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トマトジュースが血糖値を下げる理由や糖尿病予防に効果的な飲み方も解説

トマトジュースが血糖値を下げる理由や糖尿病予防に効果的な飲み方も解説

健康的な飲み物の代名詞といえば、トマトジュースです。

テレビや雑誌などでは、トマトやトマトジュースの健康効果についての特集がよく組まれています。

ヨーロッパではトマトが赤くなると医者が青くなるということわざがあるほど、トマトは栄養価が高いと評価されている野菜の1つです。

血糖値の高さが気になる人の中には、トマトジュースは血糖値を下げる、トマトジュースは糖尿病予防になるという情報を耳にした人もいるのではないでしょうか。

実際に、トマトジュースを継続的に飲んでいる人は飲まない人と比べて血糖値低下に効果があり、糖尿病リスクを下げられると複数の研究結果から示されています。

この記事では、トマトジュースで血糖値が下がる理由や糖尿病予防につながるトマトジュースの効果的な飲み方について解説します。

この記事を読んで分かること
  • トマトジュースを飲むと血糖値が下がる理由
  • 血糖値低下につながるトマトジュースの成分
  • 糖尿病を予防する効果的なトマトジュースの選び方や飲み方

トマトジュースを飲んで血糖値低下を目指したい人や、血糖値低下に効果的なトマトジュースの摂取方法が知りたい人は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

トマトジュースの成分と血糖値低下に効果的な理由

トマトジュースの成分と血糖値低下に効果的な理由

医師専用サイトMedPeer(メドピア)が7万人の医師へ、健康のために積極的に食べている食材をアンケート調査したところ、第一位にトマトが選ばれました。

参考:「世界一受けたい授業」で発表した『医師7万人のアンケートでわかる。お医者さんのベストチョイス!』番組内では放送されなかったアンケート結果全体を一挙公開!

