食べたばかりなのにお腹がすくと悩んでいる人は、糖尿病の可能性を疑ったほうがよいかもしれません。
糖尿病になると、血糖値や体内のホルモン分泌に異常をきたし、常に空腹感を感じてしまう可能性があります。
糖尿病は、日常生活に支障を及ぼすさまざまな症状を引き起こす病気です。
症状が進行すると重大な合併症を発生させてしまう可能性があるため、早めの治療を検討しましょう。
今回は、食べてすぐにお腹がすく仕組みや要因となる糖尿病について解説をします。
空腹感が収まらない場合の対処法や、糖尿病以外の要因についても解説します。
- 食べたばかりでお腹がすくのは糖尿病によるインスリン不足などの可能性がある
- 糖尿病になるとさまざまな症状が起こり重大な合併症につながる場合もある
- 低GI食品を優先的に食べるなどの対処方法がある
- 血糖値スパイクなど糖尿病以外にも空腹感が収まらない原因はある
普段から空腹感が収まらない人は、今回の記事を参考にして適切な対処をしてください。
食べたばかりなのにお腹がすく場合は糖尿病の可能性がある
食べたばかりなのにお腹がすく状態が継続する人は、糖尿病に罹患している可能性があります。
糖尿病になると、インスリンの不足など身体のホルモン分泌にさまざまな異常をきたしてしまいます。
早めに治療をしないと重症化してしまう恐れがあるため、専門医に相談して検査を受けましょう。
食べたばかりなのにお腹がすく原因として、糖尿病が関係している場合の仕組みを、以下に3点紹介します。
- インスリンの分泌が不足したり機能が低下したりする
- 血糖値が急激に変動する
- ホルモンバランスの乱れが影響する場合もある
普段から食べてすぐにお腹がすく人は、糖尿病をはじめとした病気の可能性を疑ってみてはいかがでしょうか。
インスリンの分泌が不足したり機能が低下したりする
糖尿病が原因で、インスリンの分泌が不足していたり機能が低下していたりする可能性があります。
インスリンは膵臓で生成されるホルモンの1つで、血液中の糖分をエネルギーに変換して細胞に取り込む作用があります。
したがって、インスリンは摂取した糖分をエネルギーとして活用する重要なホルモンです。
インスリンが十分に働かなくなると、血液中の糖分がエネルギーに変換されず細胞に取り込まれなくなってしまいます。
血糖値が急激に変動する
急激な血糖値の変化も、食事後の空腹感に関係があります。
糖尿病になると、血糖値が急激に変動する場合があります。
特に炭水化物や糖分が多い食事をすると、急激に血糖値が上昇するケースが多いです。
一時的な高血糖状態になると、血糖値を下げるためにインスリンを過剰に分泌してしまいます。
低血糖の状態になると、緊急で糖分の摂取が必要であると身体が判断し、食事を促す信号が脳から発せられます。
血糖値の急激な変動により、異常な状態であると身体が判断してしまい、食事後でも空腹感が無くならない状態が続いてしまいます。
血糖値の急激な上昇は、血糖値スパイクといわれ、血管に深刻なダメージを与えてしまいます。
血糖値スパイクは、健康診断の数値にも表れにくいため、普段からの意識改革が大切になります。
「糖質の吸収を抑え、食後血糖値を抑制する成分」の記事もご確認ください。
ホルモンバランスの乱れが影響する場合もある
糖尿病が影響して、インスリン以外のホルモンバランスが乱れて空腹感が収まらない場合もあります。
特に空腹感に影響を与えるホルモンとして、以下の2種類が該当します。
- グレリン
- レプチン
グレリンは、胃から分泌されて食欲を刺激するホルモンです。
糖尿病になると、グレリンが過剰に分泌される場合があり、空腹感が収まらなくなってしまう症例がみられます。
レプチンは脂肪細胞から分泌されて、食欲を抑制する方向に働くホルモンです。
糖尿病になるとレプチン抵抗性に陥ってしまい、レプチンが十分に働かなくなって食欲が収まらないケースがあります。
