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蕎麦は血糖値の急上昇を防げる!糖尿病の人が食べる時のポイントを解説

蕎麦は血糖値の急上昇を防げる!糖尿病の人が食べる時のポイントを解説

麺類は糖質が多いため、糖尿病の治療中や血糖値を気にしている人は食べるのを避けている人もいるでしょう。

蕎麦は食後の血糖値が急激に上がるのを防げるため、糖尿病や血糖値が気になる人にも適した食品です。

今回は蕎麦が血糖値の急上昇を抑えられる理由とうどんとの比較、蕎麦を食べる時のポイントをまとめました。

この記事でわかること
  • 蕎麦は血糖値が急上昇するのを抑えられる
  • 血糖値が気になる人にはうどんより蕎麦が向いている
  • 糖尿病の人が蕎麦を食べる時のポイント
  • 血糖値を安定させるには食べ方の工夫も必要

血糖値を安定させるのに効果的な食べ方も解説しているため、蕎麦の血糖値への影響が気になる人や食後に血糖値が急上昇するのを防ぎたい人はぜひ参考にしてください。

目次

蕎麦には食後に血糖値が急上昇するのを抑えられる4つの理由がある

蕎麦には食後に血糖値が急上昇するのを抑えられる4つの理由がある

蕎麦にはさまざまな栄養素や成分が含まれており、食後の血糖値が急上昇するのを抑えられます。

そもそも血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことです。

炭水化物を食べると血液中のブドウ糖が増えるため、血糖値が上がります。

参照元:e-ヘルスネット – 厚生労働省

血糖値が上がるとすい臓からインスリンが分泌されます。

インスリンは、血糖値を下げて一定に保つ働きがあるホルモンです。

健康な人はインスリンの分泌によってブドウ糖がエネルギーとして使われ、上昇した血糖値が食事前の数値まで下がります。

ところが糖尿病患者はインスリンの分泌や作用が低下しているため、食後から数時間経過しても血糖値の高い状態が慢性的に続きます。

蕎麦が食後に血糖値が急上昇するのを抑えられる理由は、以下4つです。

  • 低GI食品に分類されている
  • 食物繊維が豊富に含まれている
  • 植物性タンパク質が豊富に含まれている
  • ルチンが血糖値の上昇を抑える

蕎麦のGI値や含まれている成分が、血糖値に影響を与えます。

蕎麦は低GI食品に分類されている

蕎麦は低GI食品に分類されており、食後の血糖値がおだやかに上昇します。

GIとはグリセミック・インデックスの略で、食後の血糖値の上昇速度を表す指標のことです。

ブドウ糖を摂取した場合の血糖値の上昇度を100とし、GI値が高い食品ほど血糖値の急上昇につながります。

食品は、GI値によって以下のように分類されます。

分類ブドウ糖を基準としたGI値
低GI食品55以下
中GI食品56以上69以下
高GI食品70以上

参照元:日本調理科学会誌 – J-STAGE

低GI食品は比較的消化吸収に時間がかかるため、食べ過ぎを防ぐのに効果的です。

それに対して高GI食品は消化吸収が早く、血糖値の乱高下を招く恐れがあります。

血糖値が下降する際に空腹を感じるため、短時間でまた食べたくなるという悪循環につながります。

以下は、主食となる主な食品をGI値によって分類した表です。

分類食品
低GI食品・蕎麦
・スパゲッティ
中GI食品・玄米
・コーンフレーク
高GI食品・白米
・うどん
・パン
・餅

参照元:食品GI値分類表 – 山梨県厚生連健康管理センター

日本人の主食として一般的な白米はGI値が高く、食後の血糖値が急速に上がります。

一方蕎麦は主食の中でもGI値が低く、食後は血糖値がゆっくりと上昇します。

精白されていない食品はGI値が低い傾向にあるため、血糖値が気になる人は茶色の主食を選ぶようにしましょう。

蕎麦の他にも低GI食品には、以下が挙げられます。

  • きのこ類
  • 海藻類
  • 葉物野菜
  • 大豆製品
  • 乳製品など

低GI食品の活用により、血糖値の急激な変化を避けられます。

そば粉には糖質の吸収速度を遅くする食物繊維が豊富に含まれている

そば粉には糖質の吸収速度を遅くする食物繊維が豊富に含まれており、血糖値が急上昇するのを防げます。

食物繊維の中の水溶性食物繊維は糖を包み込みながら腸の中を移動し、消化管で糖質がゆっくり吸収されるためです。

糖質の吸収速度が遅くなると血糖値が上昇する速度も遅くなり、食後の血糖値がおだやかに上昇します。

厚生労働省が発表している1日あたりの食物繊維の目標量は、以下のとおりです。

対象1日あたりの目標量
