インスリンは、血糖値の上昇を抑えるホルモンで、健康維持にとって欠かせません。
血糖値の上昇は、糖尿病などさまざまな病気のリスクを高める要因となります。
特に糖尿病に罹患するとさまざまな合併症を引き起こす可能性が高くなり、場合によっては命に関わる重篤な状態を引き起こしてしまいかねません。
インスリンの働きが不足している場合の治療法や注意点を理解して、適正な血糖値を保ち健康の維持に努めましょう。
今回は、インスリンの働きや不足した場合のリスクについて解説します。
インスリン不足を補うための治療方法や、治療時の注意点についても紹介します。
- インスリンは血糖値の調整ができる唯一のホルモン
- インスリンの働きが不足すると糖尿病リスクが高くなる
- 糖尿病はさまざまな合併症の要因となる
- 血糖値を下げる治療はインスリン治療が主流
- インスリン治療時は低血糖のリスクに配慮する必要がある
今回の記事を参考にして、インスリンの特徴を理解し、糖尿病に罹患するリスクを軽減してください。
インスリンは血糖値の調整を行う唯一かつ重要なホルモン
インスリンとは、膵臓で生成されるホルモンの一種で、体内の血糖値を下げる作用を持つ唯一のホルモンであると考えられています。
血糖値を高める作用を持つ成分はいくつかある一方で、血糖値を下げるホルモンはインスリンのみであるため、重要度の高いホルモンです。
高血糖や糖尿病に悩んでいる人にとっては、最重要の要素であるといえるでしょう。
血糖値を正常に保つために欠かせないインスリンの特徴について、以下の4点を中心に説明します。
- 血中の糖質吸収をサポートする役割
- 上昇した血糖値を下げる働き
- 基礎分泌と追加分泌の2つのパターンがある
- グリコーゲンや中性脂肪の合成を促す作用もある
血糖に関連する疾病を予防するために、あらかじめインスリンについての理解を深めておきましょう。
血中の糖質吸収をサポートする役割
インスリンは、血中の糖質を吸収してエネルギーに活用する作用をサポートします。
糖質は、血中に常に存在して流れています。
身体の細胞に到達した糖質は吸収されますが、その際にインスリンの働きがないと吸収ができません。
細胞に吸収された糖質は、エネルギー源として身体の各活動に利用されます。
各細胞がエネルギーを獲得するのも難しくなるため、インスリンが正常に作用しないと身体にさまざまな悪影響が及んでしまうでしょう。
インスリンは、身体を正常に稼働させるために欠かせないホルモンです。
上昇した血糖値を下げる働き
インスリンには、上昇した血糖値を下げる働きがあります。
前述のとおり、インスリンは血中の糖質を細胞が吸収する働きを助けるホルモンです。
食後など、血中に多量の糖質が発生した場合、膵臓からのインスリン分泌量も増加します。
多量のインスリンが作用して血中の糖質の吸収を促進し、結果的に血中糖度が低下して一定の水準が維持されます。
従って、何らかの要因によりインスリンの分泌量が減少したり働きが弱くなったりしてしまうと、血糖値が下がらず糖尿病リスクが増してしまいます。
インスリンは、血糖値を一定の水準に維持するうえで欠かせないホルモンです。
基礎分泌と追加分泌の2つのパターンがある
インスリンには、基礎分泌と追加分泌の2つのパターンがあります。
基礎分泌は、空腹時に継続的に分泌されるもので、常に血糖値を一定に保つために作用するものです。
血糖は、食事を摂らなくても常に存在するため、血糖値を正常に維持するため基礎分泌は欠かせません。
一方、追加分泌は食後など急速に血糖値が上昇した際に行われるもので、血糖値を一定に保つために基礎分泌とは別に追加でインスリンが分泌されます。
追加分泌の働きにより、食事などで上昇した血糖値を短時間で一定の水準に戻せます。
血糖を正常に保つためには、基礎分泌と追加分泌の両方の作用が必要不可欠です。
両者のうち一方の働きが不足すると、糖尿病のリスクが高くなってしまいます。
グリコーゲンや中性脂肪の合成を促す作用もある
インスリンは、グリコーゲンや中性脂肪の合成を促す作用もあるホルモンです。
吸収されずに余った血中の糖質は、インスリンの働きにより筋肉の収縮を助けるグリコーゲンと、体脂肪を形成する中性脂肪の形に変えられて蓄えられます。
血中の糖質量を正常に保ちながら、エネルギーが不足する事態に備えて蓄えを行います。
余った糖質を血中に留めておくと、高血糖になって糖尿病リスクの上昇につながってしまうでしょう。
従って、インスリンの分泌および作用が低下するとグリコーゲンや中性脂肪の蓄積もなされなくなり、痩せの原因になる場合もあります。
