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HbA1cとは?糖尿病との関連をわかりやすく解説!

HbA1cとは?糖尿病との関連をわかりやすく解説!

健康診断の結果をみて、血糖値の他にHbA1c(ヘモグロビンA1c)が高く、不安を感じていませんか。

血糖値やHbA1cは、糖尿病と深く関わっている指標です。

近年、糖尿病は世界的に急増している生活習慣病の1つであり、日本でも成人の10人に1人がなるとされています。

糖尿病に関連した情報を得ると、予防や治療に繋がります。

今回は、HbA1cについて詳しく知りたい人へ向けて記事を作成しました。

この記事でわかること
  • HbA1cに関連した用語について
  • HbA1cが変動するメカニズム
  • HbA1cの数値の見方
  • HbA1cの検査方法
  • 糖尿病患者におけるHbA1cの治療目標

この記事を読み、糖尿病やHbA1cへの理解を深めましょう。

目次

HbA1cは1〜2ヶ月前の血糖コントロールを反映している

HbA1cは1〜2ヶ月前の血糖コントロールを反映している

HbA1cは、糖尿病の診断に使用される指標です。

しかしHbA1cだけでは、糖尿病の診断を確定できません。

糖尿病の診断にはHbA1cの他に、以下の指標が用いられます。

  • 空腹時血糖値
  • 食後血糖値

これらの指標の糖尿病診断基準は、以下の通りです。

正常値正常高値境界型糖尿病型
空腹時血糖値~99~109~125126~
食後血糖値〜139なし〜199200〜

血糖値とHbA1cは、似ているようで異なります。

血糖値は測定したタイミングの数値を示しており、食事や運動などで変動します。

それに対して、HbA1cは長期的な血糖値の状況を反映した数値です。

HbA1cとは、赤血球の中に含まれるヘモグロビンにブドウ糖が結合したものです。

数値は、血中に糖化ヘモグロビンがどのくらいの割合で存在しているかを意味しており、1〜2ヶ月前の血糖コントロールの状態を確認できます。

赤血球の寿命は、約120日といわれています。

120日周期で、脾臓(ひぞう)で古いものから順に破壊され、骨髄から新たな赤血球が生成されるのです。

古いものから順次破壊されるため、HbA1cを測定した時は、1〜2ヶ月前の赤血球が大半を占めています。

そのためHbA1cの数値は、1〜2ヶ月前の血糖コントロールの状態を示しているという意味を示します。

HbA1cを下げるには、食後や空腹時の血糖値を普段から抑えることが大切です。
カテキン、イソフラボン、アントシアニンなどで知られるポリフェノールには血糖値を抑制する効果が確認されています。
食事習慣に取り入れていくように心がけていきましょう。