18歳以上64歳以下の男性21g以上
18歳以上64歳以下の女性18g以上

参照元:食物繊維の必要性と健康 – 厚生労働省

報告によると食物繊維の平均摂取量は以前よりも減少傾向にあり、平均で14g前後です。

食物繊維は生活習慣病を予防する効果が期待できるため、積極的な摂取が推奨されています。

日本糖尿病学会が刊行している糖尿病診療ガイドライン2024でも、食物繊維の摂取は糖尿病患者の血糖コントロールに有効とされています。

参照元:糖尿病診療ガイドライン2024 – 日本糖尿病学会

血糖コントロールとは、血糖値の数値をできる限り正常な値に近づけて良い状態を保つことです。

食物繊維には、コレステロール値や血圧を下げる働きもあります。

糖尿病患者は健康な人に比べて心血管疾患のリスクが高くなりますが、コレステロール値の低下により発症を抑制できます。

蕎麦に含まれる植物性タンパク質は血糖値の上昇を抑える働きがある

蕎麦はうどんやお米に比べてタンパク質が多く、蕎麦に含まれる植物性タンパク質には血糖値の上昇を抑える働きがあります。

タンパク質の摂取により、体内でインクレチンというホルモンが分泌されるためです。

インクレチンには、以下のような働きがあります。

  • インスリンの分泌を促進する
  • 血糖値を上げるホルモンであるグルカゴンの分泌を抑える
  • 胃の運動を抑制する

インクレチンの働きにより、食後に血糖値が急上昇するのを防げます。

タンパク質は必須アミノ酸のバランスによって質の良さが決まりますが、蕎麦に含まれるタンパク質は質の良さも特徴です。

必須アミノ酸のバランスは、アミノ酸スコアという数値が指標となります。

アミノ酸スコアは100を満点とし、数値が高いほどアミノ酸のバランスが良くなります。

蕎麦のアミノ酸スコアは、そば粉の種類によっても異なりますが84〜92です。

そば粉はそばの実を精製せずに作られており、そばの実の胚芽部分には栄養が多く含まれています。

必須アミノ酸がバランス良く含まれているため、タンパク質を効率良く摂取できます。

ポリフェノールの一種であるルチンが血糖値の上昇を抑える

蕎麦に含まれるポリフェノールの一種であるルチンは、血糖値の上昇を抑える働きがあります。

ルチンがすい臓に働きかけ、インスリンの分泌を促すためです。

糖尿病患者はインスリンの分泌が不足している場合が多く、ルチンの摂取によって分泌量を増やせます。

ルチンにはすい臓を活性化させる効果があるため、糖尿病の予防にも効果的です。

糖尿病にかかると高血糖の状態が続き、体内にAGEsが合成される場合があります。

AGEsとは糖とタンパク質が結合してできる最終糖化産物のことで、体内に増え続けると老化の原因となります。

さらにAGEsにより糖尿病の合併症を引き起こすリスクが高まるため、生成の予防が必要です。

ルチンには糖とタンパク質の結合を予防し、AGEsの生成を抑える効果があるといわれています。

他にも血圧を下げる作用や毛細血管を強くする作用があり、糖尿病の合併症に多い動脈硬化などを防ぐのに有効です。

蕎麦は上記の理由から血糖値の急上昇を抑えられますが、血糖値を気にする人の中には蕎麦とうどんのどちらを食べるか迷っている人もいるでしょう。

続いて、うどんや他の主食と蕎麦を比較していきます。

糖尿病や血糖値が気になる人にはうどんより蕎麦が向いている

糖尿病や血糖値が気になる人にはうどんより蕎麦が向いている

糖尿病や血糖値が気になる人には、うどんよりもGI値が低い蕎麦のほうが向いています。

うどんは高GI食品に分類されており、食後の血糖値が急激に上がる恐れがあるためです。

さらに蕎麦には食物繊維やタンパク質、ビタミンB群などの栄養素がうどんより多く含まれています。

食物繊維やタンパク質は血糖値の上昇を抑える働きがあるため、血糖コントロールに役立ちます。

ビタミンB群は、体内の糖質や脂質をエネルギーに変える際に必要なビタミンです。

ビタミンB1が不足するとブドウ糖をエネルギーに変換できなくなり、血糖値が高い状態が続きます。

インスリンが不足するとビタミンB1が欠乏する傾向にあるため、糖尿病患者は積極的に摂取したいビタミンです。

ただし蕎麦はうどんよりもカロリーが高く、含まれる糖質の量も多くなります。

以下は、主な穀類100gあたりのエネルギーと含まれる炭水化物の量です。

食品エネルギー炭水化物
蕎麦130kcal26.0g
うどん95kcal21.6g
精白米、うるち米342kcal77.6g
玄米346kcal74.3g
食パン248kcal46.4g
全粒粉パン251kcal45.5g

