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バナナと血糖値の関係性や気になる栄養素を考慮した効果的な食べ方を紹介

バナナと血糖値の関係性や気になる栄養素を考慮した効果的な食べ方を紹介

栄養価の高さや美味しさから、手頃な価格で手に入る果物のバナナを好んで食べる人は多いのではないでしょうか。

血糖値の上昇が気になり、糖尿病や血糖値の高さを指摘されている人の中には、バナナを食べたくても我慢している人も少なからずいるでしょう。

今回はバナナと血糖値にどのような関係があるのか、バナナに含まれる栄養素や血糖値を考慮したバナナの効果的な食べ方についてまとめました。

この記事でわかること
  • バナナと血糖値の関係性
  • バナナに含まれる栄養素
  • 血糖値を考慮したバナナの食べ方
目次

血糖値が高いと言われている人はバナナの食べ方を工夫する

血糖値が高いと言われている人はバナナの食べ方を工夫する

血糖値が気になる人や糖尿病の人がバナナを食べるときには、食べる時間帯や量だけでなく、食べ方を工夫すると良いでしょう。

糖尿病の人でも、以下の状況に当てはまる人はバナナの食べ方を工夫する必要があります。

  • 特に厳密に血糖値を管理する必要がある
  • 血糖のコントロールが良好ではない
  • 医師に徹底した食事療法をするよう指導されている

自己流で判断せず、かかりつけの医師や看護師にあらかじめ食べて良い量などを聞いておくのがおすすめです。

バナナは糖質が含まれている果物ですが、体に必要な栄養素もしっかり備わっているため決して体に悪い食べ物ではありません。

ここからは、バナナの栄養素と糖尿病との関係性について紹介します。

バナナに含まれる主要な栄養素と糖尿病の関係

バナナには糖質だけでなく、以下のような栄養素が含まれています。

バナナに含まれる栄養素
  • カリウム
  • 食物繊維
  • ビタミン類

上記の栄養素の中でも、特に体にとって重要な働きをするのがカリウムです。

カリウムは、体内における濃度が多すぎても少なすぎても良くないとされているほど重要な電解質でもあります。

バナナを食べるときに気になりがちな糖質だけではなく、実は豊富に含まれているカリウムや食物繊維などの栄養素についても、私たちの体の中でどのような働きをするのか解説していきます。

