健康診断で血糖値が高いと言われた、家族の中で糖尿病と診断された人がいたなどの理由から、血糖値について気になっている人も多いのではないでしょうか。
健康診断結果表が手元にある場合は、血糖値やHbA1cと書いてある欄にチェックが付いていないか確認してみましょう。
血糖値が高い状態のまま放っておくと、糖尿病を引き起こす以外にも血管の病気リスクが高まるなど、さまざまな病気へ発展する可能性があります。
軽度の高血糖は症状がはっきりとあらわれない場合も多いため、高血糖が起きる原因や慢性化した場合に体に及ぼす影響などを把握して、対策や改善をするのが大切です。
この記事では、高血糖になる原因や進行した場合の病気リスク、高血糖の改善方法などについて詳しく解説します。
- 高血糖になる主な原因や症状
- 高血糖が原因で高まる病気のリスク
- 高血糖の改善方法
血糖値が高めだと言われた人や、高血糖の原因や改善方法が知りたい人はぜひ参考にしてください。
高血糖の主な原因は遺伝的要素と肥満や運動不足などの生活習慣
血糖値とは血液中の糖分量の数値を指し、血液中の糖分濃度が高い状態を高血糖といいます。
高血糖になる主な原因の1つは、遺伝的要素です。
しかし、遺伝的要素だけでなく食べ過ぎや不規則な食事、運動不足など以下のような生活習慣が強く関係しています。
早食いである | お菓子やジュースなど 甘い物をよく飲食する | 脂っこい食事が好き | 炭水化物が多い単品メニューが多い |
野菜をあまり食べない | お酒をたくさん飲む | 運動不足 | 睡眠不足 |
朝食を抜く日が多い | 夜遅くに食事を摂る日が多い | 満腹になるまで食べる | ストレスを抱えている |
上記のような生活習慣は、必要以上の糖やカロリー摂取に繋がり、すい臓に負担がかかります。
その結果、すい臓で生成されているインスリンがうまく機能しなくなり高血糖につながるのです。
高血糖を予防するためにも、毎日の食事や運動などの生活習慣について、今一度見直してみましょう。
インスリンは高い血糖値を下げる作用がある唯一のホルモン
インスリンは高い血糖値を下げられる唯一のホルモンであり、以下のような血糖値の調整や、糖を脂肪や筋肉に蓄える働きをしています。
- 血液中の糖を取り込み血糖値を下げる
- 糖を脂肪として蓄える
- 糖をエネルギーの元となるグリコーゲンに変えて肝臓や筋肉に蓄える
食後は食べた物が消化されて糖になり、小腸から血液中に流れて全身に運ばれるため、誰でも一時的に血糖値は高くなるのが一般的です。
そして健康な人の場合は血糖値が上がってもインスリンが働くため、時間の経過とともに血糖値は下がり、一定の範囲内に収まります。
脂肪がたまり肥満になると、インスリンの作用を向上させるアディポサイトカインといわれる善玉のホルモンが低下するため、インスリンの働きが低下したり効きにくくなったりします。
インスリンが効かなくなると、糖を細胞の中にうまく取り込めずに糖が血液中に溢れてしまうため、血液中の糖濃度が上がり高血糖状態となるのです。
高血糖になる原因はインスリンの効き目を下げてしまう遺伝的要素や生活習慣といえます。
ポリフェノールの一種にはインスリンの効果を高める機能がありますので、普段の生活に取り入れていくのもオススメです。
詳しくは「インスリンの働きを高めて空腹時血糖値を抑える成分」の記事をご覧ください。
空腹時血糖値と食後血糖値の正常値範囲と気を付けたい高血糖値
血糖値は健康診断などの血液検査で測定できるほか、簡易血糖測定器を使用すると自分で簡易的に血糖値を測定できます。
血糖値は、健康な人であっても空腹時と食後で正常範囲の値が異なります。
空腹時血糖値の基準は、以下のとおりです。
正常値 | 正常高値 | 境界型 | |
---|---|---|---|
空腹時血糖値 | ~99 | ~109 | ~125 |
空腹時血糖値の正常値は70-109mg/dLで、正常高値を超えて境界型と呼ばれる110~125mg/dLまで高くなると糖尿病予備群となります。
高血糖は血糖値が高い以外に痛みなどの自覚症状がないので気付きにくいですが、糖尿病予備軍から徐々に糖尿病へ進行し始めます。
そのため高血糖にならないように、普段から健康診断などを受けて、自分の空腹時血糖値がどのくらいかを把握しておくのが大切です。
食後高血糖とは食後の血糖値が下がらず高い値が続くこと
食後高血糖とは、通常食後2時間で上がった血糖値が下がるところ、2時間経過しても血糖値が異常に高いままの状態であることです。
食事をした2時間後の血糖値が140mg/dLを上回る場合、食後高血糖と定義されています。
正常値 | 食後高血糖 | |
---|---|---|
食後2時間経過 | 70-139mg/dL | 140mg/dL以上 |
健康診断で行う血糖値検査は空腹時に測定するケースが多いため、自分の食後の血糖値を知らない人も多いのではないでしょうか。
このように一見見過ごされやすいという理由から、食後高血糖は隠れ糖尿病とも呼ばれています。
慢性的な高血糖が原因で現れる症状と糖尿病が悪化すると発症する合併症
慢性的な高血糖が続き、進行していくと発症するのが糖尿病です。
一般的に軽度の高血糖ではほとんど自覚症状は感じられませんが、高血糖の進行や悪化によって以下のような症状がみられる場合があります。
思い当たる症状がある人は、病院で診察を受けてみましょう。
喉が渇く | 水分摂取量の増加 | 尿の回数や量が増える |
尿が泡立つ | 疲れやすい | 皮膚が乾燥してかゆくなる |
