脂質異常症について
血液中の脂質が一定基準値よりも多い状態を、脂質異常症と言います。コレステロールや中性脂肪など余分な脂質が多くなると、動脈硬化を引き起こしやすくなります。このため、脂質異常症のある方は、脳卒中や心筋梗塞の発症リスクが高いとされています。脂質異常症は、自覚症状がほとんどないため、なかなか気付くことができず、ある日突然心筋梗塞などの発作を起こすことがあります。このような事態を防ぐためにも、健康診断で脂質異常症の疑いを指摘されたら、早めに当院までご相談ください。
脂質異常症の原因
肥満や運動不足、喫煙が、脂質異常症の発症原因とされています。また、高脂肪や高カロリーの食事、ビタミン・ミネラル・食物繊維の不足、過度の飲酒なども原因となります。特に、動物性脂肪の過剰摂取は発症リスクを高めます。さらに、アルコールや油分・糖分の摂りすぎも大きな原因となります。
脂質異常症の診断基準(空腹時採血による数値)
2006年までの診断基準値「総コレステロール値(220mg/dl以上)」に加えて、「悪玉コレステロール(LDL)が多い場合」「善玉コレステロール(HDL)が少ない場合」「中性脂肪が多い場合」の3種類を明確な診断基準として、いずれも脂質異常症とされます。
脂質異常症の種類
高LDLコレステロール血症
血液中の悪玉コレステロール(LDL)が多すぎる状態を、高LDLコレステロール血症と言います。最も多く見られるタイプで、脂質異常症の有無を判断する重要な指標となるのがLDLコレステロールです。
低HDLコレステロール血症
血液中の善玉コレステロール(HDL)が低すぎる状態を、低HDLコレステロール血症と言います。HDLコレステロールが少ないと、血中のコレステロールが吸収できずに溜まってしまい、動脈硬化を進めてしまいます。
高トリグリセライド(中性脂肪)血症
血液中の中性脂肪が多すぎる状態を、高トリグリセライド(中性脂肪)血症と言います。脂質異常症では、中性脂肪とLDLコレステロールいずれも多い混合型も多く、中性脂肪が多いとLDLコレステロールも多くなりやすいことが分かっています。
脂質異常症の治療・予防
食事療法
暴飲暴食を控えてください。また、脂肪分や糖分の多い食事を控えて、栄養バランスに気を付けて適量を召し上がってください。肉類などの動物性脂肪を控えて、タンパク質は魚介類や豆類などで摂ってください。また、ゆっくりと食べることで満腹感を得られ、腹八分で済ませることができます。
運動療法
ウォーキングなど軽い有酸素運動を継続して行います。階段を使うなど日常での工夫も有効です。できれば、毎日適度に身体を動かすことをお勧めします。ただし、心疾患や整形外科疾患などがある場合は、医師と相談しながら行ってください。
薬物療法
食事や運動などの生活習慣を改善しても効果が得られない場合は、薬物療法を行います。患者様の体質やライフスタイルなどに応じて処方しております。薬物療法で心配なことや不安なことがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。