トマトやトマトジュースは健康に良いと認知されていますが、医師からも評価を得て、より一層注目が高まっています。

以下は、栄養価が高いとされている食塩無添加のトマトジュースの栄養成分です。

炭水化物ナトリウム糖質
食物繊維カリウムカルシウム
リコピンGABAたんぱく質
マグネシウムリンビタミン類

トマトジュースにはリコピンビタミンAやEなどのビタミン類や食物繊維といった多くの栄養成分が含まれています。

豊富な栄養成分の中でも、特に血糖値低下に関係している成分がリコピンと食物繊維の2つです。

主な栄養成分

トマトジュースに含まれるリコピンがもたらす血糖値への影響

リコピンはカロテノイドという色素成分の1つであり、トマトの赤い色素に含まれています。

そして、トマトやスイカなど限られた野菜や果物のみに含まれているのが特徴です。

トマトジュースに含まれているリコピンには、以下のような効果が期待できます。

  • 血糖値低下
  • 動脈硬化等の生活習慣病予防
  • 消化器官のガン予防
  • 骨折の修復効果
  • 花粉症の緩和
  • 体や肌の老化防止

名古屋文理大学では、糖尿病患者にトマトジュースを摂取させて、血糖値低下とリコピンの関係性の研究を行いました。

食塩やショ糖が無添加のトマトジュースを1日1本1年間毎日飲み続けたところ、血糖値が低下したという結果が示されました。

リコピンが血糖値を低下させる理由として、リコピンに含まれている抗酸化作用が挙げられます。

リコピンの抗酸化作用には、血糖値を下げるためのホルモンであるインスリンの働きを促す効果があります。

糖尿病はインスリンの効きが悪かったりインスリンの分泌が少なかったりして、血液中にブドウ糖が増えてしまう病気です。

そのためインスリンの分泌が増えて十分に働くようになれば、血糖値の急激な上昇が抑えられて血糖値が下がり、糖尿病予防にもつながります。

フランス国立衛生医学研究所の研究でも、抗酸化物質を豊富に含む食品の摂取が糖尿病リスク低下につながると示されています。

そして、トマトジュースに含まれているリコピンの抗酸化作用は、ビタミンEの100倍以上です。

さらに、強い抗酸化作用があるとされているアスタキサンチンやニンジンやブロッコリーなどに含まれているβカロチンよりも、作用が強いともいわれています。

そんな強力な抗酸化作用のあるトマトジュースの継続的な摂取は、糖尿病予防だけでなく、ガンや心疾患などざまざまな病気リスクの軽減にもつながっています。

トマトジュースに含まれるリコピンの抗酸化作用

トマトジュースが血糖値を下げると言われる要因のひとつは、リコピンの持つ高い抗酸化作用にあります。

抗酸化作用が高い食品や成分について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

トマトジュースの1つである食物繊維がもたらす血糖値への効果

トマトに含まれている食物繊維には、腸内環境を整える以外にも糖の吸収を抑えて血糖値の上昇を穏やかにする作用があります。

さらに、食後血中中性脂肪の上昇を抑える効果も報告されています。

そのためトマトジュースは、血糖値が気になるという人以外にも、血圧や中性脂肪が気になるという人にも適した飲み物です。

血糖値低下に効果的なトマトジュースの選び方と飲み方

血糖値低下に効果的なトマトジュースの選び方と飲み方

トマトジュースには、メーカーによって食塩や砂糖が添加されているものや糖質が多く含まれているものもあります。

トマトジュースを選ぶ際には、以下の点を意識しましょう。

  • 食塩無添加であるか
  • 砂糖不使用であるか
  • 糖質は10%未満であるか

トマトジュースには、トマト独特の味を飲みやすくするために食塩が入っているものもあります。

しかし、塩分の摂り過ぎは糖尿病リスクが上昇するため、パッケージに食塩無添加と書かれているトマトジュースを選ぶのがおすすめです。

そして、一般的には砂糖不使用のトマトジュースが多く販売されていますが、中には加糖されているものや糖質の高いトマトジュースもあります。

そのため砂糖不使用かどうかを確認するに加えて、果糖ぶどう糖液糖と表記があるトマトジュースは血糖値を急上昇させやすいため、避けるのが無難です。

トマトジュースは糖質の低い飲み物である

血糖値低下に効果的なトマトジュースの選び方

トマトジュースに含まれている糖質は一般的に100gあたり2.9gで、フルーツジュースなどと比較しても糖質の低い飲み物です。

トマトジュース2.9g
りんごジュース10.8g
ぶどうジュース13.9g
パインアップルジュース10.2g

参考:第2章日本食品標準成分表

しかし、トマトジュースの中には、かぼちゃやさつまいもなど甘い野菜を加えて野菜ジュースとして販売されているものもあります。

選ぶ際は、パッケージに記載ある糖質が10%未満であるかを確認しておきましょう。

糖質という記載がない場合には、炭水化物の項目が10%未満になっているかどうかを確認してください。

トマトジュースの効果的な摂取量と飲むタイミング

トマトジュースを摂取して血糖値低下を目指すためには、効果的な摂取量と飲むタイミングも大切です。

効果的な摂取量とタイミング

効果的なリコピンの推奨量は、1日15~20mgとされています。

食塩無添加のトマトジュースには200mlあたり約16~30mgのリコピンが含まれているため、トマトジュースは1日200mlを目安に飲むのがおすすめです。

そして血糖値の上昇を抑制して、さらにトマトジュースから効率よくリコピンを吸収するためには、朝食の30分前にトマトジュースを飲みましょう。

カゴメ株式会社の研究では朝8時と昼12時、夜20時の時間帯でトマトジュースを摂取したところ、朝8時に摂取するのが血中リコピン濃度が高く出たと示されています。

参考:朝にトマトジュースを飲むと機能性成分“リコピン”が効率的に吸収されることを“ヒト試験”で確認

朝に摂取すると、より体内にリコピンを吸収できる理由として、朝は夜食事をしてからの絶食時間が長くなる点が挙げられます。

それは寝ている長い時間に空腹状態となり、体が朝最初に食べたものをより吸収しようとはたらくためです。

さらにカゴメ株式会社はもう1つ、白米を食べる15分前と30分前、60分前に野菜ジュースを摂取して食後の血糖値を調査しました。

その結果、白米を食べる30分前に野菜ジュースを飲むのが血糖値上昇の抑制に、より効果的であると分かりました。

この2つの研究結果から、1日1回、食塩無添加のトマトジュース200mlを朝食の30分前に摂取するのがトマトジュースの効果的な摂取量とタイミングといえます。

ブルーベリーなどに多く含まれるプロアントシアニジンには、糖の吸収を抑えたり、血糖値の上昇を抑制する効果が確認されています。
プロアントシアニジンを多く含む食材を意識するなども心がけるとよいでしょう。
 プロアントシアニジンを多く含む食品一覧

