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高齢者が気をつけたい糖尿病についてヘモグロビンa1cの正常値も解説

高齢者が気をつけたい糖尿病についてヘモグロビンa1cの正常値も解説

健康診断でもよく耳にする糖尿病ですが、糖尿病にはヘモグロビンa1cというものが大きく関わってきます。

今回はヘモグロビンa1cとは何かや、高齢者が気を付ける症状などを解説していきます。

この記事でわかること
  • ヘモグロビンa1cとは何か
  • 高齢者のヘモグロビンa1cの値
  • 高齢者のヘモグロビンa1cの正常値
  • 高齢者ならではの糖尿病の特徴
  • ヘモグロビンa1cの改善方法
  • 高齢者とヘモグロビンa1cの関係について
目次

ヘモグロビンa1cとは

ヘモグロビンa1c(HbA1c)

ヘモグロビンa1cは、糖化ヘモグロビンがどのくらいの割合で存在しているかをパーセントで表したものです。

ヘモグロビンという言葉はよく耳にすると思いますが、ヘモグロビンは赤血球内のタンパク質の一種であり、全身の細胞へ酸素を送る働きをしています。

血液中の糖がヘモグロビンと結合し、糖化ヘモグロビンへと変化します。

そのパーセンテージが高い場合ヘモグロビンの値が高い、低い場合ヘモグロビンの値が低くなります。

高齢者のヘモグロビンa1cの値

高齢者のヘモグロビンa1cの値
  • ヘモグロビンa1cの値が低い
  • ヘモグロビンa1cの値が高い

高齢者ヘモグロビンa1cの正常値と異常値を、それぞれみていきます。

高齢者におけるヘモグロビンa1cの値の目安は、6.5~8.5%となっています。

目安の値に差があるのは、年齢や服用している薬があるかどうかによって違うためです。

インスリンを服用している人で65歳以上75歳未満の場合は7.5%、75歳以上の人は8.0%未満、服用していない人は7.0%未満が目安となっています。

他にも軽度の認知症があり、インスリン等の服用がある人は8.0%、服用のない人は7.0%が目安です。

中度以上の認知症でインスリン等の服用がある人は8.5%未満、服用のない人は8.0%未満となっています。

ヘモグロビンa1cの値が低い

HbA1cが低くなる原因

ヘモグロビンa1cの値が低いと良いと思う人もいますがそれは間違いで、ヘモグロビンa1cの値が以上に低い場合、以下のような原因が考えられます。

  • 平均血糖値が低い
  • 赤血球寿命が短いため、新しい赤血球が増えている
  • 異常なヘモグロビンが存在する

平均血糖値が低い場合、血糖硬化剤インスリン投与インスリノーマという腫瘍により低血糖を起こしている可能性があります。

赤血球寿命が短いのに対し、新しい赤血球が増える要因として慢性出血や溶結、肝硬変などの影響があると考えられます。

ヘモグロビンa1cの値が高い

HbA1cが高くなる原因

ヘモグロビンの値が高いのは、血液中の赤血球量が多いという意味を示しています。

増えると赤血球の濃度や血液の粘性が高まるうえ、血栓動脈硬化を引き起こす可能性があり非常に危険です。

どのような時にヘモグロビンa1cの値が高くなるのか、理由として以下の内容が考えられます。

  • 糖尿病
  • 脱水症状
  • 喫煙
  • ストレス

糖尿病は血液中のブドウ糖が増えすぎるために起こり、ヘモグロビンが糖化され、ヘモグロビンa1cの値も高くなります。

脱水症状や喫煙が原因で赤血球が過剰になっているため、ヘモグロビンa1cの値が高くなっている可能性があります。

その場合は水分を多めに摂り、禁煙するのが大切です。

ストレスも大きく関係しているため、体を休めると同時に心を休めるようにしましょう。

高齢者のヘモグロビンa1cの正常値

日本糖尿病学会と日本老年医学会は「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標値」を発表しており、その中で高齢者のヘモグロビンa1cの正常値を7.0%未満としています。

もちろん、その人の年齢や健康状態によっても変わってきます。

ヘモグロビンa1cを高齢者がコントロールするには

高齢者は年齢や認知機能、身体機能、推定される余命などによって違ってくるため一律に目標を設定するのが困難になります。

低血糖のリスクがある薬を服用中に血糖コントロールを厳しく行うのは、持病等を持っている高齢者には特に危険です。

そのため、血糖を下げすぎないよう気を付ける必要があります。

ヘモグロビンA1cを下げるには、普段からの改善対策が大切です。
特に食事面での見直しを考えられている場合は、こちらのページも参考にしてください。
知っておきたい血糖値を抑制する食品や成分

