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オートミールが血糖値に良い3つの理由や逆効果を生む食べ方も詳しく解説

オートミールが血糖値に良い3つの理由や逆効果を生む食べ方も詳しく解説

血糖値が高めで食事に気を遣っている人の中には、血糖値にはオートミールが良いという情報を目にした人もいるのではないでしょうか。

オートミールは食物繊維が豊富なうえカロリーや糖質も低いため、血糖値の上昇を抑える食品として注目されています。

しかし、オートミールには利点が多い一方で、食べ方次第では血糖値が上昇してしまう恐れもあるのです。

この記事では、オートミールが血糖値に良いといわれる理由や、逆効果を生む可能性のある気を付けたい点についても詳しく解説します。

この記事を読んで分かること
  • オートミールが血糖値に良いといわれる理由
  • オートミールの気を付けたい食べ方
  • 簡単に美味しく食べられるオートミールのレシピ

血糖値をコントロールするうえでオートミールを活用したい人や、糖尿病リスクを減らしたい人はぜひ参考にしてください。

目次

オートミールが血糖値の上昇を抑えて糖尿病に役立つ3つの理由

オートミールが血糖値の上昇を抑えて糖尿病に役立つ3つの理由

オートミールはオーツ麦を楽に食べられるように加工した食品で、コーンフレークグラノーラなど穀物原料であるシリアルの一種です。

オートミールは栄養価が高いだけでなく、糖質やGI値が低いなど以下のような理由から、血糖値の上昇を抑えて糖尿病リスク低下に役立ちます。

  • 低糖質低カロリー低GI値の食品である
  • 少量でも満腹感を感じられて腸内環境も整う
  • セカンドミール効果が期待できる
糖尿病の種類とポイント

糖尿病は、血糖値を下げる作用をもつインスリンというホルモンが不足したり、効きが悪くなったりして高血糖の状態が慢性的に続く病気です。

糖尿病には年齢に関係なく体質によってインスリンが作られない1型糖尿病と、肥満や食べ過ぎ、運動不足など生活習慣が原因で起こる2型糖尿病があります。

そして、全体の糖尿病患者のうち9割以上が生活習慣に起因する2型糖尿病といわれており、2型糖尿病は別名生活習慣病とも呼ばれています。

糖尿病を予防するには、適切な摂取エネルギー量や糖質の摂り過ぎに気を付けたバランスの良い食事が大切です。

以下では、オートミールが血糖値にどのような影響をもたらすか、そして糖尿病に役立つといわれる理由について一つずつ解説しています。

オートミールは低糖質低カロリー低GI値の食品である

オートミールのメリット

オートミールとは、オーツ麦を脱穀して食べるのが簡単なように加工した食品のことです。

オーツ麦はカラス麦や燕麦(えんばく)などとも呼ばれており、oats(オーツ麦)とmeal(食事)の英語名からオートミールと名付けられるようになりました。

精製しないでオーツ麦の外皮も一緒に加工するオートミールは、食物繊維ビタミンミネラルが豊富に含まれています。

以下では、オートミールと白米や玄米、食パンをそれぞれ1食分の栄養価をまとめました。

オートミール30g(おかゆ状)オートミール60g(ご飯状)白米150g
(茶碗1杯)
玄米150g
(茶碗1杯)
食パン60g
(6枚切り1枚)
エネルギー105210234228149
たんぱく質4.18.23.84.25.3
糖質17.935.853.451.325.3
炭水化物20.741.555.753.427.8
食物繊維2.85.62.32.12.5
GI値5555766265
※1食分を目安に算出

参考:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

白米など他の主食と比較すると、オートミールは日本人に不足しがちなたんぱく質が豊富に含まれています。

さらに、カロリーや糖質も控えめである点に加えてGI値が低いのが特徴です。

GI値とは、食後の血糖値がどのくらい上昇するかという糖質を吸収する速さを表す数値のことで、GI値が高い食品ほど血糖値が急激に上昇します。

一方、GI値が低い食品は糖の吸収がおだやかなため、血糖値の上昇もゆるやかです。

血糖値の急上昇や急降下を繰り返すと、糖尿病を悪化させるだけでなく、血管にダメージを与えて心臓や腎臓などに重大な合併症を引き起こす場合もあります。

食事の際は、低GI値の食品を食事に摂り入れて、血糖値の急上昇を抑えるメニューを意識しましょう。

オートミールは少量でも満腹感を感じられて腸内環境も整える

水溶性と不溶性食物繊維のはたらき

オートミールが糖尿病に効果的な理由として、少量でも満腹感を感じられて、腸内環境を整える点が挙げられます。

ニュージーランドのオタゴ大学の研究によると、食物繊維の多い野菜や全粒穀物を多く食べる人は食べない人に比べて、糖尿病や心臓病などの発症リスクを下げると発表されました。