糖尿病はインスリンだけでなく、グレリンやレプチンの分泌にも異常をきたす場合があるため、食べてもすぐにお腹がすく原因になる場合が多いです。
糖尿病とはインスリンが働かず血糖値が高くなる病気
食べたばかりでお腹がすく原因の可能性がある糖尿病は、インスリンの働きが不足して血糖値が高くなる病気です。
以上で紹介したとおり、糖尿病になるとインスリンをはじめとしたホルモン分泌に異常をきたし、身体にさまざまなトラブルを引き起こします。
食べたばかりでお腹がすく状態が継続する場合には、糖尿病にかかる前兆である可能性を疑い、早めに医療機関に相談するのが大切です。
糖尿病について、以下の3つのポイントに沿って紹介します。
- 糖尿病は主に4種類ある
- 糖尿病になるとさまざまな症状を引き起こす
- 症状が進行すると重篤な合併症につながる
糖尿病に関する理解を深め、初期の段階で症状に気付けるように対処しましょう。
糖尿病は主に4種類ある
糖尿病は、原因や状態によって分類されます。
糖尿病の主な分類は、以下の4種類です。
- インスリンを生成できない1型糖尿病
- 症例が最も多い2型糖尿病
- 妊娠が影響して発症する妊娠糖尿病
- 遺伝子異常などが影響して起こるその他の糖尿病
分類ごとに治療や対処方法が異なるため、糖尿病に罹患した場合は自分がどの分類に該当するのかを知る必要があります。
以下でそれぞれの糖尿病の特徴や基本的な対処方法について紹介するので、参考にしてください。
インスリンを生成できない1型糖尿病
1型糖尿病は、インスリンの生成ができない状態に陥る分類です。
膵臓内のランゲルハンス島に炎症が起こり、インスリンを生成するβ細胞が破壊されてしまいます。
後述する2型糖尿病が生活習慣の乱れなどが起因となる場合が多いのに対し、1型糖尿病は生活習慣とは関係がありません。
はっきりとした原因は判明していませんが、遺伝因子やウイルス感染が発症の要因になると考えられています。
1型糖尿病になった場合は、治療で治るものではないため、体内で生成できないインスリンを注射などで補う必要があります。
症例が最も多い2型糖尿病
2型糖尿病は、糖尿病の中でも症例が最も多い分類です。
食べ過ぎや運動不足などの生活習慣の乱れが起因となり、インスリンを生成する能力が低下する状態に陥ります。
炭水化物の過剰な摂取などにより高血糖の状態が長く続くと、膵臓のインスリン生成機能が疲弊してしまい、働きが低下してしまう場合も多いです。
一方で、太っていなくても内臓脂肪が多いと罹患する可能性があるため、油断はできません。
2型糖尿病は急に症状が現れるものではなく、徐々に症状が進行していくケースが多いです。
気付かない間に状態が悪化し、診断を受けた時には重大な合併症を引き起こしてしまっている場合もあります。
妊娠が影響して発症する妊娠糖尿病
妊娠糖尿病は女性特有の分類で、妊娠が影響して発症します。
女性が妊娠すると、子宮内で胎児に栄養を送るための胎盤が作られます。
胎盤から分泌されるホルモンの中には、インスリンの効果を落とす作用を持つものがあるため、インスリン作用不足が起こるケースが多いです。
妊娠中は内服薬による治療ができないため、対処方法が限られます。
食事療法による対処が一般的ですが、うまく血糖値が下がらない場合にはインスリン治療を試みるケースも多いです。
妊娠糖尿病は出産とともに改善される場合がほとんどですが、将来の糖尿病リスクを高めると考えられているため、出産後の生活習慣を整えて再発を防ぐ必要があります。
遺伝子異常などが影響して起こるその他の糖尿病
糖尿病は、上記3種類以外の原因で起こる場合もあります。
たとえば遺伝子異常によって、発生する糖尿病があると判明しています。
インスリン生成の過程で異常をきたすもので、若い年代で糖尿病の症状がみられた場合には遺伝子異常が影響しているケースが多いです。
