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オリゴ糖が糖尿病に役立つ理由やオリゴ糖の上手な選び方も徹底解説

オリゴ糖が糖尿病に役立つ理由やオリゴ糖の上手な選び方も徹底解説

糖尿病は、生活習慣の改善や食事管理が重要な疾患です。

中でも血糖値の急激な上昇を抑えるオリゴ糖は、血糖値を安定させるとして注目されています。

現在オリゴ糖と名の付く商品は、粉末タイプだけでなく、飲み物やお菓子などさまざまな種類が販売されています。

しかし、オリゴ糖は体に良いと聞いたものの本当に糖尿病の改善に役立つのか、オリゴ糖なら何でも良いのかなどと疑問をもっている人もいるでしょう。

この記事では糖尿病対策にオリゴ糖が役立つ理由、オリゴ糖の上手な選び方などについて分かりやすく解説します。

この記事で分かること
  • 糖尿病の人や糖尿病予防にオリゴ糖が役立つ理由
  • オリゴ糖の種類や人工甘味料との違い
  • 糖尿病対策としてオリゴ糖を選ぶ際に気を付けたい3つのポイント

糖尿病にオリゴ糖が役に立つ理由が知りたい人や、オリゴ糖を活用して糖尿病予防をしたい人はぜひ最後までご覧ください。

目次

オリゴ糖は血糖値への影響が少ないため糖尿病予防に役立つ

オリゴ糖は血糖値への影響が少ないため糖尿病予防に役立つ

オリゴ糖は血糖値の急上昇を防ぎ、血糖値を一定に保つ働きをするインスリンの分泌にも影響しないため、糖尿病予防や糖尿病の人にも役立つ糖質です。

オリゴ糖が糖尿病に役立つ理由は、人間がもつ体のしくみとオリゴ糖との関係性にあります。

オリゴ糖は糖質の一種で、オリゴはギリシャ語で少ないという意味をもつ単語です。

糖質にはさまざまな種類がありますが、主に以下の5種類に分けられます。

  • 単糖類:ブドウ糖や果糖など単糖が1個のみ
  • 二糖類:砂糖など単糖が2個つながったもの
  • オリゴ糖:単糖が3~10個つながったもの
  • 多糖類:イモなどのでんぷんで10個以上つながったもの
  • 糖アルコール:キシリトールなど単糖を還元して人工甘味料として利用したもの

