近年コーヒーがもたらす健康効果に関する研究が進んでいますが、その中でも注目されているのがコーヒーが血糖値に与える影響です。
コーヒーが糖尿病予防に効果がある、コーヒーは血糖値が下がるという話を耳にした人もいるのではないでしょうか。
実際に複数の研究結果で、コーヒーを習慣的に飲むと血糖値が下がり糖尿病予防に効果的であると示されています。
しかしコーヒーをやみくもに飲めばよいというわけではなく、コーヒーを飲む量やタイミング、効果的な飲み方などの気を付けたい点もあります。
この記事ではコーヒーと血糖値や糖尿病との関係性、効果的なコーヒーの飲み方などについて詳しく解説します。
- コーヒーが血糖値低下や糖尿病予防に効果的な理由
- コーヒーに含まれている成分の効果
- 血糖値低下や糖尿病予防に効果的なコーヒーの飲み方
血糖値が気になる人や健康に気を使う人は、ぜひ最後までご覧ください。
コーヒーは血糖値低下や糖尿病予防が期待できる
コーヒーには諸説ありますが、6世紀頃にアラビアで秘薬として使われていたというエピソードがあります。
コーヒーに含まれている薬効成分や健康効果について多くの研究が行われていますが、その中でも特に注目されているのがコーヒーと血糖値、糖尿病との関係性についてです。
九州大学大学院の研究で、16週間1日5杯のコーヒーを飲むグループとコーヒーを飲まないグループに分けて血糖値を調査しました。
その結果コーヒーを飲んだグループのみ、食後2時間の血糖値が約10%低下したという結果が公表されました。
さらに国立がん研究センターで行われた調査でも、コーヒーを1日3~4杯飲む人はほとんど飲まない人に比べて糖尿病発症リスクが男性で17%、女性では38%低くなったという結果が出ています。
コーヒーを摂取すると血糖値低下や糖尿病予防につながる理由の1つとして挙げられるのが、コーヒーの香りです。
ストレスは糖尿病発症の原因の1つでもあるため、コーヒーによってストレスが緩和されて、糖尿病予防につながっていると考えられています。
そのほかに血糖値低下や糖尿病予防に関係しているとされているのが、コーヒーに含まれている成分であるカフェインとクロロゲン酸です。
基礎代謝を上げて脂肪燃焼を促進するカフェインの効果
カフェインを摂取すると基礎代謝が3~11%程度上昇するため、運動をしたときに脂肪燃焼を促進すると考えられています。
さらにカフェインには、自律神経の働きを高めたり注意力や集中力を向上させたりする働きもあります。
肥満は糖尿病を発症する主な要因となるため、脂肪燃焼が促進されれば肥満になるリスクが減り、血糖値低下や糖尿病予防にも役立ちます。
抗酸化作用や糖質の吸収を穏やかにするクロロゲン酸の効果
クロロゲン酸はポリフェノールの一種で、コーヒー豆に多く含まれていますが、それ以外にもナスやブロッコリーなどの野菜類にも存在しています。
クロロゲン酸には、糖質の吸収を穏やかにする効果があるため血糖値の急激な上昇が防げるのです。
それ以外にも、クロロゲン酸は以下のような効果が期待できるといわれています。
- 動脈硬化や心筋梗塞の原因の1つである活性酸素を中和する抗酸化作用
- 体の痛みや炎症や軽減させる抗炎症作用
- 体重や体脂肪を減少させる作用
- 細菌やウイルスを抑制する作用
- 血圧改善作用
基礎代謝を上げる作用のカフェインと酸化を防ぐ効果のあるクロロゲン酸との相乗効果によって、血糖値低下につながり糖尿病予防も期待されるのです。
コーヒーは糖尿病予防だけでなく、日本人の死因で多いといわれているがんや心疾患などの死亡リスク低下も確認されています。
これらも、コーヒーに含まれているカフェインとクロロゲン酸の効果が寄与しているとされています。
コーヒーのクロロゲン酸やお茶のカテキンなど、ポリフェノールには血糖値を下げる働きがあることが近年の研究でわかっています。
特に意識して摂取したいポリフェノールの種類については、こちらの記事もご確認ください。
血糖値上昇の抑制や糖尿病予防につながる効果的なコーヒーの飲み方と気を付けたい点
コーヒーは血糖値上昇の抑制や糖尿病予防に効果的ですが、一方で飲み過ぎるとデメリットも生じます。
そのデメリットとして挙げられるのが、コーヒーに含まれているカフェインです。
カフェインを大量に摂取すると胃が荒れたり、人によっては胸やけや腹痛を起こしたりする可能性があります。
それ以外にもカフェインを大量摂取した場合に起こりやすい副作用は、以下のとおりです。
- 不眠症
- 神経過敏
- 高血圧