急激な体重の減少 | 切り傷やすり傷が治りにくい | 目がかすむ |
血糖値が高いまま生活を続けていると、次第に糖尿病が悪化して、糖尿病の慢性合併症と呼ばれる恐ろしい病気を引き起こす可能性があります。
高血糖を放っておくと血液がドロドロの状態となるため、血管の壁が傷ついたり詰まったりして血流が滞ってしまうのです。
血流が悪くなり全身につながる臓器が障害されると、糖尿病と関連してさまざまな合併症を発症します。
高血糖が原因で発症する慢性合併症
高血糖が原因で発症する慢性合併症は、主に2種類あります。
- 大血管症
- 細小血管症
大血管症とは、心臓や脳などにある太い血管が傷ついて起こる以下のような疾患のことです。
- 脳梗塞
- 脳出血
- 心筋梗塞
- 末梢動脈疾患
高血糖状態が慢性的に続くと動脈硬化が進むため、これらの病気を発症しやすくなります。
細小血管症は毛細血管など細い血管が傷つけられるために起こる合併症で、3種類あります。
- 神経障害
- 網膜症
- 腎症
大血管症と細小血管症をあわせて6大合併症ともいわれており、何年もかけてゆっくりと進行していくのが特徴です。
高血糖改善には食事と運動で行う血糖コントロールが大切
高血糖の主な原因は不規則な食事や運動不足など生活習慣の乱れによるため、血糖値を下げるには規則正しい生活を送るのが大切です。
その中でも特に、食事と運動は高血糖改善のために欠かせません。
毎日の食事で血糖値をうまくコントロールできれば、高血糖改善に繋がります。
そして血糖値を下げるためには、食事と同じくらい適度な運動も大切です。
以下では、高血糖を改善するために実践したい食事と運動について具体的に解説します。
高血糖を改善するための食事方法
人間の体に欠かせない三大栄養素といえば炭水化物、脂質、たんぱく質です。
その中でも白米やパンなどの炭水化物には、高血糖の原因となる糖質が多く含まれています。
外食する場合には、サラダや副菜が付いていて複数の栄養素が摂取できる定食を選ぶのがおすすめです。
もし単品メニューを選ぶ場合には、炭水化物を減らす代わりに副菜や野菜スープなどを追加すればバランスよく栄養を補えます。
大豆や魚などのたんぱく質、野菜や海藻などの食物繊維が多く含まれた食べ物も積極的に摂りましょう。
たんぱく質の摂取で筋肉量が減るのが抑えられ、食物繊維が糖の吸収を穏やかにします。
特に糖質を多く含む食品には、以下のようなものがあります。
- 精白米
- うどんやそうめんなどの麺類
- 甘い菓子パン
- ジュースや栄養ドリンクなどの清涼飲料水
- 砂糖を使用した菓子
- 果物
食事や間食をする際は、糖質過多にならないような食品を選ぶように心がけてください。
血糖値を下げるには、食事からの糖をコントロールすることが大切です。
最近の研究で、ポリフェノールの一種に体内での糖の吸収を抑える効果があることも知られています。
詳しくは「糖質の吸収を抑え、食後血糖値が上がりにくくする」の記事をご覧ください。
高血糖を改善するためには食べる順番にも気を付ける
血糖値を上げにくい食べ物を選ぶだけでなく、高血糖を改善するためには食べる順番も大切です。
ベジファーストとも呼ばれている野菜やきのこ類などの食物繊維を最初に食べる方法は、血糖値の急激な上昇を防ぎ、肥満防止にも役立ちます。
食事の際は、以下のような順番を意識して食べましょう。
- 野菜やきのこ類
- 汁物
- 魚や肉などの主菜
- 炭水化物
同じものを食べたとしても、食べる順番によって血糖値の上がり方が変わってきます。
高血糖を改善するための運動方法
高血糖を改善するための運動方法でおすすめなのが、有酸素運動と筋肉に抵抗をかけるレジスタンス運動です。
有酸素運動には、以下のような種類があります。
- ウォーキング
- ジョギング
- ラジオ体操
- 水泳
- 自転車
有酸素運動においては、運動しない日を2日間以上空けないという点も大切です。
例えばウォーキングを行う場合の歩数目安は、1日10,000歩が推奨されています。
運動をする時間が確保できないという人は、通勤時に駅のエスカレーターを階段に変える、外出時は1つ前の駅で降りて歩く時間を増やすなど日常生活でできる運動を取り入れてみましょう。
そして、もう一つのレジスタンス運動には、以下のような種類があります。
- スクワット
- 腕立て伏せ
- 腹筋
- ダンベル
レジスタンス運動は筋肉に負荷をかける運動となるため、負荷をかけた筋肉に十分な回復期間が必要です。
そのためレジスタンス運動は毎日行わず、2~3日に1回程度、週に2~3回のペースで行います。
高血糖改善のためには継続的な運動が効果的なため、最初は軽い運動から始めて、無理をせず自分のペースで続けていくようにしてください。
高血糖の原因と改善方法を知って悪化しないように早期対策をしよう
高血糖は目には見えず自覚症状もほとんどないため、少しずつ体にダメージを与えていたとしても自分では気付きにくいです。
しかし気付かずに高血糖が進行してしまうと、糖尿病や慢性合併症などを引き起こす可能性もあります。
自覚症状がない人でも、健康診断で血糖値が高めと診断された人や普段生活習慣が乱れている人は、高血糖予防のためにも一度生活習慣を見直してみるのをおすすめします。
高血糖は食事や運動などで血糖値をコントロールすれば、改善が期待できます。
高血糖改善のための食事改善と運動を、ぜひ自分の無理のない範囲で今日から始めてみましょう。
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