糖尿病は初期段階の自覚症状がない病気ですが、健康診断などの血液検査や尿検査における数値の異常から、発症を把握できます。
症状の進行状態を知るためには、医療機関で糖尿病に特化したより専門的な検査を受ける必要があります。
しかし、軽度の高血糖は自覚症状がなく、いつの間にか重症になってしまう事例が多いです。
そのため、定期的に検査キットや測定器によるセルフチェックが大切となっています。
この記事では、糖尿病の検査キットについて解説します。
- 糖尿病予備群の概要
- 糖尿病の検査キットの種類や測定値の確認方法
- 糖尿病発症予防のための対策
糖尿病の検査キットの金額や購入できる場所についても紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
糖尿病予備群は糖尿病発症の一歩手前の状態
糖尿病にはなっていないが、糖尿病を発症しそうな状態を糖尿病予備群、もしくは境界型といいます。
1型糖尿病といわれる糖尿病は、生活習慣病の一種である2型糖尿病とは異なる性質で急に発症する事例があります。
しかし、2型糖尿病の場合は時間をかけてゆっくり血糖値が高くなり糖尿病を発症する病気です。
糖尿病予備群といわれる人は、下記のいずれかを満たしている場合をいいます。
HbA1c | 6.0~6.4% |
---|---|
空腹時血糖値 | 110~125mg/dL |
75g経口ブドウ糖負荷後2時間の血糖値 | 140~199mg/dL |
糖尿病予備群といわれる人は、予備群でない人と比較して6〜20倍ほど糖尿病を発症する確率が高いといわれており、将来糖尿病を発症する確率が高い状態です。
上記の表に1つでも該当する人は、継続的な血糖モニタリングや生活習慣の改善が必要となります。
糖尿病予備群では自覚症状がほとんどないため注意が必要
仮に糖尿病であったとしても、血糖値が300〜400mg/dLほどまで上がらなければ通常自覚症状はほとんど出ないといわれています。
そのため、糖尿病予備群ではまだ発症していない状態なので、自覚症状がほとんどありません。
2型糖尿病は、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが出にくくなったり、効きにくくなったりする病態です。
この病態の変化は、糖尿病を発症する糖尿病予備群の段階から生じているといわれています。
また、糖尿病予備群は、血糖値が異常値まではいかないけれど基本的には血糖値は高めです。
持続的に血糖値が高い状態が続いて血液の粘性が強くなり、全身の血管にダメージを与えます。
そのため、糖尿病予備群の段階でも動脈硬化などの血管の脆弱化が生じており、心臓や脳などの血管の病気を発症する可能性が高くなります。
血糖値を下げるには、普段からインスリンの働きを高める工夫が大切です。
カテキン、イソフラボン、アントシアニンなどで知られるポリフェノールにはインスリンの働きを高め血糖値を抑制する効果が確認されています。
食事習慣に取り入れていくように心がけていきましょう。
ポリフェノールの最新研究データ
糖尿病の自己検査キットは尿検査と血液検査がある
現在では糖尿病のセルフモニタリングとして使用できる市販の検査キットがいくつかあります。
主に個人で購入できる検査キットには尿糖検査と血液検査があります。
尿糖検査キット
尿糖とは、血液中の糖が尿中に排泄された糖のことです。
血液中の糖は、腎臓で血液から濾過される過程で水分とともに体に再吸収されます。
一般的に、血糖値が160〜180mg/dLを超えると尿糖の検出が可能です。
尿糖検査キットは尿糖の生成される仕組みを利用して高血糖の有無を確認します。
購入方法
オンライン通販や薬局、ドラッグストアで購入が可能です。
第2類薬品に該当するため処方箋は不要で、薬剤師からの使用説明は努力義務とされています。
価格
1,000円〜2,000円程度と安価なものが多いです。
使用方法
検査キットに入っている試験紙を尿に約1秒間浸し、決められた判定時間まで待つと試験紙の色が変化します。
変色した試験紙を付属している判定表(カラーチャートのようなもの)で照合し、変色した試験紙の色と見比べて判定します。
そのため、検査キットによる尿糖検査の結果のみで、糖尿病や高血糖の可否は確定できません。
尿糖が出ている場合は、早めに受診して検査を受けるようにしましょう。
血糖検査キット
血糖検査キットでは血糖をより正確な数値で測定可能です。
自己測定器のセンサーには、グルコースに反応する酵素が搭載されています。
染み込んだ血液中のグルコースに酵素が働いて電子が放出されます。