高齢者ならではの糖尿病の特徴

高齢者ならではの糖尿病の特徴

実際に糖尿病になってしまった場合どのような症状が出てくるか、高齢者ならではの糖尿病の特徴を見ていきます。

  • 尿に糖が出る
  • 喉が渇きやすくなる
  • 症状が出ない

尿に糖が出る

高齢者の尿糖病 特徴1尿の変化

必ず当てはまるわけではありませんが、糖尿病になると尿に糖がでるようになります。

これは検査でわかりますが、以下の症状が現れます。

  • 尿の臭いが違う
  • 尿の色が違う
  • 尿に泡立つ
  • 尿の出る量や回数が違う

糖尿病は病名の通り、尿に多量の糖分が含まれています。

そのため尿の臭いが果実のように甘い、または甘酸っぱいと感じるのです。

臭いは独特であり、嗅ぐといつもと違うと分かります。

次に尿の色についてですが、健康な状態は淡黄色淡黄褐色をしている場合が多いです。

逆に糖尿病だとトイレの回数が増えるため、尿の色がほぼ透明になる場合があります。

ただし水分を多くとっている場合は尿の色が透明になるため必ずしも糖尿病になっていると断言はできません。

他にも尿に泡立つ場合がありますが、これは、尿に含まれるタンパク質が影響しています。

糖尿病の人は腎臓の機能が低下しているため、尿に多くのタンパク質が混じってしまうのが原因です。

尿の出る回数と量については、糖尿病になると頻尿になりさらに出る量が多くなります。

一般的に頻尿は1日に8回以上、トイレに行くこととされています。

それより少ない場合であっても、自分で回数が増えたと思うときは頻尿の可能性があり、注意が必要です。

尿を確認すると糖尿病以外にも腎臓病や腎不全、肝臓病や膀胱がんなどの病気を発見するきっかけにつながります。

喉が渇きやすくなる

高齢者の尿糖病 特徴2喉が渇く 脱水症状

糖尿病を患うと、喉が渇きやすくなります。

血糖値が高い状態が続くと、糖が尿にあふれ頻尿となるためです。

水分を摂取しても、喉の渇きが長く続きます。

500mlのペットボトルを一気飲みしてしまうほど、喉が渇く人もいます。

もともと高齢者は水分保持量が少ないため、糖尿病になると脱水症状がでるのです。

症状が出ない

高齢者の尿糖病 特徴3症状出ない

高齢者の場合、症状が出ない可能性があります。

そもそも高齢者の場合加齢に伴い、自覚症状が出ていても気づかないという場合があります。

特に注意が必要なのが、低血糖時の症状です。

低血糖が起こると冷や汗や手の震えなどが出てきますが、高齢者の場合は症状が出にくいため、気付いたときには手遅れとなる可能性があります。

ヘモグロビンa1cの改善方法

ではヘモグロビンa1cの値が高くなった場合や糖尿病と診断されてしまった場合、どのように改善していけばよいのでしょうか。

食事制限や運動などでも改善可能ですが、改善されない場合は薬を服用します。

糖尿病の治療薬としては主に経口薬と注射薬の2種類がありますが、それぞれの違いを以下にまとめました。

経口薬

HbA1c 改善方法1 経口薬

経口薬とは飲み薬を指し、種類については以下があります。

  • インスリンを出しやすくする薬
  • インスリンを効きやすくする薬
  • 糖の吸収や排泄を調節する薬
  • 異なる作用を持つ複数の薬を合わせた配合薬

インスリンを出しやすくする薬は、肝臓で新しく糖ができたり、消化管から糖の吸収を抑えたりするのを手助けします。

インスリンを効きやすくする薬も、インスリンを出しやすくする薬と同様です。

糖の吸収や排泄を調整する薬は、膵臓以外に作用しインスリンの分泌に関係なく血糖値を下げられます。

加齢とともにインスリンの分泌量は減少していってしまいます。
ポリフェノールの一種には、インスリンの分泌を促すインスリンの効き目を高める作用がみつかっています。
詳しくは「インスリンの効き目向上。空腹時と食後血糖値をまとめて下げる」の記事をご覧ください。

注射薬

HbA1c 改善方法1 インスリン注射薬

注射にはインスリン注射があり、血糖値を下げるために使用します。

糖尿病の人の中には体内でインスリンを生成するのが難しい人がおり、注射で補うためです。

インスリンの働きが弱くなり、分泌が少なくなった時に注射をする場合もあります。

インスリン注射を使用した場合、毎日注射を打つ必要があると思われがちですが、回避できるのが早期治療です。

早めに治療を始めると、脾臓を休められるため脾臓の回復が見込めます。

脾臓が回復するとインスリン注射の回数を抑えられるため、注射を中止できる可能性があります。

高齢者とヘモグロビンa1cの関係について

高齢者の場合は糖尿病に気をつけるのはもちろん、他の病気にも注意が必要です。

ヘモグロビンa1cの値が高いからといって急激に値を下げようとすると、かえって低血糖を引き起こしかねません。

高齢者は、性別や年齢、持病の有無や服用している薬によって基準とするヘモグロビンa1cの値は異なります。

普段と違うと感じたり体調に変化があったりした場合は早めに医師に相談し、検査等を受けましょう。

治療が必要となった場合は医師のもと治療の方針などを決め、治療を受けるのが大切です。

低血糖にも注意したい 高齢者の糖尿病 医療機関で適切な治療を

この記事の監修者

東京医科大学を卒業後、複数の総合病院内科、東京医科大学病院 糖尿病代謝分泌科を経て、現在の四谷内科・内視鏡クリニックの副院長に就任。


糖尿病専門医でありながら、見逃されやすい内分泌疾患にも精通した総合的な診療をおこなう。

日本糖尿病学会
糖尿病専門医

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