インスリンは、血糖値の調整をする中で、グリコーゲンや中性脂肪の合成にも寄与する役割の多いホルモンです。
近年の研究では、ポリフェノールの一種にインスリンの分泌を促し効き目を高める作用が発見されています。
詳しくは「インスリンの働きを高めるポリフェノールの最新研究データ」をご覧ください。
インスリンが正常に作用しないと糖尿病のリスクが高まる
インスリンが正常な働きをしないと、糖尿病に罹患するリスクが高くなります。
血糖値の上昇を抑える作用は、インスリン以外にはありません。
ひいては、糖尿病になる可能性が高くなるため、インスリンの十分な働きが維持されているかを確認するのは重要です。
インスリンが十分に働かなくなってしまう原因として、主なものを以下に2つ紹介します。
- 分泌量が不足するインスリン分泌低下
- 働きが十分でないインスリン抵抗性
インスリンが正常に働かない場合、どちらの要因が関係しているのか、あるいは両方とも影響を及ぼしているのかを確認する必要があります。
分泌量が不足するインスリン分泌低下
何らかの要因で膵臓からのインスリン分泌量が不足するインスリン分泌低下が、要因の1つとして考えられています。
膵臓の機能が低下して、十分な量のインスリンが分泌されない状態です。
インスリンは細胞に糖質を取り入れる作用を持つため、インスリンの分泌量が少ないと細胞が十分な糖質を吸収できなくなってしまいます。
インスリン分泌低下が起こる要因は、さまざまあると考えられています。
あるいは、加齢や基本的な生活習慣もインスリンの分泌量に影響すると考えられています。
さらに、人によっては遺伝の影響で先天的にインスリン分泌低下の状態である場合もあるため、検査などで自身の状態を把握するのが重要です。
働きが十分でないインスリン抵抗性
インスリンの分泌量は確保されているものの、十分な働きが得られないのがインスリン抵抗性です。
効率よく糖質を細胞に吸収させられないため、血糖値の高い状態が維持されてしまいます。
インスリン抵抗性が発生する要因として、肥満が影響していると考えられています。
肥満以外では、日々の生活によるストレスや脂肪の多い食べ物の過剰な摂取もインスリン抵抗性に影響していると考えられています。
インスリン分泌低下と同様、遺伝により発生するケースもあるため、検査などを受けて自身の状態を確認するのが大切です。
インスリンの機能低下により発生する糖尿病の特徴
インスリンの分泌量が減ったり働きが低下したりすると、糖尿病が発生するリスクが高くなります。
糖尿病は、さまざまな症状を引き起こす危険な病気です。
症状の進行度合いによっては、日常生活を送るのが困難なほどの影響を受けるケースもあります。
インスリンが十分に働かず、高血糖の状態が継続すると糖尿病になる可能性が高くなるため、糖尿病とインスリンは密接な関係にあるといえるでしょう。
糖尿病の特徴を説明するにあたり、以下の5つの内容を中心に解説します。
- インスリンが生成できない1型糖尿病
- 糖尿病の大半を占める2型糖尿病
- 軽度の場合は自覚症状がみられない場合もある
- 状態の進行によりさまざまな症状が引き起こされる
- 重篤化につながる多くの合併症
糖尿病について理解を深め、もし罹患しても早期に対応できるよう知識を蓄えておきましょう。
インスリンが生成できない1型糖尿病
糖尿病は、大きく分けて1型と2型に分類できます。
そのうち、1型は体内でインスリンが生成できない状態の糖尿病です。
インスリンを生成する膵臓の細胞が何らかの要因で機能しない場合、インスリンが体内で生成されず糖尿病になってしまいます。
1型糖尿病の場合は、自分でインスリンを生成できないため、外部からインスリンを取り入れるほかありません。
インスリンの投与など、継続して治療を行う必要があり、一生涯病気と付き合わなければならない場合も多いです。
糖尿病の大半を占める2型糖尿病
2型糖尿病は、糖尿病に罹患する人の大半を占める病気です。
何らかの原因でインスリン分泌量が減少したり働きが弱まったりして高血糖の状態に陥ってしまいます。
1型のようにインスリンを生成する機能が破壊されるわけではないため、治療によって症状が改善される可能性があります。
2型糖尿病は生活習慣病といわれるケースも多く、生活習慣の乱れが原因で発症する人が多いです。
遺伝や加齢なども影響するケースが多く、誰でも発症する可能性がある糖尿病といえるでしょう。
2型糖尿病と診断された場合は、糖尿病治療とともに生活習慣の見直しも含めた改善を目指します。