他には別の病気や、服用した薬剤が影響して起こる糖尿病もあります。
膵臓の病気以外では、慢性肝炎や肝硬変など肝臓の病気も血糖値上昇を促進してしまうため、糖尿病リスクを高める要因です。
さまざまな病気の治療に用いられる副腎皮質ステロイドなど、血糖値上昇の副作用を持つ薬剤にも注意する必要があります。
遺伝子異常や他の病気が原因で糖尿病になったと診断された場合は、自身での対処が難しいため、専門医の指示に従いながら対処しましょう。
糖尿病になるとさまざまな症状を引き起こす
糖尿病に罹患すると、さまざまな症状が現れるようになります。
前述の食べたばかりなのにお腹がすくのも、その1つです。
糖尿病になった場合に現れる症状は、主に以下のようなものがあります。
- 尿の量が多くなる
- のどがかわき大量に水を飲む
- 体重が減る
- 疲れやすくなる
糖尿病になると、血中の糖分はそのまま排泄されます。
尿とともに排泄されるため、尿量が増えます。
尿量が増えると脱水症状が現れ、大量に水分が欲しくなる場合も多いです。
さらに糖分をエネルギーに使用できないため、身体のタンパク質や脂質をエネルギー源として活用するようになります。
これにより体重が減ったり、エネルギー不足による疲労感を覚えたりします。
初期症状では病気と気付かない程度の異常であるケースが多いため、そのまま放置してしまう場合も多いです。
症状が進行すると重篤な合併症につながる
糖尿病に罹患して、症状が進行するとさまざまな合併症を引き起こす場合があります。
状況によっては重篤な状態に陥ってしまう場合もあるため、早期の対策が不可欠です。
糖尿病が起因となって発生する合併症のうち、主なものを以下に6種類紹介します。
- 網膜に障害が起こる糖尿病網膜症
- 腎臓の働きが悪くなる糖尿病腎症
- 神経の毛細血管に障害が起こる糖尿病神経障害
- 脳の血管に異常が起こる脳卒中
- 心臓の働きが低下する心筋梗塞
- 足の血管の動脈硬化が原因の末梢動脈性疾患
いずれも私生活に多大な影響を及ぼす病気となるため、発症する前に専門医に相談しましょう。
網膜に障害が起こる糖尿病網膜症
糖尿病網膜症は糖尿病の3大合併症の1つで、網膜の血管において障害が起こる病気です。
高血糖の状態が長く続くと、目の網膜にある毛細血管が傷ついてしまい、目のかすみや視力低下などを引き起こします。
失明の原因として最も多いのが、糖尿病網膜症という調査結果もあります。
眼科検診を受けた結果、網膜の血管に異常が検出され糖尿病が判明するケースもあるため、定期的な検診を受けて早期発見に努めましょう。
腎臓の働きが悪くなる糖尿病腎症
糖尿病腎症は糖尿病の影響で腎臓の働きが悪くなる病気で、糖尿病の3大合併症の1つです。
血圧の上昇や尿中にたんぱくが検出されるなどの症状が現れ、身体がむくむケースも増えます。
さらに症状が進むと、血液中に老廃物が蓄積してしまい、腎不全や尿毒症などの生命に関わる症状につながる危険性もあります。
腎臓には老廃物を排泄する機能が備わっているため、働きが悪くなると老廃物が身体に蓄積してしまう仕組みです。
人工透析を治療に用いる原因としては糖尿病腎症が最も多いため、症状が悪化しないように早期に対処する必要があります。
神経の毛細血管に障害が起こる糖尿病神経障害
糖尿病神経障害も糖尿病の3大合併症の1つに数えられている病気で、神経周辺の毛細血管に障害が起こりさまざまな症状を引き起こします。
脳からの信号が身体の末端にまで伝達する働きの低下がみられ、手足のしびれやほてりおよび痛みなどが起こります。
傷の治療をせずに放置した結果、足の潰瘍や壊疽につながり、切断を余儀なくされるリスクもあります。
糖尿病神経障害と診断された場合は、通常の感覚が損なわれているため、手足のけがや汚れに常に気を配る必要があります。