血糖値低下のためにトマトジュースと一緒に摂りたい食材

血糖値低下のためにトマトジュースと一緒に摂りたい食材

血糖値低下に効果が期待できるリコピンは、トマトジュースのほか生のトマトからも摂取できます。

しかし、生野菜から体内へ吸収できる量は少ないため、生のトマトよりもトマトジュースなどの加工品から摂取した方が2~3倍もリコピンを吸収できるとされています。

そして、リコピンをより効果的に体内に吸収するために一緒に摂りたいのが以下の食材です。

  • オリーブオイルなどの油脂
  • 牛乳やヨーグルトなどの乳製品
  • たまねぎ、ブロッコリー、にんにく、キャベツなどの野菜
リコピンの吸収率を上げる食材

リコピンは熱に強く、調理の際熱を加えても成分は減少しないのが特徴です。

さらに油に溶けやすい性質ももっているため、トマトジュースと一緒に油を摂取するとよいでしょう。

油の中でも、オリーブオイルは特にリコピンの吸収率が高いという結果が出ています。

そして牛乳やヨーグルトなどの乳製品、たまねぎやブロッコリー、にんにくやキャベツなどの野菜もリコピンの吸収率が上がると明らかになっています。

リコピンの吸収率を上げる食材を使ったトマトジュースアレンジレシピ

以下では、一緒に摂るとリコピンの吸収率が上がる食材を使用して、簡単にできるトマトジュースのアレンジレシピを2品紹介しています。

食材には糖の吸収がゆるやかで血糖値を急激に上げないGI食品を取り入れて、より血糖値低下を目指せるレシピになっています。

最初に紹介するのは、玄米を使用したトマトチーズリゾットです。

玄米は血糖値の急上昇を抑える食物繊維が豊富に含まれている低GI食材で、食べ応えもあるため、無理なく血糖値管理ができるメニューといえます。

トマトチーズリゾットに必要な1人分の材料は、以下のとおりです。

  • 玄米1合
  • 無塩トマトジュース2カップ
  • にんにく1片
  • たまねぎ半分
  • 鶏むね肉30g
  • 低脂肪チーズ50g
  • 塩コショウ少々

作り方も簡単で、鍋にオリーブオイルを入れてみじん切りにしたたまねぎとにんにく、鶏むね肉を炒めます。

次に、洗った玄米も加えて炒めたらトマトジュースを入れて、中火で玄米が柔らかくなるまで煮込んでください。

最後に低脂肪チーズを入れて、塩コショウで味を整えたら完成です。

次は、サラダにかけるトマトジュースのドレッシングを紹介します。

トマトジュースのドレッシングに必要な材料は、以下のとおりです。

  • 無塩トマトジュース大さじ2
  • オリーブオイル大さじ1
  • ヨーグルト大さじ1
  • レモン汁大さじ1
  • にんにくすりおろし小さじ1/2
  • 塩コショウ少々

作り方は、全ての材料を混ぜ合わせるだけなので簡単です。

ドレッシングをかけるサラダの種類には、ブロッコリーやたまねぎ、キャベツなどを入れるとさらにリコピンの吸収率を上げられます。

血糖値低下に役立つトマトジュースを継続的に摂取しよう

トマトジュースにはリコピンや食物繊維が豊富で、血糖値低下や糖尿病予防につながると分かりました。

しかしトマトジュースにも糖質は含まれているため、飲み過ぎてしまうと糖質の過剰摂取につながり、血糖値が上がってしまう可能性も考えられます。

そのため適量を守り、トマトジュースは1日200ml程度を目安にして飲むのが大切です。

そして、よりリコピンを効果的に摂取するためには、体に多く吸収されるタイミングである朝食の30分前にトマトジュースを飲むとよいでしょう。

トマトジュースをそのまま飲むのが苦手な人は、トマトスープなどの料理に活用すると無理なく摂取できます。

栄養価が高く医師も推奨しているトマトジュースを毎日の習慣にして、血糖値低下や糖尿病予防に役立ててください。

トマトジュースを習慣化し血糖値低下や糖尿病予防に役立てましょう

この記事の監修者

東京医科大学を卒業後、複数の総合病院内科、東京医科大学病院 糖尿病代謝分泌科を経て、現在の四谷内科・内視鏡クリニックの副院長に就任。


糖尿病専門医でありながら、見逃されやすい内分泌疾患にも精通した総合的な診療をおこなう。

日本糖尿病学会
糖尿病専門医

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