軽度の場合は自覚症状がみられない場合もある
糖尿病は、軽度の段階では自覚症状がみられない場合も多く、発見が遅れるケースもあります。
喉の渇きや疲労感など、健康な状態でも普段の生活で感じる症状が多いため、病気であると自覚しない人も多いです。
しかし、自覚症状がなくても状態は徐々に悪化しており、自覚症状が現れた時には糖尿病がかなり進行している可能性もあります。
特に夜遅くまで仕事をしてストレスを感じ、かつ脂質の多い食事を深夜に食べているなど生活が乱れている人は、2型糖尿病に罹患するリスクが高まっているため、早めの対処が肝要です。
状態の進行によりさまざまな症状が引き起こされる
糖尿病は、状態の進行によりさまざまな症状を引き起こします。
代表的な症状としては、以下のようなものが挙げられます。
- 尿の量が多くなる
- 喉の渇きを強く感じる
- 大量の水を飲む
- 生活は変わっていないにも関わらず体重が減る
- 疲労感が抜けない
糖が体内で吸収されず、尿として排泄される際に水分も一緒に出すため尿の量が多くなります。
尿の増加は、体内の水分を減らしてしまうため、喉の渇きの要因です。
さらに、エネルギーが不足して体重の低下が進み、常に疲労感を覚えるケースも増えます。
以上のような症状が現れた場合は、糖尿病の可能性を疑い、医療機関で相談を受ける方がよいでしょう。
重篤化につながる多くの合併症
糖尿病に罹患すると、重篤化につながる多くの合併症を引き起こす場合があります。
失明や足の切断など、普段の生活に多大な支障を来してしまう状態に陥るケースもあるため、早期の対処が重要です。
症状が進行する前に適切な治療をして、合併症を引き起こさないように対処しましょう。
糖尿病の合併症のうち、主なものを以下に4種類紹介します。
- 失明につながる糖尿病網膜症
- 人工透析の治療を要する糖尿病腎症
- 手足の痺れや麻痺を引き起こす糖尿病神経障害
- 脳卒中や心筋梗塞など命に関わる病気にもつながる
ご自身の身体に少しでも違和感を覚えたら、早めに医療機関に相談するのがよいでしょう。
失明につながる糖尿病網膜症
糖尿病網膜症は、糖尿病の3大合併症の1つで、網膜の血管に起こる障害が起因となって発症する病気です。
網膜につながる細く細かい血管は、高血糖の状態が継続すると、網膜の血管が働きを失い、目にさまざまな障害を発生させてしまいます。
日本における失明の原因の上位に位置する病気で、早めの対処で症状の進行を最小限に抑えられる可能性があります。
糖尿病の罹患に関わらず、1年に1回は眼科の検診を受けて、早期に異常が発見できるように取り組みましょう。
人工透析の治療を要する糖尿病腎症
糖尿病腎症も糖尿病の3大合併症の1つに含まれているもので、腎臓の働きが悪くなって起こる病気です。
初期症状としては、血圧の上昇や尿中たん白の検出、および体のむくみなどがみられます。
症状が進行すると、血液中に老廃物が蓄積し、命に関わる重篤な症状を引き起こしてしまう可能性があります。
人工透析の治療の原因となる病気としては、腎不全が最も多いといわれています。
糖尿病に罹患した場合は、糖尿病腎症を引きこさないよう、医師の指示に従って適切な対処をする必要があります。
手足の痺れや麻痺を引き起こす糖尿病神経障害
糖尿病神経障害も糖尿病の3大合併症の1つに含まれているもので、手足の神経に異常をきたしてしまう病気です。
神経の周りにある小さな血管が高血糖の影響で障害を受け、体内の信号が身体の隅々にまで伝達する働きが低下してしまいます。
症状としては、初期においては手足の痺れやほてりおよび痛みなどがみられる程度です。
場合によっては足の切断を余儀なくされてしまう恐れがあるため、早期の治療が重要です。
高血糖の状態が続いている状況においては、手足の異常に敏感になっておく方がよいでしょう。
脳卒中や心筋梗塞など命に関わる病気にもつながる
糖尿病になると、以上で紹介した3大合併症以外にも、重篤な病気を引き起こしてしまう可能性があります。
特に注意を要するのが、動脈硬化から派生する合併症です。
糖尿病が原因で動脈硬化になるケースは多く、その結果以下のような病気を併発してしまう可能性があります。
- 脳卒中
- 心筋梗塞
- 末梢動脈性疾患
脳卒中のうち、糖尿病患者の場合は脳梗塞を発症するケースが多いです。
心筋梗塞は、心臓の働きが著しく低下するもので、命に関わる危険な病気です。
末梢動脈性疾患になると、足の血管の動脈硬化により歩けなくなってしまいます。
症状が進行すると壊疽が進み足の切断を余儀なくされる場合もあるため、早期の治療開始が大切です。