参照元:食品成分データベース – 文部科学省

蕎麦とうどんは、ゆでた状態の数値です。

カロリーはエネルギーの大きさを表す単位、炭水化物は糖質と食物繊維の総称を表します。

炭水化物は体内でブドウ糖に分解されるため、多く摂取すると血糖値の上昇につながります。

お米やパンと比較すると蕎麦はエネルギー、炭水化物共に少ない食品です。

GI値の低い食品がカロリーも低いとは限らず、蕎麦よりもうどんの方がカロリーを抑えられます。

蕎麦は穀類の中ではGI値やカロリーが低い食品ですが、食べ方には工夫が必要です。

糖尿病や血糖値が気になる人が蕎麦を食べる時のポイントを解説

糖尿病や血糖値が気になる人が蕎麦を食べる時のポイントを解説

糖尿病の人や血糖値が気になる人が蕎麦を食べる時のポイントは、以下の4つです。

  • 蕎麦単品で食べるのは避ける
  • 薬味やトッピングはたっぷり乗せる
  • 量を多く食べすぎないようにする
  • 炭水化物を重ねて食べるのは避ける

蕎麦にもいくつか種類がありますが、血糖値の上昇を防ぐには十割そばまたは田舎そばが効果的です。

十割そばと田舎そばには、それぞれ以下のような特徴があります。

種類特徴
十割そば・そば粉が10割で作られる
・つなぎを使わない
・食物繊維やミネラルが豊富
田舎そば・一般的に表層粉で作られる
・そば粉8割、小麦粉2割の二八そばも田舎そばに分類される場合がある
・食物繊維が多く糖質が少ない