- 心拍数の増加
- 不整脈
カフェインの摂り過ぎは、血糖値を下げる働きをするインスリンの生成や効果にも悪い影響を与えるとされているため、過剰摂取には気を付けましょう。
血糖値低下や糖尿病予防を目的としてコーヒーを飲む際は、以下3点を意識してみましょう。
- 1日3~4杯を目安に食前に飲む
- 砂糖は入れずにブラックで飲む
- 習慣的に飲み続ける
コーヒーを1日3~4杯食前に飲む
カフェインの1日あたりの摂取許容量については個人差があるため、日本を含めて国際的にも明確な設定はありません。
しかし、カナダ保健省ではコーヒーを飲む際は健康な成人で1日400mg、マグカップにすると約3杯程度に抑えるよう推奨しています。
参考:食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~
複数の研究結果とカフェイン摂取量を考慮すると、1日3~4杯が適量です。
さらに食前のコーヒーは空腹感を抑えて食べ過ぎ防止にもつながるため、糖尿病予防を高めるためにはコーヒーを食前も飲むのがおすすめです。
しかしコーヒーに含まれているクロロゲン酸は胃腸の働きを抑制する作用もあるため、人によっては腹痛や吐き気を起こす可能性があります。
その場合は食前に限らず食事中や食後など、体調に合わせて飲んでください。
カフェインレスコーヒーの基準はカフェインを90%取り除いたものをいい、デカフェは日本において明確な基準はないものの、多くの場合カフェイン含有量0.2〜0.3%以下というヨーロッパの定義を参考にしています。
カフェインレスコーヒーやデカフェであっても、普通のコーヒーと同様に血糖値上昇を抑制し糖尿病予防効果が期待できます。
カフェインの過剰摂取を防げるほかにも、睡眠への影響が少ないのもカフェインレスコーヒーやデカフェの魅力です。
砂糖は入れずにブラックコーヒーで飲む
コーヒーを飲む際には、極力砂糖やガムシロップを加えずにブラックで飲むようにしましょう。
糖分は血糖値を急激に上げる成分であり、砂糖とカフェインを一緒に摂取した場合には血糖値が倍速で上がるともいわれています。
コーヒーの血糖値の急激な上昇は血糖コントロールの乱れや血管損傷などのリスク上昇につながるため、甘いコーヒーは控えてください。
ブラックコーヒーが苦手な人や消化器官が弱い人は、少し牛乳を入れると味がまろやかになり、胃の粘膜を守ってくれるためおすすめです。
急激な血糖値の上昇は、血糖値スパイクといわれ、血管に深刻なダメージを与えてしまいます。
血糖値スパイクは、健康診断の数値にも表れにくいため、普段からの意識改革が大切になります。
糖質の吸収を抑え、食後血糖値を抑制する成分紹介の記事もご確認ください。
コーヒーを習慣的に飲み続ける
血糖値低下や糖尿病予防を目指すためには、コーヒーを習慣的に飲み続けるのが大切です。
日本国内での調査報告によると、コーヒーを8週間飲み続けても血糖値に変化はなかったものの、16週間飲み続けたところ血糖値が改善したという結果が出ています。
虎の門病院の調査でも、週5回コーヒーを飲む習慣のある人は週1回未満の人と比べて糖尿病発症リスクが約半分になるという結果となりました。
これらの調査結果をふまえると、コーヒーをたまに飲むのではなく、習慣的に飲むようにすれば血糖値低下や糖尿病予防につながるといえるでしょう。
糖尿病患者はコーヒーを飲むと血糖値が上がるリスクがある
血糖値低下や糖尿病予防に効果があるコーヒーですが、すでに糖尿病疾患がある場合には血糖値が上がるリスクがあるため気を付けましょう。
カフェインの作用が増強すると血糖値を下げる働きをするインスリンの働きを妨げて、血糖コントロールの乱れにつながります。
さらにカフェインには血圧を上昇させる作用もあるため、現在糖尿病と診断されている人はコーヒーに限らず、カフェインが含まれている飲みものはなるべく避けるのが大切です。
血糖値低下や糖尿病予防のためにコーヒーを上手に活用しよう
コーヒーを習慣的に飲み続けていると、血糖値低下に繋がり糖尿病予防にも効果的であると分かりました。
1日3~4杯程度を限度として、砂糖は入れずにできるだけブラックで飲むのが大切です。
いれたてのコーヒーには魅力的な芳香があり、その香りを嗅ぐだけでも交感神経を抑制してリラックスできるといわれています。
コーヒーを上手に活用して、血糖値低下や糖尿病予防に役立てましょう。
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