参考:2019年1月11日、食物繊維と全粒穀物食品の大量摂取は非感染性疾患のリスクを減らします

オートミールは、水溶性と不溶性両方の食物繊維がバランスよく含まれている食品で、それぞれの特徴は以下のとおりです。

水溶性食物繊維のはたらき

水溶性食物繊維には、主に以下のようなはたらきがあります。

  • 糖質の吸収をゆるやかにして血糖値の上昇を防ぐ
  • 腸内の余分な悪玉コレステロールを吸着して排出する
  • 腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整える

水溶性食物繊維はオートミールの他、わかめ昆布などの海藻類やこんにゃくオクラなどの食品にも含まれています。

水溶性食物繊維を摂取すると体内でゲル状になり、糖質の吸収速度を遅らせて血糖値の急上昇を防ぐのが特徴です。

そして、これまでの研究からも腸内環境の良し悪しと糖尿病は深く関わっているといわれています。

腸内環境が整うとむくみ解消や免疫力向上にもつながるため、食事の際は食物繊維を意識して積極的に摂りましょう。

不溶性食物繊維のはたらき

不溶性食物繊維には、主に以下のようなはたらきがあります。

  • 腸内で水分を含んで膨らみ便通を促進
  • よく噛んで食べるため満腹感を感じられて食べ過ぎを防ぐ

不溶性食物繊維はオートミールのほか、ごぼうきのこ類ひじきなどの食品にも含まれています。

水溶性食物繊維と不溶性食物繊維は、共に人間の消化酵素では消化できない栄養素です。

そのため摂り過ぎてしまった糖質や脂質、塩分などを体外に排出して、糖尿病予防だけでなく高血圧や脂質異常症などの予防にもつながります。

食物繊維を摂る際は、胃腸に負担をかけないためにもよく噛んで食べるように心がけましょう。

オートミールは食物繊維が豊富な食品でセカンドミール効果が期待できる

オートミールが糖尿病予防に効果的な理由

オートミールが糖尿病予防に良いといわれる理由として、セカンドミール効果が期待できる点も挙げられます。

セカンドミール効果とは、最初に摂る食事が次に摂る食後の血糖値に影響を与えるという理論のことで、1982年にトロント大学のジェンキンス博士によって発表されました。

例えば、セカンドミール効果を活用して朝食に食物繊維が豊富な食品を摂れば、昼食に丼ものやパンなど炭水化物の多い食事を摂った場合でも血糖値の急上昇を抑えられるというものです。

オートミールは食物繊維が豊富なため、セカンドミール効果を実感するのに適しています。

さらに、オートミールのような食物繊維が豊富な食品を摂ると、血糖値低下や糖尿病に役立つ短鎖脂肪酸がつくられます。

短鎖脂肪酸とは大腸内で善玉菌が食物繊維を発酵してつくられる代謝物質のことで、基礎代謝向上や便通を良くする以外にも以下の利点があるのが特徴です。

  • インスリンの分泌作用のある消化管ホルモンであるGLP-1の分泌を促進させる
  • 血糖値を上昇させるホルモンのグルカゴンを抑制する
  • 血中コレステロールの濃度を低下させる