カリウム

カリウム

前述したように、バナナにはカリウムが豊富に含まれています。

カリウムは、人間の生命維持に必要な電解質です。

細胞内液の浸透圧を維持し、心臓をはじめとする体内の筋肉や神経を正常に保つ働きをしています。

人間の体は、血液中のカリウム濃度を3.5〜5.0mEq/L(メック)に維持するのが良いとされています。

しかし、血液中のカリウムの濃度は脱水や野菜不足、薬の副作用など様々な要因によって変化します。

カリウムが体内で不足している場合は、カリウムが豊富に含まれているバナナなどの摂取によるカリウムの補給が推奨されます。

その反面、糖尿病で腎機能障害を併発している人はカリウムを体外に排出する機能が低下するため、カリウムの摂取を控えるよう指導される場合があります。

腎機能障害によりカリウムが排出できず、体内に蓄積すると心臓に負担がかかるためです。

特に、血清カリウム値が7.0mEq/L(メック)を超えると心臓の筋肉が正常に作用せず、急な心停止や致死的な不整脈を引き起こす可能性があります。

そのため腎臓の薬を飲んでいたり、カリウムの値が高いと指摘されていたりする場合にバナナを食べたいときは医師に相談し適切な量を食べましょう。

食物繊維

食物繊維

食物繊維は人間の体において便通を良くする働きだけでなく、脂質や糖質のほかに体内の余分なナトリウムを吸着し体外に排出させる働きがあります。

上記のほかに、血糖値の急な上昇を抑える働きやコレステロールの吸収を抑えたり、満腹感を持続させたりする作用もあります。

特定保険用食品で、おなかの調子を整える食品として認められている成分の多くが食物繊維です。

食物繊維は不足しがちな栄養素であり、意図的に摂取する必要がありますが一日で必要な摂取量は年齢や性別で大きく異なります。

年齢、性別によって必要とされている食物繊維の量を下記にまとめました。

男性の場合

  • 18歳〜64歳:21グラム以上
  • 65歳以上:20グラム以上

女性の場合

  • 18歳〜64歳:18グラム以上
  • 65歳以上:17グラム以上

上記のように、食物繊維は成人一日あたり15グラム以上の摂取が必要とされています。

しかし、バナナ一本あたりに含まれる食物繊維は1.1グラムとそう多くはありません。

食物繊維が必要だからとバナナを食べすぎるのは、血糖値の上昇を招きます。

そのため、医師にバナナの適切な摂取量を相談したり、日頃間食として他の果物を食べていたりする場合はバナナに置き換えて食べるなどを工夫するとよいでしょう。

ビタミン類

ビタミン類

ビタミンにはビタミンAやビタミンB、ビタミンCなど様々な種類がありますが、その中で最もバナナの中に豊富に含まれているのはビタミンです。

ビタミンAは緑黄色野菜やバターなどの乳製品にも豊富に含まれており、レチノールとも呼ばれています。

ビタミンAは皮膚や粘膜を健康に保ち、病原菌やウイルスに対する防御作用を発揮するだけでなく、白血球やリンパ球などの免疫細胞を作り出す働きをする主要な栄養素です。

ビタミンAも食物繊維同様に、性別や男女によって必要量が異なります。

以下が、厚生労働省より推奨されている性別ごとのビタミンA摂取量です。

  • 成人男性: 約800〜900μgRAE/日
  • 成人女性:約650~700μgRAE/日

血糖値が高い状態が続くと毛細血管の血流が低下し、免疫システムを担う細胞に十分な酸素や栄養が供給されづらくなります。

結果的に免疫力の低下を招きますが、免疫低下はビタミンAを摂取して改善するわけではありません。

バナナを食べるときは、ビタミンAを摂取するためにたくさん食べるのではなく、免疫低下の根本的な原因となる高血糖を防ぐために適切な量を食べましょう。

糖質

糖質

糖質は、バナナに最も多く含まれる栄養素です。

バナナの可食部100グラムに含まれる糖質は22.5グラムで、そのうちブドウ糖2.6グラムと果糖2.4グラムに分けられます。

以下の表は、他の果物の可食部100グラムとバナナの可食部100グラムあたりに含まれる糖質をブドウ糖と果糖に分類して表したものです。

果物ブドウ糖(g)果糖(g)
バナナ(生)2.62.4
パイナップ(缶詰)7.15.7
さくらんぼ(米国産・生)6.64.3
りんご(皮付き・生)1.66.3
ぶどう(皮付き・生)8.48.7

上記の表から、バナナはりんご以外の他の果物に比べて、可食部100グラムあたりに含まれるブドウ糖が少ないのが分かります。

糖尿病患者が最も気にする血糖値は、血液の中に入ったブドウ糖の量を指します。

血糖値は運動やストレスなど様々な要因で変動しますが、特に血糖値に影響するのが食事です。

血糖値は食事の前後で大きく変動し、食事前の血糖値は低く、食事によって糖質を摂取すると必然的に血糖値は上がります。

血糖値が低い場合にはブドウ糖を補充する必要があり、高血糖の場合はインスリンを使って糖質を下げる必要があります。

さらに、ブドウ糖や果糖はタンパク質と結合し体内で糖化という現象を引き起こします。

糖化したタンパク質が過去1〜2ヶ月の間、どのぐらいの割合で存在していたのかを算出したものがHbA1cです。

上記の内容をまとめると、果物の中に含まれる糖質は糖尿病に以下のような影響をもたらします。

  • ブドウ糖:食後の血糖値を上げる要因となる。
  • ブドウ糖、果糖:HbA1cを上げる要因となる。

そのためバナナを摂取したいときは、食べるタイミングや量を考慮して自分の体に見合った量にする必要があります。

ブルーベリーなどに多く含まれるプロアントシアニジンには、糖の吸収を抑えたり、血糖値の上昇を抑制する効果が確認されています。
プロアントシアニジンを多く含む食材を意識して摂ることも、血糖値対策に有効といえるでしょう。

