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血糖値が高めといわれたら?血糖値を下げる方法を基本情報とともに解説

血糖値が高めといわれたら?血糖値を下げる方法を基本情報とともに解説

健康診断で血糖値が高めといわれても、そのまま放置している人は少なくありません。

血糖値は、高い状態が続くと糖尿病へ進行します。

厚生労働省の平成28年「国民健康・栄養調査」によると、糖尿病有病者と糖尿病予備群の数はいずれも約1,000万人と推定されています。

日本人の約6人に1人が、糖尿病か糖尿病予備群です。

糖尿病は完治しない病気であり、さまざまな合併症を引き起こします。

血糖値を指摘された時点で、早めのコントロールが必要です。

では、血糖値を下げるためには、どのようにしたらよいのでしょうか。

この記事では、血糖値を下げる方法について解説します。

この記事でわかること
  • 食事で血糖値を下げる方法
  • 運動で血糖値を下げる方法
  • 生活習慣を改善して血糖値を下げる方法

血糖値が気になりはじめたときにするといい改善方法も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。

目次

血糖値とは

血糖値とは

血糖値とは、血液中のブドウ糖の濃度を表す数値です。

血糖値

人の体は、食べ物によって摂取した糖質をブドウ糖に分解し、エネルギー源として利用しています。

ブドウ糖は血液中を流れており、膵臓から分泌されるインスリンによって調整されます。

血液中のブドウ糖濃度が高ければ高血糖、低ければ低血糖の状態です。

インスリンは血糖値を調整する役割をもち、常に一定に保っています。

糖尿病は、なんらかの理由でインスリンが十分に機能しなくなり、高血糖が続く病気です。

血糖値を調べる検査

血糖値を調べる血液検査

血糖値を調べる代表的な血液検査には、血糖値とHbA1cがあります。

  • 血糖値
  • HbA1c

血糖値は、血液中のブドウ糖濃度を調べる検査です。

HbA1cは、検査前の1〜2ヶ月分のブドウ糖濃度がわかります。

血糖値とHbA1cの基準値

正常値正常高値境界型糖尿病型
血糖値空腹時:〜99mg/dL空腹時:〜109mg/dL空腹時:〜125mg/dL空腹時:126mg/dL~
HbA1c〜5.5%〜5.9%〜6.4%6.5%~