直接血糖値に影響を与える以外にも、基礎代謝向上や便通を良くする作用は肥満防止につながります。

肥満は血糖値を上げて糖尿病を発症する主要な要因の一つとされているため、オートミールは糖尿病予防に優れた食品といえるでしょう。

血糖値の上昇を抑えて糖尿病を予防するためには、1日3食のバランス良い食事が基本です。

朝食を抜くと肥満やメタボリックシンドロームを引き起こし、糖尿病にかかるリスクが上昇するという研究結果もあります。

参考:朝食療法を抜くと、マウスの末梢組織における概日リズムの変化に伴う体重の増加と筋肉量の減少が誘発されます

セカンドミール効果を十分に実感するためにも、朝食は抜かずに、食物繊維が豊富な朝食を習慣にしてください。

血糖値上昇につながる気を付けたい2つのオートミールの食べ方

血糖値上昇につながる気を付けたい2つのオートミールの食べ方

オートミールは、食物繊維が豊富で血糖値や健康面でも良いといわれているため、摂れば摂るほど体に良い影響があると思っている人もいるかもしれません。

しかし、オートミールの食べ過ぎや食べ方次第では逆効果となってしまう場合もあります。

オートミールを食べる際に気を付けたいのは、以下の2点です。

  • オートミールを単品で食べ過ぎる
  • 甘味料を入れ過ぎる
オートミールの正しい食べ方と注意点

オートミールは、水や牛乳でふやかすと簡単にリゾットやお粥として食べられるのが利点です。

しかし、オートミールを単品だけでお腹を満たそうとするとどうしても食べ過ぎてしまい、その結果血糖値の上昇につながってしまう可能性があります。

さらに栄養価が高いといわれるオートミールであっても、単品では以下の栄養素が不足します。

  • たんぱく質
  • 脂質
  • ビタミンA
  • ビタミンC

オートミールを取り入れる際は他の食品と組み合わせて足りない栄養素を補ったり、主食をオートミールに置き換えたりして、バランスの良いメニューを意識するのが大切です。

そしてもう1つ、オートミールはコーンフレークなどと同様に牛乳やヨーグルトをかける食べ方も人気がありますが、甘味料やトッピングの入れ過ぎには気を付けてください。

特に、メイプルシロップやチョコレートなどの糖分が多い甘味料は美味しいのですが、かけ過ぎると血糖値が急上昇する恐れがあるため避けましょう。

その他にオートミールが体質的に合わなくて胃腸の調子が悪くなってしまう人や、小麦アレルギーの反応が出る人もいます。

オートミールはグルテンフリーですが、商品によっては小麦などと同一の工場で生産しており、アレルギー反応が出る場合があります。

微量でもアレルギー反応が起こる人は、パッケージに「グルテンフリー」や「ピュアオーツ」と表記された商品を選ぶようにするのが良策です。

オートミールを使った血糖値の上昇を抑える簡単レシピを紹介

オートミールを使った血糖値の上昇を抑える簡単レシピを紹介

オートミールにはさまざまな種類がありますが、加熱処理した商品を選ぶようにしましょう。

パッケージに以下の名前があるオートミールは、そのまま食べられます。

  • ロールドオーツ
  • クイックオーツ
  • インスタントオーツ

日本で販売されているオートミールはほとんどが加熱していますが、海外製の商品は非加熱の場合があるため加熱の有無を確認してください。

オートミールは味噌汁やスープなどに入れてそのまま食べるのはもちろん、水や牛乳に入れて加熱調理すると、お粥やリゾットとしてもちもちの食感が味わえます。

オートミールを水でふやかしてからハンバーグなどに入れると、肉の量を減らしてもかさ増しできるため、カロリーを制限している人にもおすすめです。

以下では、オートミールを使った手軽に作れるレシピを紹介します。

オートミールのたまご乗せご飯

オートミールをご飯に見立てて、たまごを崩しながら食べる和風のメニューを紹介します。

作成時間も5分程度と時間もかからず、材料もたまごだけあればトッピングや調味料は家にあるもので可能なため、忙しい朝に最適なレシピです。

材料(1人前)作り方
・オートミール:50g
・水:100g
・生卵:1個
・醤油やつゆの素など:適量
・海苔:適量
・かつおぶし:適量
・小ねぎ:適量
・ごま:適量
  1. 耐熱ボウルに水とオートミールを50g入れてふんわりとラップをします。
  2. 600Wの電子レンジで、1分30秒加熱します。
  3. 生卵を乗せた後に、海苔やかつおぶし、小ねぎなど自分の好みのトッピングと醤油やつゆの素などの調味料をかけたら完成です。

オートミールの中華風粥

オートミールと好きな野菜を入れたら、電子レンジにかけるだけで本格的な中華風粥ができる簡単レシピです。

食物繊維の多いキノコ類や緑黄色野菜を合わせると、ボリュームも増やせて満腹感を得られるうえ、血糖値低下にも役立ちます。

材料(1人前)作り方
・オートミール:30g
・水:150g・卵:1個
・キャベツやほうれん草、きのこなどの野菜:適量
・鶏がらスープの素:小さじ2
・小ねぎ:適量
・ごま油:適量
・ごま:適量
・海苔:適量
  1. 耐熱ボウルに水とオートミール30g、小さく切った野菜、鶏ガラスープの素を入れて混ぜます。
  2. 600Wの電子レンジで、2分加熱します。
  3. 卵を溶いてボウルにかけます。
  4. 600Wの電子レンジで、さらに1分加熱します。
  5. ごま油や小ねぎ、ごまなど好きなトッピングを乗せて完成です。

血糖値の上昇を抑えるオートミールを食事に取り入れて糖尿病リスク低下を目指そう

オートミールを使った血糖値の上昇を抑える簡単レシピを紹介

この記事では、オートミールが血糖値に良い理由や朝食に摂りたいオートミールのレシピ、気を付けたい食べ方について詳しく解説してきました。

オートミールは、白米やパンなどの主食と比べて糖質やカロリーが低く食物繊維も豊富なため、血糖値の上昇を抑えて糖尿病リスク低減に役立つ食品です。

しかし、オートミールの食べ過ぎや甘味料の入れ過ぎは、血糖値の急上昇を招く恐れもあるため気を付けましょう。

オートミールと血糖値の関係

血糖値の上昇を抑えて糖尿病リスクを低下させるためには、毎日の規則正しいバランスの取れた食事が大切です。

栄養価が高く調理も簡単なオートミールを上手に取り入れて、今日から無理のない血糖値のコントロールを始めませんか。

この記事の監修者

東京医科大学を卒業後、複数の総合病院内科、東京医科大学病院 糖尿病代謝分泌科を経て、現在の四谷内科・内視鏡クリニックの副院長に就任。


糖尿病専門医でありながら、見逃されやすい内分泌疾患にも精通した総合的な診療をおこなう。

日本糖尿病学会
糖尿病専門医

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