脳の血管に異常が起こる脳卒中
脳卒中は、脳の血管のつまりや破れなどが起こり、脳の機能が損なわれる病気です。
脳卒中にはいくつかの種類があり、血管のつまりで起こる脳梗塞と、血管が破れて起こる脳出血の症例が多くみられます。
糖尿病の合併症として発症するのは、脳梗塞が多いです。
脳梗塞になる前段階として、脳の血流が悪くなると頭の重さやいらだちなどを感じるようになります。
物忘れがひどくなる場合も多いため、これらの状態がみられた場合には早めに医師の診断を受けるのがよいでしょう。
心臓の働きが低下する心筋梗塞
心筋梗塞は心臓に十分な血液が行き届かず、心臓の働きが低下する病気です。
心臓に血液を送る冠動脈が動脈硬化になり、血液が心臓に行き届かなくなると心筋梗塞となります。
糖尿病になると冠動脈に障害をきたすリスクが高くなるため、合併症として多くの症例がみられます。
息切れや脈の途切れ、身体のむくみなども心筋梗塞の予兆として現れます。
しかし糖尿病に罹患している人の中には、症状が現れない場合もあります。
心電図の検査を受診すると、心筋梗塞の可能性を確認できるため、定期的な検査を受けるのがよいでしょう。
足の血管の動脈硬化が原因の末梢動脈性疾患
末梢動脈性疾患は、足の血管に動脈硬化が起こると発症する病気です。
動脈硬化により血流が悪化すると、足やふくらはぎが痛くなり運動ができなくなります。
休憩しながらでないと徒歩が難しくなる間欠性跛行(かんけつせいはこう)も、代表的な症状です。
さらに症状が進むと、足の指の傷が治らなくなって潰瘍や壊疽が発生してしまい、足の切断を余儀なくされる場合もあります。
足の痛みなどの初期症状を自覚した場合には、早めに医師に相談して対処するとよいでしょう。
糖尿病の初期段階であれば、食事や運動治療に取り組むことで、すい臓の機能が回復する方もいらっしゃいます。
特に普段の食事で意識して摂取しておきたい食材や成分についてまとめていますの、こちらの記事も参考にしてください。
インスリンの働きを高める食材、成分の一覧
食べたばかりですぐにお腹がすく場合の対処法を知っておこう
以上のように食べたばかりでお腹がすく状態が続いている場合には、糖尿病の前兆である可能性があります。
糖尿病に罹患する前に予防効果のある行動を行い、健康を維持できるように努めるとよいでしょう。
食べたばかりで空腹感を覚える場合の対処方法として、主な項目を以下に6点紹介します。
- 低GI食品を優先的に選んで食べる
- 規則正しい生活を心がける
- 食物繊維が豊富に含まれる食材を利用する
- 炭水化物に偏らずタンパク質や脂肪をバランスよく摂取する
- 水分をこまめに補給する
- 適度な運動を継続して実施する
糖尿病になると、さまざまな症状が出てきて生活に多大な影響が及びます。
以下で紹介するような生活習慣の改善につながる取り組みをして、病気を予防しましょう。
低GI食品を優先的に選んで食べる
普段の食事で低GI食品を優先的に選んで食べると、空腹感を抑える効果があります。
低GI食品とは、血糖値の上昇度を示すGI(グリセミック・インデックス)が低い食品のことです。
食品ごとにGI値が定められており、糖尿病に罹患している人や前触れのある人は低GI食品を選択すると血糖値を抑える効果が期待できます。
低GI食品の代表例としては、以下のような食材が該当します。
- 大豆食品
- そば
- さつまいも
- きのこ類
- 全粒穀物
- 野菜全般
一般的に、炭水化物はGI値が高いものが多いです。
しかし炭水化物の中にも、GI値が比較的低いものも存在します。
たとえば全粒ライ麦は、炭水化物の中でも低GI食品に該当します。
パンが好きであるものの血糖値を上昇させたくない場合は、全粒ライ麦で作られたパンを優先的に選ぶとよいでしょう。
規則正しい生活を心がける