境界型の人は、普通の人と比べて糖尿病になるリスクが高い状態です。

糖尿病は1度の検査ではなく、複数回の検査によって確定されます。

数値が高い場合は、自己判断せずに必ず病院を受診しましょう。

血糖値が高いと起こる症状

血糖値は高くても、軽度であれば症状はほとんどありません。

初期の糖尿病は症状が出にくく、症状が現れる頃にはかなり血糖値が高くなっています。

糖尿病の症状は緊急性がないものが多く、症状自体は糖尿病と関連しているようにも思えないため、発見が遅れてしまいがちです。

糖尿病の初期症状
血糖値が高いと起こる主な症状
喉の渇き
頻尿、多尿
倦怠感
体重の減少
集中力の低下

定期的に健康診断を受けて血糖値を確認すると、糖尿病予防になります。

糖尿病は遺伝によって発症する可能性もあるため、家族の既往歴を確認しておきましょう。

血糖値を高いままにすると糖尿病を進行させる

血糖値が高いまま放置すると、糖尿病を進行させるリスクが高まります。

糖尿病の種類は、大きく分けて2種類あります。

  • 1型糖尿病
  • 2型糖尿病
糖尿病の進行

1型糖尿病は、インスリンの分泌が不足して血糖値が上がる病気です。

1型糖尿病患者の多くは、体内でインスリンをつくりだせないため、インスリン注射を必要とします。

2型糖尿病は、インスリン機能の低下によって血糖値が上がる病気です。

糖尿病患者の約9割は2型糖尿病で、主な原因は食事や運動不足、ストレスなどの生活習慣と考えられています。

糖尿病は高血糖が続くと、毛細血管など細い血管を損傷し3大合併症を引き起こします。

3大合併症は、糖尿病網膜症糖尿病性腎症糖尿病性神経障害です。

3大合併症が進行すると、失明や腎臓機能の低下により人工透析を余儀なくされるなど、重篤な症状へと進行しやすくなります。

血糖値のことを学び、どんなことに気を付けるとよいかを分かりやすくまとめました。動画もご覧ください。
血糖値ってどうやって下げるの?現役糖尿病内科医が解説

食事で血糖値を下げる方法

食事で血糖値を下げる方法

血糖値は食事によって上がるため、食べ方を工夫して血糖コントロールをしなければなりません。

通常であれば、食後に上がった血糖値が正常値に戻るまでは2時間程です。

血糖値が正常値に戻らない、もしくは急激に血糖値が上がると、血管内が傷つき動脈硬化の原因になります。

動脈硬化で硬くなった血管は、脳卒中心筋梗塞のリスクを高めます。

食事では、血管への負担を少なくするために、血糖値を急激に上げない食べ方の工夫が大切です。

食事と血糖値の関係とともに、食事の工夫の仕方を解説します。

1日3食をよく噛んで食べる

血糖値を下げる方法 食事1

1日2食や間食が多いなどの不規則な食生活は、食後の血糖値を急上昇させます。

特に空腹状態から食事をした場合、血糖値は低い状態からの反動で急激に上がります。

食事を抜くと、次の食事で暴飲暴食にもなりかねません。

よく噛んで食べると、消化や吸収が穏やかになり血糖値がゆっくり上昇します。

ひと口につき、30回を目安によく噛んで食べましょう。

脳が満腹感を感じやすくなるため、少量で満足できて肥満の防止にもなります。

栄養バランスのよい食事をする

血糖値を下げる方法 食事2

偏った栄養バランスの食事は、血糖値を上げてしまいます。

栄養バランスのよい食事とは、三大栄養素である炭水化物やタンパク質、脂質をバランスよく摂取する食事のことです。

主食、主菜、副菜に汁物を追加した和食が理想とされます。

主食:米、パン、麺類など
主菜:肉、魚、卵、大豆製品など
副菜:野菜、きのこ、海藻など

不足しがちなビタミンやミネラルも含め、まんべんなく食事に取り入れましょう。

血糖値を下げるためには、炭水化物を多くとりすぎないように意識する必要があります。

例えば、お米の量を半分にして肉や魚を多くする、白米ではなく食物繊維が豊富な玄米に置き換えるなどの工夫で対策できます。

食べる順番に気をつける

血糖値を下げる方法 食事3

高血糖対策には、食べる順番が大切です。

食べ物には、血糖値を上げやすいものと血糖値を緩やかに上げるものがあります。

血糖値を上げやすい食べ物は、炭水化物などの糖質が多い食品です。

食事の食べはじめは栄養の吸収がよく、糖質の多い食品を先に食べると血糖値が急激に上がります。

血糖値を緩やかに上げる食べ物は、野菜やきのこなどの食物繊維やビタミン、ミネラルを多く含む食品です。

食物繊維を多く含む食品を先に食べると、糖質が血液中に吸収されるのを遅らせ、血糖値の急上昇を抑えます。

血糖値を上げやすい食べ物血糖値を緩やかに上げる食べ物
・白米
・めん類
・パン
・果物
・甘いお菓子
・ジュース
・玄米、雑穀米
・十割そば
・全粒粉のパン
・野菜
・海藻
・きのこ

ブルーベリーなどに多く含まれるプロアントシアニジンには、糖の吸収を抑えたり血糖値の上昇を抑制する効果が確認されています。

プロアントシアニジンを多く含む食材を意識するなど心がけましょう。
プロアントシアニジンを多く含む食品一覧

運動で血糖値を下げる方法

運動で血糖値を下げる方法

血糖値は運動によって下げられるため、血糖値が高い人は継続的な運動が大切です。

血液中の糖はエネルギーとして筋肉に蓄えられ、運動をすると筋肉が糖を消費して血糖値が下がります。

運動不足は、筋力の低下によって血液中に糖が増えるため、血糖値が上がる原因です。

運動には肥満解消や血管の老化防止や血圧低下、心肺機能の改善などの効果があり、さまざまな病気の予防になります。

日常的に運動する習慣を身につけ、血糖値をコントロールしましょう。

血糖値を下げるための運動方法と、注意が必要なポイントを解説します。

有酸素運動とレジスタンス運動を組み合わせる

血糖値を下げる方法 運動1

血糖値を下げる効果がある運動は、有酸素運動とレジスタンス運動です。

両方を組み合わせると、さらに効果を引き出します。

有酸素運動とは、酸素を体内に取り入れながら継続的に軽い負荷をかける運動のことです。

レジスタンス運動とは、筋肉に繰り返し負荷をかける運動のことで、部分的な筋肉が鍛えられます。

糖尿病改善のために推奨されている運動と頻度

有酸素運動ウォーキング、ジョギング、水泳 など
ややきつい程度の運動
1週間に3回以上
1週間に150分以上
20分以上持続して行う
レジスタンス運動腹筋、腕立て伏せ、スクワット など連続しない日程
週2〜3回