・食後や空腹時の血糖値を抑制する
・インスリンの効き目を高め分泌を促す
など、糖尿病予防におけるポリフェノールの研究が進んでいます。
ぜひ、こちらの記事も確認してみてください。
薬科大学・国立大学が注目するポリフェノール研究
血糖値を下げるための投薬治療は4つのタイプに分類される
体内のインスリンの働きが低下し、高くなった血糖値を自分で下げられなくなった場合、状況に応じて投薬治療を実施します。
食生活や定期的な運動の実施など、生活習慣の見直しをして状態の改善が見込まれる場合は、投薬治療の前に取り組むケースが多いです。
しかし、インスリンを生成する機能が無くなっている場合や、インスリン分泌能力の改善が追いつかないほど高血糖の状態が進行している場合は、投薬治療を行い血糖値を下げるための処置を講じます。
血糖値を下げるための投薬治療は、主に以下の4つのタイプに分類されます。
- インスリンそのものを補充する
- インスリンの分泌を促す
- インスリンの効果を高める
- 糖の吸収や排泄を調節する
どの治療法を選択するかは、身体の状態によって異なるため、医師の診断に従って適切な処置を行いましょう。
インスリンそのものを補充する
体内で働きが不足しているインスリンそのものを、外部から補充する投薬の方法があります。
インスリン製剤と呼ばれる薬品を、注射により体内に取り入れる方法が一般的です。
投薬をするタイミングや薬品の分量は、患者の体質や病状によって異なります。
1日に決まったタイミングと分量を投与するとともに、血糖値が高くなる食後に追加で投与するケースが多いです。
インスリンを投与する方法は、不足するホルモンを直接補えるため、即効性があり高い確率で効果が上がる治療方法といえるでしょう。
インスリンの分泌を促す
体内のインスリン分泌を増やす目的で、インスリンの分泌を促す薬品を投与する方法もあります。
飲み薬や注射による投与が一般的で、体内でインスリンを生成する能力がある患者に適した方法です。
インスリンの分泌を促す薬品にはいくつかの種類があり、自身に最適なものを選択する必要があります。
医師の診断に基づいて、適切な投薬をするのが大切です。
インスリン分泌促進効果のある薬品としては、以下のようなものがあります。
- スルホニル尿素薬(SU薬)
- 速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)
- DPP-4阻害薬
体内のインスリン生成機能が残っているものの、働きが弱くなっている場合に適した治療方法といえるでしょう。
インスリンの効果を高める
体内の血糖値を下げる目的で、インスリンの効果や働きを助ける薬品を投与する方法もあります。
インスリンの分泌や働きそのものは十分であっても、インスリン抵抗性が高いなどの理由で十分な効果が得られない場合に適用される投薬方法です。
インスリンの効果を高め効きやすくする薬品としては、主に以下のようなものがあります。
- ビグアナイド薬
- チアゾリジン薬
- グリミン薬
薬品ごとに働きに違いがあるため、体質などを考慮して適した薬品の選択をする必要があります。
医師の診断に基づいて、高い効果が得られる最適な薬品を選択して治療に用いましょう。
糖の吸収や排泄を調節する
以上3つの方法は、一般的にインスリン治療と呼ばれるもので、インスリンの補充や働きの向上を目的とした治療方法でした。
血糖値を下げる治療方法には、インスリンに作用するもの以外に、体内の糖質の吸収や排泄を調節するものもあります。
血糖値の急激な上昇を抑制するため、食べた食物の消化の速度を抑える薬品や、余分な糖質の排泄を促進する薬品などがあります。
体内のインスリン分泌量や働きを考慮したうえで、糖の吸収や排泄の調整をした方が効果が上がると判断される場合に、採用されるケースが多い治療方法といえるでしょう。
インスリン治療の実施において注意したいポイントも多い
インスリン治療は、血糖値を下げる効果が期待できるため、糖尿病の予防および治療に用いられるケースが多い方法です。
一方で、インスリン治療に取り組む際には注意したいポイントがいくつかあります。
高血糖の状態を改善する目的で治療を行ったものの、逆に低血糖に陥ってしまうリスクがあるなど、あらかじめ知っておきたいポイントは多いです。
インスリン治療を実施する際に注意したいポイントとして、主なものを以下に5点紹介します。
- 低血糖の状態に陥らないよう配慮する
- 他の病気に罹患した場合も治療を継続する
- 注射をいつも同じ個所に行わない