十割そばと田舎そばはどちらもそば粉の割合が多く、食物繊維が豊富です。

そば粉に含まれている食物繊維は糖の吸収をおだやかにし、急激に血糖値が上がるのを抑えられます。

十割そばにはつなぎの小麦粉が使われていないため、栄養素が豊富に含まれています。

田舎そばの材料となる表層粉は、そばの実の外皮に近い部分を粗く挽いたそば粉です。

そば殻が付いたまま製粉されるため、食物繊維を多く含んでいます。

GI値はそば粉の配合比率によっても異なるため、蕎麦の種類にもこだわって選ぶとより血糖コントロールの効果が上がります。

糖尿病の人や血糖値が気になる人は、蕎麦を食べる時に他の食品との組み合わせや量に気を配りましょう。

蕎麦を単品で食べるのは避ける

蕎麦単品の食事は炭水化物のみを摂取するため、血糖値の上昇につながります。

蕎麦には食物繊維やタンパク質などの栄養素が含まれていますが、単品では必要な栄養が不足してしまいます。

主食を蕎麦にする場合は、主菜や副菜のおかずと組み合わせると栄養バランスの改善に効果的です。

主菜は肉や魚、卵などタンパク質が摂れるおかずが候補となります。

副菜に野菜や海藻などを使うと品目が増え、足りない栄養素を補えます。

そばつゆには旨みが溶け込んでいるため、麺を食べ終わった後に飲み干す人もいるでしょう。

しかしそばつゆには糖質が多く含まれており、糖尿病の人がつゆを飲み干すのはおすすめできません。

おかずを用意するのが難しい場合は、蕎麦に薬味やトッピングを加える方法もあります。

薬味やトッピングをたっぷり乗せる

薬味やトッピングをたっぷり乗せる

蕎麦に薬味やトッピングをたっぷり乗せると、単品では不足しがちな栄養素を補えます。

とろろ大根おろしなめこなどの野菜を蕎麦に合わせたメニューは飲食店でもよく提供されています。

山菜きのこ類は蕎麦との相性が良く、GI値が低い食品です。

食物繊維も豊富に含まれているため、糖質の吸収を抑えられます。

他にもわかめのりなどの海藻類は糖質が少なく、食物繊維やミネラルが豊富に含まれています。

タンパク質を補うためには鶏肉温泉卵納豆などを蕎麦に乗せるのが効果的です。

薬味やトッピングにより品目が増え、栄養価が高くなります。

具沢山の蕎麦は他のおかずを用意しなくても栄養が摂れるため、忙しい時にも便利です。

量を多く食べすぎないようにする

血糖値をコントロールするためには、量を多く食べ過ぎないのが大切です。

蕎麦は低GI食品ですが、うどんより糖質が多く含まれています。

麺類は食品全体の中でGI値が高く、カロリーや糖質も多いです。

同じ量の白米やスパゲッティに比べると蕎麦はカロリーや糖質は低いものの、食べる量が多いと血糖値に影響を与えます。

普段食べる1食分の白米を蕎麦に置き換えるのは問題ありませんが、蕎麦はのどごしが良く、食べ過ぎてしまう可能性があるでしょう。

人によって適正な食事量や摂取カロリーは異なるため、医師の指導や食品交換表を目安に献立を立てます。

食品交換表とは、日常的に食べている食品を栄養素によって6つのグループと調味料に分類する表のことです。

日本糖尿病学会は、日本糖尿病食事療法のための食品交換表を公表しています。

食品交換表を活用すると1日に食べる目安量がわかり、栄養バランスの良い食事の献立づくりに役立ちます。

蕎麦と他の炭水化物を重ねて食べるのは避ける

蕎麦は主食の中ではGI値が低い食品ですが、お米など他の炭水化物を重ねて食べるのは避けましょう。

飲食店では、蕎麦と丼物やおにぎりなどのお米がセットになったメニューがよく見られます。

蕎麦とお米はどちらも炭水化物であるため、両方を同時に食べると糖質に偏った食事になります。

日本食品標準成分表によると、そば100gに含まれる炭水化物の量は55gです。

参照元:日本食品標準成分表増補2023年 – 文部科学省

蕎麦の半分以上が炭水化物であり、加えて白米を食べると糖質が多くなります。

糖質の多い食事は、食後の血糖値が上がる原因の1つです。

丼物やおにぎりなどのメニューは品目が少なく、栄養バランスも偏ってしまいます。

糖尿病や血糖値が気になる人が蕎麦を食べる時は、今回紹介したポイントを意識しましょう。

蕎麦は栄養価が高く血糖値の上昇がおだやかな食品ですが、血糖値には食べ方も大きく影響します。

血糖値の急上昇を抑えるには食品だけでなく食べ方の工夫も必要

血糖値の急上昇を抑えるには食品だけでなく食べ方の工夫も必要

血糖値は食べ方も大きく影響するため、血糖値の急上昇を抑えるには食品選びだけでなく食べ方の工夫が必要です。

同じ食品でも組み合わせや食べる順番、タイミングによって血糖値の上がり方が変わります。

糖尿病の治療や血糖値の改善には、血糖コントロールが重要です。

血糖値の急激な上昇と降下が起こる状態を血糖スパイクといい、動脈硬化や脳卒中などを引き起こす原因となります。

血糖値を安定させるために効果的な食べ方は、以下の3つです。

  • 1日3食を規則正しく食べる
  • 食物繊維の多い物から先に食べる
  • 糖質の量を減らしてバランス良く食べる

食事の間隔や食べる順番、バランスの見直しが血糖値の安定につながります。

1日3食を規則正しく食べるのが大切

血糖値を安定させるためには、1日3食を規則正しく食べるのが大切です。

食事の間隔が短いと血糖値が下がる時間が確保できないため、高血糖の状態が続いてしまいます。

食事は前の食事から3〜4時間空けて、1日3回摂るようにしましょう。

できる限り決まった時間に食事を摂り、食事量も偏りすぎないのが理想です。

糖尿病や血糖値が気になる人が、摂取カロリーを減らすために食事の回数を減らすのはおすすめできません。