規則正しい生活を心がけて継続して実践すると、糖尿病予防になり満腹感を得られるようになります。
毎日3食の摂取をほぼ決まった時間に行い、早寝早起きを心がけるなど、生活リズムを規則正しくします。
忙しい場合やダイエットをしている場合には、朝食を抜くなどの対応をする人がいるかもしれません。
食事回数を減らすと血糖値が低い状態から急激に上昇する結果となり、糖尿病のリスクが増してしまいます。
血糖値の変動幅を抑える意味でも、食事や睡眠などの基本的な生活を規則正しくするよう心がけましょう。
食物繊維が豊富に含まれる食材を利用する
食物繊維が豊富に含まれている食材を積極的に利用すると、空腹感を抑えられます。
食物繊維は体内における食物の消化を遅らせる作用があるため、満腹状態の継続が可能です。
さらに食物繊維には、インクレチンと呼ばれるホルモンの分泌を促進する作用があります。
インクレチンは食欲を抑制する効果に加え、インスリンの分泌を促す作用を持つとされるホルモンです。
食物繊維を豊富に摂取すると、満腹感の継続に加えて血糖値上昇の抑制につながります。
炭水化物に偏らずタンパク質や脂肪をバランスよく摂取する
食事の際は炭水化物に偏らずにタンパク質や脂肪も摂取し、バランスのよい献立を心がけるのも大切です。
炭水化物を過剰に摂取すると、血糖値が急激に上昇してしまいます。
炭水化物の多い食事を繰り返していると、血糖値を抑えるインスリンの働きが不足してしまい、血糖値の高い状態が継続してしまいます。
タンパク質や脂肪を摂取すると、満腹感が持続します。
食欲を抑える効果も期待できるため、バランスの取れた食事をするのは糖尿病予防にもつながります。
忙しい人は、麺類や丼物のみといった一品料理で食事を終わらせてしまうケースが多いです。
一品料理は炭水化物に偏った食事になってしまうため、サラダや汁物を加えるなど、少しでもバランスの取れた食事になるよう工夫をしましょう。
水分をこまめに補給する
水分摂取をこまめに行うのも、糖尿病による空腹感の対策として有効です。
糖尿病になると、のどの渇きを感じるようになります。
のどの渇きと空腹の状態を混同してしまう場合があるため、水分を摂取してのどの渇きを減らすと空腹感を抑えられます。
水分の積極的な摂取は、腎臓の老廃物排泄の補助や血流の正常化など、糖尿病との関係以外でも健康維持に効果があります。
水分のこまめな補給は、空腹感を抑えながら健康な身体の維持につながります。
適度な運動を継続して実施する
適度な運動を継続して実施すると、食事後の空腹感を抑える効果が期待できます。
運動を継続していると、体内のインスリン分泌が促進されて血糖値の過度な上昇を抑えられます。
運動によるストレス発散も、食欲を抑えるポイントの1つです。
さらに空腹時に運動をすると、空腹感を紛らわす効果が期待できます。
運動によりアドレナリンの分泌が促進されて、肝臓に蓄積されているブドウ糖が血液中に送り出される仕組みです。
適度な運動は、空腹感の抑制ならびに糖尿病予防にもつながる有効な手段であると理解しておきましょう。
糖尿病以外でも食べたばかりで空腹が収まらない場合がある
ここまで、食べたばかりでお腹がすく原因が糖尿病であると仮定して解説してきました。
しかし糖尿病以外の要因によって、空腹が収まらない場合もあります。
食べたばかりなのにお腹がすく要因のうち、糖尿病以外の主なものを以下に5項目紹介します。
- 血糖値スパイクによる血糖値の低下
- 睡眠不足によるホルモンの乱れ
- ストレスホルモンの分泌
- 服用する医薬品の副作用の影響
- 甲状腺機能亢進症の可能性も
糖尿病の可能性が低い場合は、今回紹介する別の要因を疑ってみましょう。
血糖値スパイクによる血糖値の低下
血糖値スパイクによる血糖値の低下が、空腹感をもたらしている可能性があります。