- インスリン製剤の保管を適切にする
- 注射や投薬のタイミングに気を付ける
インスリン治療の実施により起こるリスクを理解して、正しい治療方法を継続できるように取り組みましょう。
低血糖の状態に陥らないよう配慮する
インスリン治療を実施する際は、低血糖の状態にならないように配慮する必要があります。
低血糖とは、血糖値が正常の範囲よりも低くなり、脳などの中枢神経に十分なエネルギーが行き届かなくなってしまうことです。
インスリン治療の副作用として発生するケースが多く、以下のような状況で起こりやすいと考えられています。
- インスリン投与の量を誤る
- 食事の量が普段よりも少ない
- 食事時間が普段よりも遅くなる
- 予定よりも激しい運動を繰り返し行う
なおインスリン治療中に低血糖になったからといって、副作用を恐れて自分の判断でインスリンの投与量を減らすのは避けましょう。
医師と相談しながら薬の量や種類を変えたり、普段の生活を見直したりして、低血糖を避けながら糖尿病の治療を継続する必要があります。
他の病気に罹患した場合も治療を継続する
インスリン治療中に他の病気に罹患した場合も、治療を継続するのが大切です。
インスリン治療中に、前述の低血糖をはじめ風邪や胃腸炎など他の病気にかかった際に、インスリンの投与を減らしてしまうケースがあります。
インスリン治療は、継続してこそ効果が上がる方法です。
他の病気が心配になるからといって、治療を中断するのは避けましょう。
必ず医師に相談して、最適な対処方法を守って治療を継続するのが肝要です。
注射をいつも同じ個所に行わない
インスリンを注射により投与する場合、いつも同じ個所に注射をせず、少しずつずらしながら行う方がよいです。
同じ場所に注射を繰り返し行っていると、注射している箇所の皮膚が変化して皮下硬結と呼ばれるしこりのような状態になります。
インスリン注射を行う適切な場所は、一般的には腕や腹部、太ももやおしりなどです。
注射する場所を定期的に変えたり、同じ場所に注射する場合も少しずつずらしたりする方が効果を維持できます。
体型や体質によって、効果が高くなる注射場所が異なる場合もあるため、医師と相談しながら治療を行いましょう。
インスリン製剤の保管を適切にする
インスリン治療を行う際は、製剤を適切に保管する必要があります。
医療機関から受け取ったインスリン製剤は、開封前は冷蔵庫に保管するのが一般的です。
開封後は、常温で保存をします。
使用のたびに冷蔵庫と常温の出し入れをしていると、注入器に結露が発生して故障の原因になる恐れがあるためです。
インスリンはタンパク質であるため、高温や直射日光にさらされてしまうと変形してしまい効果が発揮されなくなってしまいます。
インスリン製剤の保管場所に配慮して、治療の効果を最大限にしましょう。
注射や投薬のタイミングに気を付ける
インスリン治療をする場合は、注射や投薬のタイミングに十分配慮する必要があります。
薬の種類によって、利用してから効果があらわれるまでの時間は異なります。
インスリン治療の場合は、特に食後の血糖値上昇によるリスクに対処するのが大切です。
食後の血糖値上昇を抑えるため、最適な投薬のタイミングを知る必要があります。
必ず医師に相談して、適切な投薬のタイミングに関して指導を受けましょう。
インスリン治療は、投薬のタイミングをはじめ投薬量やその方法などを自己判断で実行すると効果が得られないだけでなく、逆に症状を悪化させてしまう場合もあります。
自身に合った正しい治療方法を身につけて、継続して取り組む必要があります。
インスリンの分泌量や働きを確認して血糖値を正常に保とう
インスリンは、上昇した血糖値を下げる効果のある唯一のホルモンです。
血中の糖質をエネルギーに変換する手助けをして、血中の糖質を適正に保つ作用を持ちます。
糖尿病になると喉の渇きや疲労感などさまざまな症状が出ますが、初期症状があらわれない場合もあり、気付かない間に状態が悪化している場合も多いです。
糖尿病が進行すると、さまざまな合併症を引き起こす可能性があり、場合によっては命に関わる重篤な病気になりかねません。
糖尿病の治療は、血糖値を下げる薬品を投与する方法が一般的で、特にインスリンに作用する薬品を用いるケースが多いです。
インスリン治療をする際は低血糖のリスクがあったり製剤の適切な保存に気を付けたり、配慮したいポイントが多いため、医師と相談しながら適切な治療を継続しましょう。
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