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糖尿病患者におすすめの糖質制限食プランをご紹介!

糖尿病患者におすすめの糖質制限食プランをご紹介!

糖尿病は、血糖値のコントロールが必要な疾患であり、適切な食事療法が重要な役割を果たします。

今回は糖尿病患者に適した糖質制限について、わかりやすくまとめました。

この記事を読んでわかること
  • 糖質制限は糖尿病の改善に効果がある食事療法
  • 糖質制限の種類
  • おすすめのレシピ
  • 糖質制限を成功させるコツ

 糖尿病の疑いがある人、糖尿病で食事に悩んでいる人など、糖質制限食に興味のある人はぜひ参考にしてみてください。

目次

糖質制限とは糖質の摂取量を減らす食事療法

糖質制限とは糖質の摂取量を減らす食事療法

糖質制限は、糖尿病の改善に効果的な食事療法です。

糖尿病は主に体内でインスリンが十分に働かなくなり、血糖値の調整が難しくなった結果、血糖値が高い状態が続く病気をいいます。

インスリンは、血液中の糖分(グルコース)を細胞に取り込ませてエネルギーに変えるホルモンです。

人が糖質を摂取すると、それは体内で分解されて血液中のグルコース濃度が上昇します。

通常インスリンはグルコース濃度を抑えますが、糖尿病患者では正常に機能しません。

そのため、食事の際に糖質を減らして血糖値の急上昇を防ぎ、血糖値を安定させるのが重要です。

糖尿病患者が糖質を減らすと、次のようなメリットがあります。

糖尿病患者糖質制限メリット
  • 血糖値が下がる
  • インスリンの感受性を高める
  • 体脂肪が減る
  • 糖尿病の合併症のリスクを減らす

糖尿病の改善が期待できるため、医師に相談して糖質制限を始めましょう。

糖質制限には3種類ある

糖質制限には3種類ある

糖質制限には、1日の糖質摂取量にあわせて3種類あります。

  • スタンダード糖質制限:1日の糖質摂取量を70~100g
  • プチ糖質制限:1日の糖質摂取量を110~140g
  • スーパー糖質制限:1日の糖質摂取量は20g以下

糖尿病の場合は、スタンダード糖質制限もしくはスーパー糖質制限食が推奨されます。

プチ糖質制限食は、糖質を抑えたダイエット目的の人に奨められるケースが大半です。

ここからは、糖尿病に関係の深いスタンダード糖質制限とスーパー糖質制限食についてご紹介します。

無理なく続けられるスタンダード糖質制限

スタンダード糖質制限

スタンダード糖質制限は、1日の糖質摂取量を70〜100gに制限する方法です。

極端な制限をせずにバランスの取れた食事をしながら糖質を減らすため、無理なく続けられます。

具体的な食事例としては主食を制限し、タンパク質の肉類や魚野菜を中心にしたメニューです。

タンパク質や脂質を豊富に含む食材を使用するため、満腹感を得られるほか、食事後の間食を防ぐ効果も期待できます。

さらに朝食のパンを全粒粉トーストに、白米を玄米に変える食事にした場合、血糖値の急上昇を防げます。

はじめて糖質制限に挑戦する人は比較的緩やかな糖質制限を行い、糖尿病予防や健康維持を目指しましょう。

厳しいが効果の期待できるスーパー糖質制限

スーパー糖質制限

スーパー糖質制限は、1日の糖質摂取量を20g以下に制限する方法です。

炭水化物の摂取を大幅に制限し、主にタンパク質や脂質を中心とした食事を行います。

効果の高い糖質制限方法ですが、低血糖のリスクが高くなるデメリットもあります。

ビタミンやミネラル不足にならないよう、医師の指導のもとサプリメントや薬を使う方法が望ましいです。

また腎機能が低下している人や肝硬変の人は不向きな場合もあるため、医師や専門家などの指導を受けてください。

食事例としては朝食には長時間満腹感を維持できるメニューとし、昼食と夕食には質の高いタンパク質源や低糖質の野菜を取り入れると、栄養バランスを保てます。

たとえば昼食にはゆで卵1個、セロリスティック、茹でたチキンと野菜などのメニューが挙げられます。

医師のアドバイスを参考に、自分のライフスタイルや健康目標に合わせてスーパー糖質制限を行うようにしましょう。

糖尿病患者向けのおすすめの糖質制限食プラン

はじめて糖質制限に挑戦する人は、医師に相談したうえでスタンダード糖質制限を実施します。

1日の糖質摂取量を70~100gに制限して、血糖値の安定と合併症の予防を目指しましょう。

糖尿病患者向けの1日の糖質制限食に推奨されるプランを紹介します。

糖尿病患者向けおすすめの糖質制限食プラン
食事推奨されるメニュー
朝食玄米や納豆、わかめ入りの味噌汁、無糖ヨーグルトなど
間食寒天ゼリーやナッツ、小魚など
昼食鶏肉のグリル、ブロッコリー、サラダなど
夜食鮭のムニエル、蒸し野菜、サラダなど