プロアントシアニジンを多く含む食品一覧

血糖値を考慮したバナナの食べ方

血糖値を考慮したバナナの食べ方

では、血糖値やHbA1cを考慮してバナナを食べるにはどうしたら良いのでしょうか。

バナナをはじめとする果物にはビタミン類や食物繊維が豊富に含まれているため、美容や健康のために食べたい人も多いでしょう。

ここでは、血糖値を考慮したバナナの食べ方についてまとめました。

バナナの摂取量

血糖値を考慮したバナナの食べ方1

血糖値やHbA1cを考慮して効果的に栄養素を取り入れつつ、バナナなどの果物を食べたい場合は1日あたり100グラム以内がよいとされています。

バナナであれば小さいもので1本、大きいものであれば2/3本が目安です。

実際に計量するのが確実ですが、手軽に食べたい場合は握りこぶしひとつ分を目安に食べるという方法があります。

バナナはキウイフルーツをはじめとする他の果物に比べて、可食部100グラムあたりのブドウ糖や果糖が少ない食べ物です。

摂取量が80グラムでは少ないと感じる場合は、無糖のヨーグルトなど比較的糖質が含まれていないもので傘増しを検討してみてください。

特にインスリン注射や血糖降下薬を服用している場合、適正量とされる80グラムのバナナを摂取しても摂取後の血糖値が予想以上に高くなる可能性もあります。

バナナが熟していたり糖度が高い種類だったりすると、バナナの糖度が上がるのに比例して摂取する糖質量も増えるためです。

食後の血糖上昇を抑えるためには、バナナの分量だけでなく、糖度にも注目すると良いでしょう。

バナナに糖度が明記されている場合には、糖度の低いバナナを熟さないうちに食べるなどの工夫が必要となります。

厳格な血糖コントロールが必要な方は、医師に相談して自分に見合った摂取量を決めるのが大切です。

食べる時のタイミング、食べ方を工夫する

血糖値を考慮したバナナの食べ方2

バナナを食べる際には、空腹時を避けましょう

バナナは果物の中ではブドウ糖や果糖が比較的少なめではありますが、ヨーグルトやチーズなどと比較すると糖質が多い食べ物です。

どうしても朝食にバナナを食べたいという場合には、生野菜サラダなど糖質の少ない食べ物を先に食べてからデザートとしてバナナを食べると血糖の上昇が抑えられます。

その際、トーストをバナナに置き換えたり白米の量を減らしたりして糖質の量の調整を検討してみてください。

間食として食べる場合は糖質の量を減らすために普段食べている軽食と置き換えたり、一日の摂取量である80gを午前と午後の2回に分けて食べたりするなどの工夫をしましょう。

食べるタイミングや順番などが血糖値に影響します。
普段の食事から糖分の吸収を穏やかにする工夫をするようにしましょう。
糖分の吸収を抑えたり、インスリンの効き目を高める機能があるポリフェノールの摂取などもオススメです。
詳しくは「ポリフェノールと血糖値の関係」の記事をご確認ください。

糖質以外の栄養の摂りすぎに気をつける

血糖値を考慮したバナナの食べ方3

バナナは糖質の他に食物繊維やビタミンが豊富なだけでなく、カリウムも豊富に含まれています。

腎機能障害がある人は体内に蓄積されたカリウムを体外に排出する機能が低下するため、体内にカリウムが貯まりやすい状態です。

カリウムはバナナだけでなく、ミネラルウォーターや生野菜にも含まれているため、バナナを摂取したい場合はカリウムを摂りすぎないよう気を配る必要があります。

糖尿病腎症や基礎疾患に腎機能障害がある場合は、医師に相談し適切なカリウムの摂取量を知っておくのが良いでしょう。

適正な量と食べ方の工夫でバナナを楽しもう

適正な量と食べ方の工夫でバナナを楽しもう

人気の高い果物であるバナナは、糖質の他にもカリウムなど糖尿病に深く関わる栄養素を持つ果物です。

糖尿病を治療している場合は果物を摂取しない方がよいと感じている人も多いですが、決して果物は糖尿病の人にとって悪いものではありません

適切な量を食べるだけではなく、食べ方の工夫によって糖尿病を治療している人でもバナナは十分美味しく食べられます。

自分の体に見合った摂取量を医師に相談し糖尿病を悪化させない程度に食べましょう。

糖尿病を発症しても摂取の工夫でバナナは食べられる

この記事の監修者

東京医科大学を卒業後、複数の総合病院内科、東京医科大学病院 糖尿病代謝分泌科を経て、現在の四谷内科・内視鏡クリニックの副院長に就任。


糖尿病専門医でありながら、見逃されやすい内分泌疾患にも精通した総合的な診療をおこなう。

日本糖尿病学会
糖尿病専門医

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