血糖値スパイクとは、普段は正常値の範囲内である血糖値が急激に上昇あるいは下降する現象のことです。
糖分の過剰摂取により血糖値が急激に上昇した結果、大量のインスリンが分泌されて急激に血糖値が下降します。
通常の食事の場合は、炭水化物や糖分は徐々に消化吸収されるため、急激な血糖値の上昇は起こりません。
炭水化物や糖分の多い食事を食べると、血糖値スパイクが起こって空腹感がなくならない場合があると理解しておくとよいでしょう。
睡眠不足によるホルモンの乱れ
睡眠不足の状態も、空腹感に影響すると考えられています。
睡眠不足の時は、食欲をコントロールするホルモンのバランスが崩れている場合があります。
食欲をコントロールするホルモンの代表例は、前述したレプチンとグレリンです。
睡眠不足になると、レプチンの分泌量が減少する一方で、グレリンの分泌量は増加します。
その結果、食欲を抑える働きが弱くなり食欲を高める働きが強くなるため、食べても満腹感が得られません。
食べたばかりでお腹がすく場合は、しっかりと睡眠時間を確保した生活を続けると、状態が改善する場合があります。
ストレスホルモンの分泌
過剰なストレスを感じていると、空腹感が収まらない場合があります。
ストレスが多い時は、コルチゾールなどのストレスホルモンが大量に分泌されます。
さらにストレスを受けると、エモーショナルイーティングと呼ばれる行動を起こす人がいます。
エモーショナルイーティングとは、過度なストレスを感じた時に、大量に食事をしてストレスを解消しようとする行動のことです。
ストレスを解消して心の安定を取り戻そうと、過食や不規則な食習慣が起こる場合があります。
ストレスも、食欲に影響する要因であると理解しておくとよいでしょう。
服用する医薬品の副作用の影響
服用する医薬品の副作用によって、食べても満腹感が得られない場合があります。
一部の医薬品は、満腹中枢や摂食中枢に影響を与えると考えられています。
たとえば抗うつ薬は、満腹中枢への刺激を止めて満腹感を低下させる副作用を持つ薬品です。
抗精神薬やステロイドホルモンなどは、脳内の神経伝達物質のバランスに変化を与えて症状を和らげる医薬品です。
一方で、食欲増進などの副作用を起こす場合もあります。
食べても満腹感が得られない場合は、普段服用している医薬品を確認して、主治医などに今後の服用の継続について相談するとよいでしょう。
甲状腺機能亢進症の可能性も
食事をしても空腹が収まらない原因としては、甲状腺機能亢進症が影響している可能性があります。
甲状腺機能亢進症とはバセドウ病ともいわれ、甲状腺の働きが活発になり甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、体内で行なわれている代謝が早くなってエネルギー消費量が増加するため、空腹感が増して食欲が増進されます。
食べてもお腹がすくと同時に、疲れや動悸など他の症状が併発する場合は、甲状腺機能亢進症の可能性を専門医に相談するとよいでしょう。
食べたばかりなのにお腹がすく場合は糖尿病の可能性を疑おう
食べたばかりなのにお腹がすく要因に、糖尿病が考えられます。
糖尿病は、血糖値を下げる作用を持つインスリンが十分に働かない場合に起こる病気です。
糖尿病になると、インスリンの分泌不足に加えて血糖値の急激な変動やホルモンバランスの乱れが起こり、空腹感が継続する場合があります。
異常を感じた場合には早めに医療機関に相談して、対策を講じるのがよいでしょう。
食べたばかりでお腹がすく場合の対処方法としては、低GI食品の摂取や規則正しい生活を送るなどが挙げられます。
糖尿病以外にも、血糖値スパイクや睡眠不足などが影響して空腹感が継続する場合もあるため、自分の状態を考慮して最適な対策を講じる必要があります。
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