食事の時間が不規則で空腹の時間が長くなると早食いや過食を招き、血糖値が急上昇につながるためです。

早食いは満腹を感じる前に食べてしまうため、食べ過ぎる原因となります。

広島大学が行った調査によるとゆっくり食べる人は肥満になる可能性が低く、糖尿病につながるメタボリックシンドロームを発症するリスクも低下すると判明しました。

参照元:臨床研究情報ポータルサイト – 国立保険医療科学院

よく噛んで食事をすると、脳内に満腹中枢を刺激するヒスタミンや食欲を抑制するレプチンが分泌されます。

これらの成分が脳に作用して満腹感を感じられるため、食べ過ぎを防げます。

食事を始めてから満腹中枢が働くまでに約15分かかるといわれているため、ゆっくり食事をするのが大切です。

ゆっくり食事をするためには時間に余裕を持つ、噛む回数を増やすなどの方法があります。

あらかじめ時間を確保し、落ち着いて食べられる環境を整えるとゆっくり食事ができます。

噛む回数を増やすためには日頃から意識し、一口の量を減らすと効果的です。

食物繊維の多い物から先に食べると血糖値の急上昇を防げる

食物繊維は消化や吸収に時間がかかるため、食物繊維の多い物から先に食べると血糖値の急上昇を防げます。

食物繊維が多く含まれる食品は野菜きのこ海藻などです。

血糖値を安定させるためには食物繊維、タンパク質、炭水化物の順番で食べるのが良いとされています。

野菜を最初に食べる食べ方はベジファーストと呼ばれ、生活習慣病の予防にも効果的です。

ただし、食物繊維を摂取してからすぐに炭水化物を食べるといっしょに吸収されてしまいます。

血糖値の上昇を抑えるためには、炭水化物を食べるまでに5〜10分程度空けるのが大切です。

朝食に食物繊維を多く摂取すると、セカンドミール効果も期待できます。

セカンドミール効果とは、1日で最初に食べる食事が次の食後の血糖値に影響を及ぼすという考え方のことです。

1982年、カナダにあるトロント大学のジェンキンス博士によって発表されました。

食物繊維を多く含む朝食は高いセカンドミール効果が期待できるため、昼食後に血糖値が上昇するのを抑えられます。

以下は、朝食で摂れる食物繊維の量を増やすための具体例です。

  • 白米を玄米に変える
  • パンを小麦粉で作られた物から全粒粉やライ麦を使った物に変える
  • きのこや海藻がたっぷり入ったみそ汁を飲むなど

少しの工夫で食物繊維の摂取量を増やせるため、意識して食品を選びましょう。

食事で摂取する糖質の量を減らしてバランス良く食べる

血糖コントロールには、糖質が少ない食品を選んでバランス良く食べるのが大切です。

炭水化物が中心の食事は糖質が多く、血糖値が上がる原因となります。

手軽に食べられる菓子パンおにぎりなどは糖質が多く、単品では栄養が十分に摂取できません。

食物繊維やタンパク質も不足してしまうため、食後の血糖値が急上昇してしまう恐れがあります。

糖質の量を減らすには、以下のような方法があります。

  • お米や麺類など主食の量を減らす
  • 低GI食品を選ぶ
  • ジュースや清涼飲料水を避ける

ごはんや麺類などの主食には糖質が多く含まれているため、主食の量を減らすと効率的に糖質を減らせます。

いつも食べているお米の量を減らして、その分野菜の量を増やすと良いでしょう。

なかなか食べる量を減らせない人は、低GI食品を選ぶ方法もあります。

カロリーや糖質が多い低GI食品もありますが、高GI食品に比べて糖質の吸収がおだやかです。

低GI食品は血糖値が急上昇するのを防げるため、血糖コントロールに役立ちます。

ジュースや清涼飲料水には砂糖や人工甘味料が多く含まれており、知らないうちに糖質を多く摂取している可能性があります。

飲み物は食べ物よりも吸収が早く急激な血糖値の上昇につながるため、水分補給する際は糖質が含まれていないお茶や水がおすすめです。

低GI食品である蕎麦は食後に血糖値が急上昇するのを抑えられる

血糖値の急上昇を抑えるには食品だけでなく食べ方の工夫も必要

低GI食品である蕎麦は血糖値がおだやかに上昇するため、食後に血糖値が急上昇するのを抑えられます。

蕎麦には血糖値に働きかける食物繊維やタンパク質、ルチンなどの栄養素が豊富に含まれています。

食物繊維には糖質の吸収を遅らせる作用があり、血糖値が上昇する速度もおだやかです。

タンパク質やルチンにはインスリンの分泌を促し、血糖値の上昇を防ぐ効果があります。

糖尿病の人や血糖値が気になる人は、うどんよりもGI値が低い蕎麦が向いています。

蕎麦はお米やパンと比較してもGI値が低く、カロリーや糖質も少ないのが特徴です。

蕎麦を食べる時は単品で食べるのを避け、薬味やトッピングを乗せると足りない栄養素を補えます。

血糖コントロールをしながら蕎麦を食べるにはお米などの炭水化物と重ねて食べるのを避け、量が多くなりすぎないように調節します。

血糖値を安定させるためには食品選びだけでなく、食べ方も重要です。

食べるタイミングや順番、栄養バランスによって血糖値の数値に影響を与えます。

今回の記事を参考に食品選びや食べ方を工夫し、食後の血糖値が急上昇するのを防ぎましょう。

この記事の監修者

東京医科大学を卒業後、複数の総合病院内科、東京医科大学病院 糖尿病代謝分泌科を経て、現在の四谷内科・内視鏡クリニックの副院長に就任。


糖尿病専門医でありながら、見逃されやすい内分泌疾患にも精通した総合的な診療をおこなう。

日本糖尿病学会
糖尿病専門医

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