糖質制限食プランを参考にした食事メニューを続けると、糖尿病の合併症のリスクが減り、より健康的な生活を送れます。

ブルーベリーなどに多く含まれるプロアントシアニジンには、糖の吸収を抑えたり、血糖値の上昇を抑制する効果が確認されています。

プロアントシアニジンを多く含む食材を意識するなども心がけるとよいでしょう。
プロアントシアニジンを多く含む食品一覧

糖質制限を成功するためのコツは無理をしない

糖質制限を成功するためのコツは無理をしない

糖質制限は健康を改善し、体重管理や糖尿病予防に効果的な食事療法です。

しかし正しく行わないと効果が出なかったり、体調を崩したりする恐れがあります。

さらに厳しすぎる糖質制限は、糖尿病患者の生活の質を下げてしまう結果にもなりかねません。

ここからは、糖質制限を成功するためのコツを紹介します。

糖質制限成功のコツ
  • 目標を明確にする
  • 無理のない糖質制限量を設定する
  • 糖質の多い食品を控える
  • 継続する
  • 生活習慣全般を見直す

糖質制限にチャレンジする人や挫折した経験のある人は、ぜひ参考にしてみてください。

目標を明確にする

なぜ糖質制限をするのか、具体的な目標を明確にしておきましょう。

糖尿病の人は、血糖値の安定、健康増進などが目的になります。

糖質制限が続くとストレスが溜まり、心が折れてしまう人もいるかもしれません。

しかし具体的な目標を設定すると、無理なくモチベーションが維持できます。

一例として、血液中のヘモグロビンが糖と結びついた割合を示すヘモグロビンA1cの数値を7%未満にする取り組みが挙げられます。

ヘモグロビンA1cの数値が抑えられると合併症のリスクが抑えられるため、糖尿病患者は意識したいポイントです。

糖尿病の人は家族と共通の目標を持ち、毎日の糖質制限を続ける姿勢を大切にしてください。

無理のない糖質制限量を設定する

糖質制限の目標量を最初から厳しく設定してしまうと体調を崩したり、強いストレスを感じたりしてしまいます。

ストレスは食欲や血糖値に影響を与えるため、健康を害してしまう可能性もあります。

最初は、1日の糖質を100g程度に減らす無理のない範囲から始めましょう。

近年では、コンビニやスーパーでも糖質を抑えつつ美味しい食品も販売されています。

手軽に用意できるほか、美味しい食材から糖質制限を始める方法も一つです。

そして慣れてきたら、徐々に糖質摂取量を減らしていくようにします。

糖質の多い食品を控える

糖質制限をすると決めたら、糖質の多い食品はなるべく控えるようにします。

総糖質摂取量を効果的に減らし、血糖値の安定化と体重管理を実現できます。

次のような食材は糖質が多いといわれているので、なるべく避けるようにしましょう。

  • 白米
  • パン
  • 麺類
  • お菓子
  • ジュース

ただし急激な変更は難しいため、徐々に代替品に置き換えていく方法がおすすめです。

たとえば白米は玄米に、パンやお菓子は低糖質のベリー類などに置き換える方法があります。

あわせて砂糖入り飲料はなるべく避けて、水や無糖のお茶に切り替えると継続も容易です。

栄養バランスにも配慮しつつ、自分に合ったペースで実践します。

継続する

糖質制限は、短期間で効果が出るわけではありません。

徐々に血糖値が下がり、体重が減り、健康的な体質へと改善していきます。

日常生活に自然に糖質制限を取り入れると、ストレスなく続けられるようになります。

個人の趣向に合わせ、楽しみながら行えるように工夫するのは大事です。

たとえば新しい低糖質レシピを試してみたり、お気に入りの食材を使ったメニューを考えたりする方法が挙げられます。

一人での継続が困難に感じる人は、糖質制限を実践しているコミュニティに参加して情報交換をしたり成功体験を共有したりすると、モチベーション維持につながります。

目標体重に近づいたら新しい服を買うといった、ご褒美を用意する方法もよいでしょう。

糖質制限を成功させるためには、無理なく継続できるように習慣化できるかが大切なポイントです。

生活習慣全般を見直す

糖質制限を成功させるためには、食事だけでなく生活習慣全般を見直す姿勢が重要です。

食事制限だけでなく運動や睡眠の改善が加わると、糖質制限の目的である健康改善や体重管理が容易になります。

たとえば医師に相談のうえで毎日30分のウォーキングを習慣化し、就寝や起床時間を一定に保つ取り組みが望ましいです。

あわせてストレスを適切に管理し、リラックスする時間を設けると良いでしょう。

ゆっくり食事を楽しむ環境づくりをするのも、食事の質を高めるためおすすめです。

生活習慣全般の見直しは、糖質制限の成功だけでなく、総合的な健康増進と生活の質の向上にもつながります。

糖尿病対策には、食事からの糖をコントロールすることが大切です。
最近の研究で、ポリフェノールの一種に体内での糖の吸収を抑える効果があることも知られています。
詳しくは「糖質の吸収を抑え、食後血糖値を上がりにくくする成分」の記事をご覧ください。