電圧をかけた電極でこの電子を拾い、流れた電流の大きさからグルコース濃度を換算する仕組みです。
購入方法
血糖測定器本体のみは高度管理医療機器に分類されており、インターネットや薬局でも購入できます。
測定に必要なセンサーチップは体外診断用医薬品であり、調剤室がある薬局で対面での販売が義務付けられています。
価格
本体価格は7,000円〜15,000円程度で、センサーチップ(数十個程度)は2,000円程度です。
しかし、血糖測定器のセンサーチップは、高度医療管理機器を扱う許可を得ている薬局でしか購入できません。
事前に薬局へセンサーの取り扱いや在庫について確認した方がよいでしょう。
測定器や付属品にかかる出費は、保険適用かそうでないかで値段は大きく異なります。
ただ、糖尿病の診断や治療はなく、自分の血糖値を確認してみたいなどの場合は保険適用外のため全額自己負担となります。
使用方法
病院では血糖値の測定はほとんどの場合、採血をして検査しますが、検査キットでは指先に針を指して少量の血液を採取するだけでできます。
血糖測定キットの中に、穿刺(せんし)するキットがあるので、指先にペン型の穿刺針を刺します。
穿刺針はとても細い針であるため、穿刺時にほとんど痛みが生じないのが特徴です。
最近では自宅で採血したものを検査機関に郵送すると検査結果がメールや郵送で届くサービスや、薬局で採血をするだけでHbA1cの値が検査できるようなサービスがあります。
血糖検査キットも尿糖検査キットと同様に、異常値が出たとしても病院で診断を受けるまでは確定診断はできないため、不安な場合は医療機関の受診が必要です。
検査値を記録してセルフモニタリングを行う
尿糖検査や血糖検査を実施したら、ノートなどに値を記録すると日々の経過を記録できます。
結果を十分に活用するには、数値を記入するだけではなく、数値とともに測定したタイミングや時間の記載が必要です。
糖尿病を発症していない糖尿病予備群の段階であっても、ノートの記録はとても重要な情報です。
尿糖や血糖の推移を記録したノートは、日々の自分の体調確認にも有益であり、万が一の受診時の際にも医療職者が患者の状態把握をするのに役立ちます。
糖尿病患者の血糖測定ノートは、医師の指示のもと定期的に自己血糖測定を実施して、インスリンの投与量などを決定する目的などで使用されます。
・食後や空腹時の血糖値を抑制する
・インスリンの効き目を高め分泌を促す
など、糖尿病予防におけるポリフェノールの研究が進んでいます。
ぜひ、こちらの記事も確認してみてください。
薬科大学・国立大学が注目するポリフェノール研究
糖尿病になる前から検査キットで早めに自分の血糖値を把握して生活習慣を改善しよう
糖尿病は血液検査や尿検査のキットを使用し、セルフモニタリングによって異常の早期発見が可能です。
糖尿病になる前から自分の血糖値の状況を知っておくと、症状を早めに把握できます。
尿糖や血糖の自己チェックで糖尿病予備群だと思ったら、早期の生活習慣の改善が必要です。
血糖値を低下させるために有益な生活習慣の改善方法を、いくつか紹介します。
食生活の改善:糖質の多い食事は血糖値を急激に上げると言われています。
糖質を多く含む代表的な食品は白米や麺などです。
血糖値の上昇を抑えるためには、食事に以下のような工夫を取り入れてみましょう。
- 米やパンを食べる場合は、玄米や全粒粉パンなど、なるべく糖質が少ない食品に置き換える
- 大豆食品やそば、きのこ類など、血糖値の上昇をゆっくりにする低GI食品を選ぶ
糖質もある程度は体に必要であるため、極端に制限するのは推奨できません。
栄養バランスを考えつつ、食品の置き換えや選択を行ってみてください。
運動の実施:運動や筋力トレーニングは、インスリンや糖質のエネルギー消費に対してよい影響を与えます。
- 有酸素運動:運動によって血流が増加し、ブドウ糖が細胞の中に取り込まれて、インスリンの働きが活発になる
- 筋力トレーニング:筋肉量の増加によって基礎代謝が上昇し、運動時以外も糖質や脂質のエネルギー消費が促されるようになる
有酸素運動は、ウォーキングやジョギング、水泳などが該当します。
継続的な運動が望ましいため、毎日続けられる運動量や時間を考えて、始めてみましょう。
糖尿病は一度発症すると、完治するのが難しい病気です。
また、治療には長期間の服薬やインスリン注射が必要になります。
そうならないために、日頃から生活習慣の意識や自宅でできる検査キットなどを活用して自分の尿糖や血糖についての理解が重要です。
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