いのは40代以上です。

妊娠糖尿病は上記のとおり妊娠中に発見された糖代謝異常で、胎盤から分泌されるホルモンが発症に影響します。

その他の疾患によるものは肝臓や内分泌の疾患、薬の投与が原因です。

2型糖尿病は他の種類と発症の原因が異なるため、生活習慣の改善によって予防できる可能性があります。

生活習慣の改善に効果的なポイントは、以下の3つです。

  • 栄養バランスが良い食事を規則正しく食べる
  • 適正な体重や摂取エネルギーを目指す
  • 適度に運動をする習慣を身につける

これらのポイントをふまえ、食事や運動などの生活習慣を整えると糖尿病の予防や改善に役立ちます。

栄養バランスが良い食事を規則正しく食べると血糖値の上昇を防げる

栄養バランスが良い食事

血糖値には食習慣が影響し、栄養バランスが良い食事を規則正しく食べると血糖値の上昇を防げます。

献立には主菜と副菜、汁物などを用意し、野菜を多く食べるのがポイントです。

野菜に多く含まれている食物繊維は糖質の吸収を遅らせる作用があり、食後の血糖値がゆっくりと上昇します。

他にも血糖値の急上昇を防ぐには、GI値の低い食品が有効です。

糖質が多い食事は血糖値が急激に上がるため、丼や麺類を単品で食べるのはおすすめできません。

1日3食を規則正しく食べるのも大切であり、食事の間隔が可能なかぎり等間隔になるように心がけます。

食後の血糖値は正常値に戻るまでに2〜3時間かかり、下がりきらないうちに次の食事を取ると高血糖の状態が続いてしまいます。

食事の間隔が空き過ぎるのも血糖値が急上昇する原因となるため、食事を抜くのは避けましょう。

空腹の時間が長いと、早食いや食べ過ぎにつながります。

早食いや食べ過ぎは血糖値に悪影響を与え、体重や摂取カロリーの管理を乱します。

体重や摂取カロリーの管理によってインスリン抵抗性を改善できる

肥満と糖尿病は密接に関係しており、体重や摂取カロリーの管理によってインスリン抵抗性を改善できます。

体重の減量により、脂肪が減少してすい臓の機能が回復するためです。

イギリスのニューキャッスル大学が行った研究では、発症から4年以上経過した糖尿病患者が体重を5kg以上減らしたところ、84%が血糖値を正常値に下げられたという結果があります。

肥満はすい臓の機能を低下させ、糖尿病を発症するリスクを高めます。

日本肥満学会によると、肥満と判断されるのはBMI指数が25以上です。

参照元:肥満の定義 – 日本肥満学会

BMIは体格を表す国際的な指標で、体重(kg)を身長(m)の二乗で割って算出します。

肥満には内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満の2種類がありますが、特に糖尿病の発症率が高いのは内臓脂肪型肥満です。

内臓脂肪から分泌される成分はインスリンの働きを妨げ、インスリン抵抗性を引き起こします。

体重を減量する際の目安は、以下のとおりです。

  • BMIが25以上35未満の人は現体重の3%以上
  • BMIが35以上の人は現体重の5〜10%

体重を減少させるには、摂取エネルギーを減らす必要があります。

1日に必要なエネルギー量は体格や活動量によって変わるため、人によって異なります。

高齢者や持病がある人は、医師に相談すると良いでしょう。

適度な運動を継続して行うと血糖値コントロールに役立つ

血糖値コントロールに役立つ

適度な運動を継続して行うと血糖値が下がり、血糖値コントロールに役立ちます。

運動が血糖値に良い影響を与える要因は、主に以下の2つです。

  • 血液中のブドウ糖や脂肪が消費される
  • 運動の継続によりインスリン抵抗性が改善する

運動すると血液中のブドウ糖や脂肪がエネルギー源として筋肉に取り込まれ、消費されて血糖値が下がります。

筋肉はエネルギーの貯蔵庫であり、血糖値を調整する働きがあります。

筋肉量の増加はインスリンの効果を高め、インスリン抵抗性の改善にも効果的です。

運動をやめると効果もなくなってしまうため、継続して運動する必要があります。

糖尿病に効果的な運動は、有酸素運動と筋力トレーニングです。

有酸素運動は長時間持続できる全身運動で、ウォーキングやジョギングなどが挙げられます。

筋力トレーニングは腹筋やスクワットなど、筋肉に負荷をかけて筋肉量を増やす運動です。

強度が高いトレーニングは体の負担となる場合があるため、無理のない範囲で行うようにします。

最近の研究では、有酸素運動と筋力トレーニングの組み合わせによって高い効果が得られると判明しました。

運動は体重の管理や肥満の解消、血圧の低下にも効果があります。

血糖値が高い人や初期症状がある人は、今回紹介したポイントを実践してみましょう。

糖尿病は男女関係なく全身のさまざまな部位に初期症状が現れる

糖尿病は全身の血管や神経に障害を引き起こすため、男女関係なくさまざまな部位に初期症状が現れます。

初期症状の具体例には目のかすみや尿のトラブル、疲労感などがあります。

これらの症状は他の病気が原因となっている可能性もあり、一概に糖尿病が原因とはいえません。

しかし症状が出る頃には糖尿病が進行している恐れがあるため、早めに医療機関を受診するのが重要です。

女性は妊娠中と更年期以降にホルモンバランスが変化し、糖尿病を発症するリスクが高まります。

妊娠中は胎盤から分泌されるホルモンによってインスリンの作用が低下し、血糖値が上がるためです。

更年期以降は、インスリンの働きを高めるエストロゲンの分泌量が急激に減少します。

糖尿病の発症を予防するには、食事や運動など生活習慣の改善が大切です。

栄養バランスの良い食事や適正な摂取カロリーは、インスリン抵抗性の改善に役立ちます。

継続した運動は筋肉量の増加につながり、血糖値コントロールに効果的です。

血糖値が高い人や体に気になる症状がある人は、今回の記事を参考に糖尿病の予防と改善を目指しましょう。

この記事の監修者

東京医科大学を卒業後、複数の総合病院内科、東京医科大学病院 糖尿病代謝分泌科を経て、現在の四谷内科・内視鏡クリニックの副院長に就任。


糖尿病専門医でありながら、見逃されやすい内分泌疾患にも精通した総合的な診療をおこなう。

日本糖尿病学会
糖尿病専門医

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