ポリフェノールの最新研究データ

ヘモグロビンは全身に酸素を運搬する

ヘモグロビンとは、赤血球内に存在するタンパク質のことです。

ヘモグロビンは肺で酸素と結合し、酸素を全身に運搬する働きがあります。

ヘモグロビンが少ないと酸素の運搬が滞り、体に様々な症状が出現します。

出現する症状は、以下のとおりです。

  • めまい
  • 頭痛
  • 息切れ
  • 倦怠感
  • 疲労感
  • 食欲不振

これらの症状は、貧血と呼ばれています。

ヘモグロビンは、ヘム(鉄)グロビン(タンパク質)が結合してたものです。

そのため、ヘモグロビンが不足すると鉄不足による貧血の症状が出ます。

ヘモグロビンの基準値は、以下のとおりです。

  • 男性:13.1〜16.3g/dl
  • 女性:12.1〜14.5g/dl

反対にヘモグロビンの数値が高いと、多血症や脱水症が疑われます。

多血症の症状は、以下のとおりです。

  • 頭痛
  • めまい
  • 息切れ
  • めまい
  • 疲労感
  • 手足のしびれ
  • 腕や足のむくみ

ヘモグロビンが多い場合と少ない場合、それぞれで体に不調が現れます。

症状の原因に合わせて、対処しましょう。

ブドウ糖は脳のエネルギー源になる

ブドウ糖はグルコースとも呼ばれ、が唯一エネルギーとして利用できる栄養素です。

食事を通して摂取された糖質は、内臓による消化吸収でブドウ糖に分解されます。

ブドウ糖に分解されると、脳でエネルギーとして利用が可能となります。

厚生労働省が推奨している、ブドウ糖の最低必要量は100g/日です。

ブドウ糖が多く含まれる食品を、以下に示します。

食品名成分量100gあたりg
コッペパン2.5
干しぶどう28.6
コーラ3.9
オレンジ24.4

食品成分データベース

ブドウ糖が不足すると脳のエネルギーが不足し、思考能力が低下します。

反対にブドウ糖を過剰摂取すると、糖尿病の発症リスクが高まるので注意が必要です。

摂取する食品に含まれるブドウ糖の量を把握し、調節しましょう。

HbA1cはブドウ糖の量にあわせて変動する

血中のブドウ糖の量にあわせて、HbA1cの数値も変動します。

1度ヘモグロビンにブドウ糖が結合されると、2度と離れません。

ブドウ糖が多いと、ヘモグロビンと多く結合するため、HbA1cも高値を示すのです。

なお貧血や慢性的な出血を起こしているなど、血中の赤血球が少ない場合には、ブドウ糖が多くてもHbA1cが低値となる可能性があります。

HbA1cは、1〜2ヶ月前の血糖コントロールを反映しているため、短期的な運動や食事制限では変動しません。

そのためHbA1cを改善するには、継続的に運動や食事制限を行う必要があります。

HbA1cの数値はNGSP値で確認する

HbA1cの数値はNGSP値で確認する

HbA1cは、糖尿病診断に使用される数値です。

しかしHbA1cだけでは糖尿病の診断はできず、血糖値と併せて総合的に判断されます。

日本では現在NGSP値を基準とし、糖尿病の診断に用いています。

NGSP値とは、アメリカで決められたHbA1cの基準値のことで、糖尿病の診断時に世界的に使用されています。

NGSP値は、以下のとおりです。

正常値正常高値境界値糖尿病型
〜5.5%〜5.9%〜6.4%6.5%〜

2010年まで日本は、JDS値という基準を用いて糖尿病の診断を行っていました。

JDS値とは、日本で決められたHbA1cの基準値のことで、日本だけが糖尿病診断に使用していました。

JDS値は、以下のとおりです。

正常値正常高値境界値糖尿病型
〜5.1%〜5.5%〜6.0%6.1%〜

NGSP値と比較すると0.4%差があり、JDS値の方が厳しい基準値になっていました。

正常高値と境界値は、糖尿病予備軍の状態を指します。

すなわち、将来的に糖尿病になる可能性が高いです。

場合によっては、すでに糖尿病になっている人も含まれています。

健康診断の結果を見るときは、NGSP値の表をみて、自分のHbA1cがどの状態なのか確認しましょう。

糖尿病型の人はもちろん、正常高値や境界値の人も生活習慣を見直してみましょう。

HbA1cを下げるには、普段からの改善対策が必要となります。

特に食事面での見直しを考えられている場合は、こちらのページも参考にしてください。

HbA1cは検査方法の違いで数値にも差が生じる

一般的なHbA1cの測定方法は、以下のとおりです。

  • 高速液体クロマトグラフィー法(HPLC法)
  • 免疫凝集比濁法
  • 酵素法

多くの病院では、高速液体クロマトグラフィー法が用いられています。

熊本大学医学部附属病院中央検査部が、 HbA1c 値の測定方法間差について研究を行いました。

HbA1cの測定方法の違いによる測定値の差についての研究結果は、以下のとおりです。

  • 高速液体クロマトグラフィー法と免疫凝集比濁法を比較すると、0.3%高速液体クロマトグラフィー法が高い数値を示した。
  • HbA1cが基準値以上の割合が、高速液体クロマトグラフィー法で67.5%、免疫凝集比濁法で29.2%であった。

引用元:ヘモグロビン A1c 値の測定方法間差の現状

このように測定方法の違いで誤差が生じ、糖尿病の診断に影響を与えてしまいます。

そのため、血糖値もHbA1cと併せてしっかりと確認する必要があるのです。

糖尿病の人のHbA1cは血糖コントロール状況にあった数値を目標にする

日本糖尿病学会は、糖尿病患者に対してHbA1cのコントロール目標値を定めています。

目標値について、以下の表に示します。

目標血糖正常化を目指す際の目標合併症予防のための目標治療強化が困難な際の目標
HbA1c6.0%未満7.0%未満8.0%未満

引用元:血糖コントロール目標について

血糖正常化を目指す際の目標とは、適切な運動や食事、薬物療法中でも低血糖症状が出現せずに可能な場合の目標のことです。

糖尿病は、時に合併症により生活の質を著しく低下させてしまいます。

糖尿病による代表的な合併症は、以下のとおりです。

  • 糖尿病網膜症
  • 糖尿病腎症
  • 糖尿病神経障害

以上の合併症を予防するには、HbA1c7.0%を目標にします。

治療強化が困難な際の目標とは、低血糖などの副作用、その他の理由で治療の強化が難しい場合の目標のことです。

薬物療法を行うと、急激な血糖値の低下によって低血糖症状が出現する可能性があります。

低血糖状態では、脳へのエネルギーが不足してしまうため注意が必要です。

血糖コントロール状態を把握し、自分の状態にあった目標を設定しましょう。

HbA1cの知識は糖尿病予防に役立つ

HbA1cは、糖尿病診断に用いられる1〜2ヶ月前の血糖値を反映した指標です。

血糖値とは違い、短期的な運動や食事制限で数値は変動しません。

血中のブドウ糖の量にあわせて変動しますが、貧血や出血などでは低値を示す可能性があります。

そのため、空腹時血糖値や食後血糖値と併せて総合的に診断されます。

HbA1cの数値を見るときは、JDS値ではなくNGSP値で確認してください。

数値は検査方法によって誤差が生じる可能性があるため、検査方法の確認も大切です。

糖尿病の人は自分の血糖コントロール状況に合わせて、適切なHbA1cの数値目標を立ててみましょう。

この記事を読んで、糖尿病の予防や改善に役立ててみてください。

この記事の監修者

東京医科大学を卒業後、複数の総合病院内科、東京医科大学病院 糖尿病代謝分泌科を経て、現在の四谷内科・内視鏡クリニックの副院長に就任。


糖尿病専門医でありながら、見逃されやすい内分泌疾患にも精通した総合的な診療をおこなう。

日本糖尿病学会
糖尿病専門医

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