血糖値が急激に上昇するかどうかは、糖質が小腸から吸収される速度によって変わります。

人間が糖質を摂取すると、基本的に単糖という1つの状態になるまで消化をしてから小腸で吸収されて、さらに糖が血液に流れて血糖値が上がります。

しかし単糖類二糖類の場合は単糖が1個や2個など数が小さいため、時間をかけて消化をしなくても早く小腸に吸収されるのが特徴です。

消化吸収が早いほど血糖値が急激に上昇して、すい臓が血糖値を下げるためのインスリンを大量に分泌しようとはたらきます。

血糖値の急上昇やインスリンの大量分泌が続くと次第にすい臓が疲弊し、インスリンの分泌が減り、糖尿病を発症する可能性が高くなるのです。

一方でほとんどのオリゴ糖は難消化性オリゴ糖と呼ばれ、人間の体内にある消化酵素でほとんど分解されないという特徴があります。

さらにオリゴ糖や多糖類は単糖が3個以上つながっているため、消化酵素がつながっている単糖を分解するまでには時間を要します。

オリゴ糖を摂取しても小腸で消化吸収しないまま大腸まで届くため、血糖値やインスリンの分泌にほとんど影響がないのです。

糖尿病とは血糖値が高い状態が慢性的に続く疾患のこと

糖尿病は、すい臓で作られているホルモンの一種であるインスリンが十分に働かないために、血液中に流れる糖が基準を超えて高い状態が慢性的に続く病気です。

糖尿病はいくつかの検査結果を総合的にみて判断しますが、以下の場合に糖尿病である可能性が高いとされています。

  • 空腹時血糖値が126mg/dl以上
  • 食後の血糖値が200mg/dl以上
  • ヘモグロビンA1cが6.5%以上

糖尿病は別名サイレントキラーとも呼ばれており、初期症状がほとんど現れないのが特徴です。

初期段階では糖尿病を発症していても気が付かない場合もあり、血糖値が高い状態が続くと以下のような症状が現れてきます。

  • 喉の渇き
  • 多飲
  • 多尿
  • 尿が泡立つ
  • 体重減少
  • 倦怠感

血糖値が高い状態を放っておくと、少しずつ血管が詰まったり神経が傷ついたりしてさまざまな合併症を引き起こす可能性が高くなります。

糖尿病特有の合併症として、以下の3つが糖尿病の三大合併症と呼ばれています。

  • 糖尿病網膜症
  • 糖尿病腎症
  • 糖尿病神経障害

三大合併症のほかにも、太い血管にダメージを受けて動脈硬化が起こると、心筋梗塞脳梗塞などを引き起こす場合があります。

糖尿病の原因と対策

糖尿病には免疫異常による1型糖尿病がありますが、遺伝や加齢に加えて肥満や過食、運動不足やストレスなどの生活習慣によって発症する2型糖尿病もあります。

2型糖尿病は、生活習慣病とも呼ばれている代表的な糖尿病で、日本人糖尿病患者のうち約9割は2型糖尿病であるとされています。

糖尿病を防ぐためには、食べ過ぎや糖質の取り過ぎ、運動不足などの生活習慣を改善するのが重要です。

そのため糖尿病治療では、主に食事療法運動量療法薬物療法の3本を柱として進められます。

その中でも、血糖値に直接影響する食事は特に大切です。

血糖値に影響しない食品や血糖値を急激に上げない食品は、高血糖を改善して血糖値を正常な値に保つ血糖コントロールに役立ちます。

オリゴ糖の腸内環境改善効果も糖尿病に良好である

オリゴ糖は血糖値を上げないほかに、腸内環境を整える効果も期待できます。

腸内環境が整うといえば便通がよくなるというイメージがありますが、近年の研究で、糖尿病予防にも良いという結果が示されました。

理化学研究所の研究によると、悪玉脂質を作り出す腸内細菌が多いほど高血糖や肥満などを悪化させると示しています。

参考:悪玉脂質を産生する腸内細菌が肥満を悪化させる

そして悪玉脂質を作る腸内細菌が減少すれば、糖尿病や肥満の改善につながる可能性があると明らかにしています。

オリゴ糖には、腸内の悪玉菌を減らして腸内環境を改善する効果が期待できます。

それは、オリゴ糖は人間の体内で消化吸収されずにそのまま大腸へ運ばれて、ビフィズス菌など善玉菌のエサとなるためです。

善玉菌が増えると腸内環境が整い、腸内環境の改善はインスリンのはたらきを良くしたり、肥満防止にも効果があるという報告もあります。

糖尿病の人や糖尿病予防に役立つ代表的な6種類のオリゴ糖

糖尿病の人や糖尿病予防に役立つ代表的な6種類のオリゴ糖

オリゴ糖は野菜や豆類など自然界の食品にも含まれており、約20種類ほどあります。

その中でも代表的なオリゴ糖は、以下の6種類です。

以下の表にあるオリゴ糖は、どれも難消化性で腸内環境を整えるという点は同じですが、それぞれ甘さや特徴が異なります。

甘さや特徴を知って、オリゴ糖を選ぶ際の参考にしてください。

種類特徴甘さ含まれている食品
フラクトオリゴ糖虫歯のリスクが低い砂糖の30~50%程度の甘さほんのり甘いたまねぎ
ごぼう
バナナ
アスパラガス
にんにくなど
大豆オリゴ糖熱や酸に強い
少量でも腸内の善玉菌を増殖促進する
砂糖の70~80%程度の甘さ大豆
納豆
豆腐
きなこ
豆乳など
ラフィノース低カロリー
オリゴ糖の純度が高い
熱に強い
砂糖の20%程度の甘さてんさいだいこんキャベツやアスパラガスにも少量含まれている
ガラクトオリゴ糖クセがない
たんぱく質とミネラルの消化吸収を助ける
砂糖の25~30%の甘さ牛乳や母乳
キシロオリゴ糖少量でも腸内の善玉菌を増殖促進する砂糖の25~40%の甘さたけのことうもろこし
乳糖果糖オリゴ糖低カロリー
オリゴ糖の中でも腸内細菌の改善促進する
砂糖の50~70%の甘さ食品からは微量なため人工製造