糖質制限にはリスクもある

糖質制限にはリスクもある

糖質制限は適切に行う限り、糖尿病の予防や改善に効果的な方法です。

ただし極端な糖質制限は、次のような問題を引き起こす可能性があります。

極端な糖質制限リスク
エネルギー不足過度な糖質制限は脳のエネルギー不足を招き、低血糖症状として頭痛や眠気などが現れるリスクがある。
便秘になる食物繊維の摂取が不足すると、お通じが悪くなる。
心理的ストレス友人との食事会や旅行時に食事制限のストレスを強く感じ、過食に走ってしまうケースがある。
栄養バランスの偏りタンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養素が不足すると、体調不良や筋力低下などのリスクがある。

ここからは、上記のリスクを避けるための具体策をご紹介します。

専門家の指導を受ける

糖質制限 リスク回避1

糖質制限を始める際は、医師をはじめとする専門家に相談して実施しましょう。

個々の健康状態や目標に応じた適切なアドバイスを受けると、効果的に糖質制限ができます。

糖尿病は種類や重症度、合併症の有無など患者ごとに病状が異なります。

糖質制限の程度や方法も、状況に合わせての調整が必要です。

また、糖尿病患者の中には薬物療法を受けている人もいます。

自己流で糖質制限を開始するとインスリンや経口血糖降下薬の用量調整が必要になる場合があり、治療計画に影響する恐れもあるかもしれません。

医師の指導のもとでインスリン量を徐々に減量し、低血糖を防ぎながら血糖コントロールを改善する方がより効果が期待できます。

糖尿病患者が糖質制限を行う際は、医師との緊密な連携が不可欠です。

最初にかかりつけの医師に相談してから、糖質制限を実施する方法を考えてください。

低血糖に注意する

糖質制限 リスク回避2

糖質制限を行うと血糖値が下がる場合が多く、低血糖のリスクが高まります。

低血糖は、次のような症状が出ます。

  • めまい
  • 立ちくらみ
  • 手足の震え

対策として必要最低限の糖質量を確保し、急激な糖質制限は避けましょう。

さらに食事の間隔があく場合や運動後は、クッキーや飴などの糖質の多い食べ物を少量摂取する方法も低血糖対策になるためおすすめです。

血糖値の急激な低下は、身体への負担が大きくなります。

必要最低限の糖質量を確保し、食事の間隔や運動量に合わせて糖質制限に取り組む姿勢が大切です。

水分を十分に摂取する

糖質制限 リスク回避3

糖質制限を行うと、脱水症状のリスクが高まります。

糖質制限中に糖質に代わるエネルギー源として、体内で生成されるのがケトン体です。

ケトン体の増加は血液を酸性に傾け、糖尿病の重篤な合併症であるケトアシドーシスと呼ばれる状態を引き起こす要因になります。

さらにケトン体の蓄積は尿量を増加させる傾向があるため、体から水分が減り脱水のリスクを高めます。

適切な水分補給は、ケトン体の適切な代謝と排出を促進し、血液中の濃度を下げるのに必要です。

一日のうちに、定期的に水分を摂る習慣を心がけましょう。

また糖質制限中は、スポーツドリンクやジュースなど糖分を含む飲料は血糖値を上げる原因となるため、おすすめできません。

水や無糖のお茶、炭酸水などが適しています。

定期的な水分補給、適切な飲料の選択は、糖質制限の成功に欠かせません。

糖質制限で糖尿病を改善しよう

糖尿病は、血糖値をコントロールするインスリンの働きが低下してしまう慢性疾患です。

近年、糖尿病患者の血糖値コントロールに効果的な方法として、糖質制限が注目されています。

糖質制限とは、糖質の摂取量を制限して、血糖値の上昇を抑える食事療法のことです。

適切な方法で進める限り、糖質制限は糖尿病患者の血糖値を大幅に改善できます。

ただし、糖尿病患者が糖質制限を行う際は、医師の指導のもとで慎重に進める姿勢が大切です。

急激な制限は低血糖のリスクを高め、栄養バランスを崩すリスクがあります。

また糖質制限だけでなくではなく、適切な薬物療法や生活習慣改善と組み合わせて糖尿病改善に努める方法が有効的です。

医師や管理栄養士などの専門家の指導のもとに進め、自分に合った方法で効果的に糖質制限を行いましょう。

効果的な糖質制限で糖尿病を改善しよう

この記事の監修者

東京医科大学を卒業後、複数の総合病院内科、東京医科大学病院 糖尿病代謝分泌科を経て、現在の四谷内科・内視鏡クリニックの副院長に就任。


糖尿病専門医でありながら、見逃されやすい内分泌疾患にも精通した総合的な診療をおこなう。

日本糖尿病学会
糖尿病専門医

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