特に水中運動は、有酸素運動とレジスタンス運動の両方が行えるため、おすすめの運動方法です。

運動は食べてから1時間後に行うと、食後の血糖値を改善する効果が高まります。

日常に運動を取り入れる

血糖値を下げる方法 食事2

時間がなくても、日常のちょっとした時間を使って軽めの運動が可能です。

仕事の移動時間や家事の時間も、工夫次第で運動を取り入れられます。

日常で運動を取り入れる工夫には、以下のようなものがあります。

  • 通勤時に歩く
  • エレベーターではなく階段を使う
  • 休憩時間にストレッチをする
  • 立ち止まる時はつま先立ちをする
  • 部屋の掃除をする

カラオケも有酸素運動になるため、血糖値改善に効果的です。

運動はストレス解消効果も得られるため、積極的に生活に取り入れましょう。

運動は低血糖を起こす危険性がある

運動療法 注意点

運動をすると筋肉中のブドウ糖が消費されるため、低血糖を起こす危険性があります。

低血糖とは、血糖値が70mg/dL以下になることで、薬で治療をしている糖尿病患者に多くみられます。

低血糖の主な症状
冷や汗
動悸
手指の震え
頭痛
目のかすみ
生あくび

低血糖状態が長時間続くと、意識を失うなど命にもかかわります。

薬で糖尿病治療をしてる人や心疾患などの持病がある人は、必ず主治医に相談しましょう。

生活習慣を改善して血糖値を下げる方法

糖尿病は、生活習慣病のひとつです。

生活習慣病とは食事や運動、喫煙や飲酒、休養などの生活習慣が原因となって発症する病気のことを指します。

生活習慣病にはがんや脳卒中、心疾患などがあり、死亡原因になったり健康寿命を短くしたりしてしまいます。

不健康な生活を続けると、血糖値に悪影響を及ぼしかねません。

予防のために、自分の健康状態を把握し生活習慣を見直しましょう。

特に気をつけたい生活習慣を、3つ解説します。

禁煙する

血糖値を下げる方法 生活習慣1

タバコはがんや循環器疾患、呼吸器疾患など多くの病気の原因であり、糖尿病を発症させる可能性が高くなります。

タバコには、血糖値を上げる主に2つの作用があります。

  • 交感神経を刺激して血糖値を上昇させる
  • インスリンの働きを妨げる

糖尿病患者が喫煙を続けると、脳梗塞心筋梗塞のリスクを高めます。

血糖値を下げるためには、早めの禁煙が大切です。

どうしてもやめられない場合は、禁煙外来を受けてみましょう。

オンラインの禁煙外来が増えており、自宅で受診も可能です。

過剰な飲酒を避ける

血糖値を下げる方法 生活習慣2

飲酒は、適度な量であれば血糖値に影響はありません。

しかし、アルコールを大量に摂取すると、インスリンの分泌が抑えられるため血糖値が上がります。

過剰な飲酒によって発症しやすい病気は、アルコール性肝炎アルコール性膵炎です。

アルコール性肝炎になると肝臓に貯蔵するブドウ糖を調整できなくなり、高血糖だけではなく、低血糖を引き起こします。

アルコール性膵炎も、膵臓でインスリンを作りだす機能が失われるため、高血糖や低血糖を起こす可能性が上がります。

日頃の飲酒量を調整して、飲み過ぎに注意しましょう。

ストレスを解消させる

血糖値を下げる方法 生活習慣3

ストレスは食欲不振や過食、意欲の低下などさまざまな症状を引き起こし、血糖値を上げやすくします。

ストレスによって起こる睡眠障害も、血糖値を上げる原因のひとつです。

睡眠不足によって食欲を抑えるホルモンが減少し、食欲を高めるホルモンが過剰になるため、過食や暴飲暴食を引き起こします。

不規則な食生活では血糖コントロールができず、糖尿病を進行させかねません。

糖尿病患者の30%にうつ症状があるといわれ、その原因は食事制限や治療によるストレスと考えられています。

自分に合ったストレス解消法をみつけて、ストレスを溜めないようにしましょう。

血糖値を下げるには、インスリンの働きを良くすることが重要です。

近年の研究では、ポリフェノールの一種にインスリンの分泌を促し効き目を高める作用が発見されています。
詳しくは「ポリフェノールが血糖値を下げる効能を科学的に実証」をご覧ください。

血糖値を下げるためには、食事や運動など生活習慣の改善が大切

血糖値は高いままで放置すると、糖尿病を進行させ合併症を引き起こす可能性を高めます。

血糖値を下げるためには、食事や運動など、生活習慣の改善が大切です。

食事では、血糖値の急上昇を防ぐと、血管への負担を軽減できます。

栄養バランスのよい食事を、1日3食、よく噛んで食べると血糖値の上昇が緩やかです。

運動は、体内の糖を消費して血糖値を下げます。

有酸素運動とレジスタンス運動を組み合わせると、効果的です。

タバコや過剰な飲酒、ストレス、睡眠不足などの生活習慣は血糖値に影響を与えます。

血糖値は、日々の生活を見直せば、コントロールが可能です。

血糖値が高めといわれたら、すぐに生活習慣の改善を行いましょう。

血糖値をコントロール

この記事の監修者

東京医科大学を卒業後、複数の総合病院内科、東京医科大学病院 糖尿病代謝分泌科を経て、現在の四谷内科・内視鏡クリニックの副院長に就任。


糖尿病専門医でありながら、見逃されやすい内分泌疾患にも精通した総合的な診療をおこなう。

日本糖尿病学会
糖尿病専門医

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