オリゴ糖と人工甘味料との違い

オリゴ糖と人工甘味料との違いは甘味の強さで、化学的につくられた甘味料を人工甘味料と呼んでいます。

日本で使用されている人工甘味料は、主に以下の3種類です。

  • アスパルテーム
  • アセスルファムK
  • スクラロース

それぞれの甘味度は、アスパルテームとアセスルファムKが砂糖の200倍ほどで、スクラロースは600倍ほどと甘味が強く苦みが少ない特徴があります。

人工甘味料もオリゴ糖同様に、摂取しても血糖値やインスリンの分泌に影響がないのがメリットです。

そして甘さが強い分ごく少量の使用で甘みが出せて、ダイエット食品や糖尿病予防にも活用されています。

しかしその一方で、人工甘味料を常用摂取するのは避けた方が良いという指摘もあります。

金沢医科大学が行った人工甘味料で糖尿病を予防できるか調査した研究では、人工甘味料を継続的に取り続けると糖尿病発症のリスクが上がるという結果になりました。

参考:人工甘味料と糖代謝

糖尿病リスクが上がる理由として、人工甘味料の強い甘さに慣れると感覚がまひしてしまい、より強い甘味のある糖質を取りたくなるからだと考えられています。

さらに人工甘味料はオリゴ糖のように腸内環境を整える効果がないため、悪玉菌のエサとなり腸内環境が悪くなるという考え方もあります。

詳しいメカニズムはまだ解明されてはいませんが、人工甘味料の特徴を知ったうえで常用摂取は避けて活用するのが大切です。

糖尿病対策でオリゴ糖を選ぶ際に気を付けたい3つのポイント

糖尿病対策でオリゴ糖を選ぶ際に気を付けたい3つのポイント

オリゴ糖は糖質ですが、小腸で消化吸収されないため血糖値に影響がほとんどなく糖尿病予防に役立ちます。

世の中にはオリゴ糖と表記されている商品が数多く販売されていますが、オリゴ糖と表記があれば何でも良いわけではなく、気を付けたいポイントもあります。

糖尿病対策でオリゴ糖を選ぶ際は、以下の3つのポイントに気を付けましょう。

  • オリゴ糖100%かどうかを確認する
  • イソマルトオリゴ糖は血糖値を上げる作用がある
  • 食べ過ぎには気を付ける

オリゴ糖を含む食品の中には、オリゴ糖の表記があってもオリゴ糖は少量しか使われておらず、ほとんど砂糖が使用されている商品も多くあります。

オリゴ糖入りの商品で他の糖質も含まれている場合は血糖値が上昇するため、オリゴ糖以外の糖質が含まれていないかを確認してください。

ほかにもイソマルトオリゴ糖は、でんぷん由来の糖質で血糖値を上げる作用があります。

オリゴ糖を選ぶ際には、どんな種類のオリゴ糖であるかに加えてオリゴ糖100%かどうかも表示を確認してから購入するのが大切です。

オリゴ糖はたくさん摂取すれば血糖値が改善するというわけではなく、商品によってはカロリーの取り過ぎとなる可能性もあります。

取り過ぎには気を付けて、今まで砂糖などで取っていた糖質をオリゴ糖に置き換えて活用するのが良いでしょう。

オリゴ糖を上手に活用して糖尿病予防に役立てよう

オリゴ糖は摂取しても血糖値にほとんど影響しない糖質であるほか腸内環境も整えるため、糖尿病対策に役立つ食品です。

腸内環境が整うとインスリンの効きや分泌にも良い影響を与えてくれるため、糖尿病予防だけでなく糖尿病の人の血糖コントロールにもおすすめといえます。

一方でオリゴ糖にはたくさんの種類があり、それぞれ効果や特徴が違います。

選び方を間違えると期待される効果を十分に得られない可能性もあるため、目的にあったオリゴ糖を選び、適切な量を摂取するのが重要です。

日々の食事で摂取していた砂糖をオリゴ糖に置き換えれば、糖尿病の予防や症状の改善に役立つでしょう。

規則正しいバランスの良い食事と適度な運動といった基本に加えて、オリゴ糖を上手に活用した糖尿病対策を今日から始めてみませんか。

この記事の監修者

東京医科大学を卒業後、複数の総合病院内科、東京医科大学病院 糖尿病代謝分泌科を経て、現在の四谷内科・内視鏡クリニックの副院長に就任。


糖尿病専門医でありながら、見逃されやすい内分泌疾患にも精通した総合的な診療をおこなう。

日本糖尿病学会
糖尿病専門医

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